東京大学
基本情報
試験時間:150分/問題数:大問6題
分析担当
霜村 昌美

出題内容・難易度

大問 出題内容 出題形式 難易度
1 2次方程式、図形と方程式 記述式 やや易
2 複素数平面 記述式 標準
3 微分法、積分法 記述式 やや易
4 整数の性質 記述式 標準
5 微分法 記述式 やや易
6 数と式 記述式 やや難

問題分析

  1. 座標平面上の2つの放物線の共有点に関する条件から2次関数の条件を決定して、その条件のもとで一方の放物線の通過領域を求める問題だった。文科との共通問題であったこともあり、この問題は非常に解きやすく感じる受験生が多かったはずである。ただ、(2)はいくつかの解法が考えられるが、Cの方程式をab平面における直線として(1)で求めた領域との共有点をもつ条件を考えると比較的時間をかけずに解ききることができるはずである。
  2. 複素数係数の2次式について、条件から係数を求め、3つの媒介変数を含む複素数のとりうる値の範囲を複素数平面上に図示する問題だった。(1)では丁寧に連立方程式を解き、(2)ではf(2)をα、β、γで表して(1)の結果を用いて整理し、ベクトルを用いて考えるとスムーズだったはずである。
  3. 分数関数の接線の共有点に関する問題と単純な定積分計算の問題だった。(1)は接線方程式の決定後、共有点を求める単純な問題であり、(2)はtanで置換することに気づきやすい問題であった。
  4. 二項係数に関する問題だった。(1)の証明方法に関しては色々なアプローチが考えられるが、場合分けをしないで終えるなら2数を4で割ったあまりが等しいことと2数の差が4の整数倍であることが同値であることを利用するべきであった。(2)は具体例を考えてみれば証明しやすかったはずである。(3)が完答できるかのカギであっただろう。(4)は(3)の結論を利用すると答えにつながる。文科との共通問題であるがこの問題は時間がかかる問題だった。
  5. 座標平面上の2点間の距離の2乗で定められた関数の最大となる条件を考える問題だった。(1)は関数の増減を調べるのに第3次導関数まで求めてしまえば解ける。(2)は(1)の過程を利用すれば容易に導けたはずである。
  6. 4次式の因数分解に関する問題だった。(1)は係数比較をすることで解ける。(2)は(1)で使わなかった等式を利用すれば解ききれる。(3)は(2)の結果を利用すると方針が決まってくるが、4次式が有理数を係数とする2次式の積に因数分解できるためには、問題文の冒頭で与えられた式に限定されると述べる必要があった。

総評

 まず、今年も確率は出題されなかった。4年連続で確率が出題されていないことになった。さらに、空間図形も出題されなかったことにも驚いた受験生がいたのではないか。今年は計算量が多かったように感じるが、決して難問だとは感じなかったはずである。
 典型的な問題の解法を徹底して、いくつかのアプローチが考えられるような問題にも触れておき、最短で答案を作成することができるように訓練をすることが必要であると言えよう。注意すべきことは、今年も出題されているが、同値とされる言いかえがなぜできるのか、その根拠から把握して答案作成をすることができるようにして臨むことが大切であると言えよう。