東京医科大学
基本情報
試験時間:60分/問題数:大問4題
分析担当
堀口 浩司

出題内容・難易度

大問 出題内容 出題形式 難易度
1 【4択問題】空所適語選択 選択 標準
2 【整序問題】空所適語選択 選択 標準
3 【長文読解】内容一致選択・同義または対義語選択・空所補充・主題選択 選択
4 【長文読解】内容一致文選択・同義語選択・英文和訳 選択・記述 標準

問題分析

  1. 〔四択問題〕空所に適する語を選ぶ問題
    昨年同様にアクセント問題ではなく適語を選択する問題であった。文法や語法に関する出題というよりは語彙力によって正解を導くものである。昨年に比べると選択肢の単語になじみのあるものが多いと感じた受験生がいたのではないだろうか。標準的な語彙力があれば6問のうち4問以上は正解できるレベルである。問cのvirtually「事実上、実際上」は長文でも目にする単語であり、普段から単語帳だけでなく長文に出てくる単語もチェックすることで語彙力を強化することが大切である。
  2. 〔整序問題〕6つの語を並び替え、空所に適する語を選ぶ問題
    昨年同様に6問の整序問題であった。問aは否定語句文頭における倒置、問bはvitalの省略に気づけるかどうかがポイントである。最も苦労したものは問eではないか。比較級を強めるmuchや最上級を強めるveryなどにはなじみがある受験生は多いと思うが、原級比較<as原級as>も倍数以外にnearlyやquiteなどで修飾することがあることもこの機会に覚えておこう。整序問題でつい時間を掛けすぎてしまう受験生が多いが、長文に十分な時間を掛けるためにも素早く並び替える練習が必要である。
  3. 〔文章題材〕日本における公衆浴場(銭湯)の役割、数の推移そして新たな試み 583words
    日本の高度経済成長により風呂付の家が当たり前になり、日本全国の公衆浴場の数は激減してしまった。銭湯はその本来の目的を果たすだけでなくコミュニケーションの場でもあった。しかし、需要の減少や高額な改修費、さらにコロナの影響によりその場が失われてきている。そのような状況の中、生き残りをかけて新たな試みを行っている2つの銭湯の例を紹介している。全体の内容は非常に理解し易く設問も難問と言えるものはない。問cで悩んだ受験生がいるかもしれないが、becauseは理由に重点を置き新たな情報を伝えるもの、sinceは相手が既に知っている理由を述べる時に使われることを理解していれば解ける問題。語句問題では同義語だけでなく2問は対義語を求めているのでケアレスミスをなくして取りこぼさないことがこのレベルの問題では大切である。
  4. 〔文章題材〕日本の小学5年生と中学2年生の体力及び運動能力低下と肥満率の上昇 607words
    2022年に実施された体力及び運動能力テストにおいて、テストを開始した2008年以来過去最低の数値が記録された。また、アンケートにより生活スタイルの変化も浮き彫りになった。スクリーンタイム、つまり携帯、パソコン、タブレット、テレビなどの画面を見る時間が増えてきている実態があり、これが運動不足の一因になっている。さらにコロナによってマスク生活を余儀なくされていることも運動不足に拍車をかけてしまった。全体の内容は大問3同様に分かり易いものであった。大問3との違いは選択肢の多さに時間が掛かり過ぎてしまうことである。昨年同様に内容一致の選択肢は12あるが、どれも理解し易いものであり、落ち着いて解く時間さえ確保できれば全問正解も難しくはない。本文を読み進めていく時に選択肢が内容の順番通りになっておらず、その点は注意が必要であるが、倍の選択肢があった以前に比べれば随分易化している。普段から速読の練習をしていれば問題ないレベルである。和訳も構文の複雑さがなく完答したい問題である。

総評

 昨年度と同様の出題形式であった。2021年以前の過去問に触れたことのある受験生は特に問題が易化傾向にあることに気づくであろう。以前は特別な対策が必要であったが、ここ2年の問題傾向から判断すると受験に必要なことをしっかり学んでいれば問題なく解けるレベルである。しかし、問題の易化傾向に喜んでいてはいけない。当然求められる正解率が跳ね上がってしまうからである。今回の問題からすると80%以上の正解率は必要であろう。英語を得意とする受験生ならば90%を確保したいところである。英語で差がつかない、逆を言えば差をつけられると合否に大きく影響を与えてしまうことがあり得る。簡単な問題を確実に解くことがもちろん合格への鍵となるが、この練習をしていない受験生が多く見られる。もちろん難しい問題を解けるようになることは理想であるが、取りこぼしをしていては何の意味もなさなくなってしまう。基本的な文法の確認を怠らず、消去法を上手く使えるようになることで安定した正解率を保てるようになるであろう。
 易しくなった昨年度に比べても単語レベルや文章内容において解き易い問題であった。今後もし数年この出題傾向が続くのであれば時間配分のミスがないよう普段から時間を意識した訓練をすることが大切である。また、語彙力も単語帳で覚えるだけでなく、長文でよく使われているものなどもチェックして確実な力、そして得点力をつける必要がある。