東京医科大学
基本情報
試験時間:2科目120分/問題数:大問4題
分析担当
川口 奈奈子

出題内容・難易度

大問 出題内容 出題形式 難易度
1 小問集合
(細胞小器官、遺伝子発現、血液、動物の分類(旧口・新口動物)、耳の構造、生態収支)
マーク式 標準
2 遺伝子解析および進化 マーク式 標準
3 植物ホルモンと発芽 マーク式 やや難
4 ショウジョウバエの遺伝と
母性因子、初期発生
マーク式 やや難

問題分析

  1. 小問各問は、知識を問う問題であり、覚えていないとできない。計算問題は易しい問題ではあるが、早く正確に計算できることが必要。
  2. 遺伝子解析問題は、制限酵素処理によるDNA断片の大きさから多型と疾患を考察する問題と、系統を制限酵素切断部位の違いから再節約法で推察する問題で、知識を問う問題が一つ混ぜられている。再節約法に沿って考えればよい。
  3. (発芽に関わる)植物ホルモンについて問う問題と、赤色光、遠赤色光を作用させた実験の考察問題である。実験結果のみから推察される結論を選択しなければならない。
  4. ショウジョウバエの遺伝の問題と初期発生における母性因子の作用、その後の分節遺伝子の発現調節を実験結果から考察する問題である。

総評

 東京医科大学の生物の入試問題は、例年問題数が多い。本年も多かった。知識を問う問題も少し含まれており、比較的易しいので、正解しておきたいところである。基礎知識を得るような日頃の学習は欠かせない。
 全体的に計算問題や考察問題も少なからず含まれているが、落ち着いて考察を進めれば、正解にたどり着くと思われる。解答形式は全問記号選択であるが、大問2、3、4では考察や計算する問題が多くあり、時間の余裕が無くなるかもしれない。計算は、早く正確にできるようにしておいた方が良いと思う。考察問題は、一つ一つ筋道を立てて考察していかなければならない。限られた時間内に正解にたどり着くためには、日ごろから応用問題、発展問題をどんどん解いていき、効率的な思考のプロセスを築いて、「早く解くことができる」、ことも必要である。自分で問題に沿って、図を描いて、簡略化すると思考しやすいと思う。問題文に答えの導き方のヒントがある場合が多いので、要点を図示すると良い。
 理科は2科目選択なので、2科目での時間配分を考えて、有効に時間を使わなければならない。また、例年出題範囲も様々であるが、大問1は小問の集合、大問2以降はテーマがあって、そのテーマと関連がある分野の問題といった構成になっているようだ。今年度のテーマが遺伝子解析、植物ホルモン、ショウジョウバエの母性因子であった。テーマは年度によって変わる。
 分子生物学的な実験をもとに考察する問題、遺伝に関する問題(大問2のような問題)は、東京医科大学の生物の入試問題では頻度高く出題されているので、基礎からしっかり学習することが必要な重点分野である。