東京医科大学
基本情報
試験時間:60分/問題数:大問4題
試験時間:60分/問題数:大問4題
分析担当
国政 力
国政 力
出題内容・難易度
大問 | 出題内容 | 出題形式 | 難易度 |
---|---|---|---|
1 | A 整数 B 数列(n進法・数列の和) Ⅲ 複素数平面・微分法(複素数のn乗・逆関数の微分法) |
マーク式 | やや易 | 2 | A 場合の数(正36角形の頂点を結ぶ四角形) | マーク式 | 標準 |
3 | B 空間ベクトル(球・平面・交円の半径・三角形の面積) | マーク式 | 標準 |
4 | Ⅲ 積分法(部分積分・体積) | マーク式 | 標準 |
問題分析
- 4題からなる小問集合である。どの問題も基本的な問題であり短時間で完答したい。(1)は5進法で表された循環小数で、循環部分を消去するか、無限級数として値を求める。(2)は部分分数に分けて和を求める。(3)は与えられた複素数の偏角に着目して積やその累乗の偏角を求めればよい。(4)は逆関数の微分法を用いる。いずれも方針は立てやすく、定型的な取り扱いができれば解くことができる問題である。
- 正36角形の頂点を結んだ四角形に関する問題である。(1)はできる正方形の個数で、36個の頂点からどの頂点を取り出せば正方形になるかを考えることは容易である。また、その面積も外接する円の直径が対角線になることから求められる。(2)はできる長方形の個数であるが、半円に対する円周角が直角であることから18本の直径から2本を選んで対角線とすればよいことに気づきたい。(3)は正36角形とちょうど2辺を共有する四角形の個数で、共有する2辺が隣り合うか、隣り合わないかで場合分けをする。典型問題である正n角形の頂点から作る三角形の個数を求める手法を思い出しながら解くことになるが、頂点の数が多く図示して考えにくい問題であるので、数え漏らしや重複が出るミスも起きやすく決して容易とはいえない。
- 空間中における平面などを扱う典型問題である。どの問題も空間中の図形の方程式の扱いに慣れていれば容易に解ける問題ばかりであったが、この分野に対して十分な準備ができていないと大きな点差がついてしまう。医学部受験生ならば万全を期したい。(1)は平面の方程式から法線ベクトルを示すだけであり、(2)の球の半径は点と平面との距離の公式を用いる。接点の座標は中心から平面に下ろした垂線の足となるので、求めた法線ベクトルを方向ベクトルとする直線と平面との交点を求めるか正射影ベクトルを用いればよい。(3)は与えられた 2つの球の半径が等しいことから交円の中心がすぐ求められ、交円の半径も直角三角形を作る基本的な手法で解決する。(4)の空間中の三角形の面積は三角形を作る2つのベクトルの大きさと内積から求める公式を用いるだけである。難易度は点数差がついていると思われるので標準としたが、本来はやや易の問題といえる。
- x軸に接する4次関数のグラフとx軸によって囲まれた部分をx軸の周りに回転して得られる立体の体積を題材として、部分積分を用いることや漸化式を作ることを示す導入に従って計算する問題である。いわゆるベータ関数の問題で類題演習がなされていれば容易であり、求める体積もベータ関数の結果を知っていれば導入によらずして求めることができてしまう。数値は桁数が大きいが確実に得点したい問題である。
総評
今年度は大幅に易化したといえる。昨年度は大問の最後に難しい設問もあったが、今年度は第1問の小問集合で時間のかかる問題がなく、第2問の(2)(3)以外に考え込むような問題もなかったので、基礎演習が十分になされた受験生にとっては非常に取り組みやすい問題であった。数Ⅲの微積分といえるような問題はほとんどなく例年の計算力を要する問題が影を潜めているが、60分という短時間での試験であり、全てマーク式なのでミスができないことに変わりはない。数年前の難易度を十分に考慮して準備をしたい。