東京慈恵会医科大学
基本情報
試験時間:60分/問題数:大問3題
試験時間:60分/問題数:大問3題
分析担当
渡邉 哲史
渡邉 哲史
出題内容・難易度
大問 | 出題内容 | 出題形式 | 難易度 |
---|---|---|---|
1 | 【長文読解】空所適語選択・内容一致文選択 | 選択 | 標準 |
2 | 【長文読解】空所適語選択・内容一致文選択 | 選択 | 標準 |
3 | 【長文読解】空所適語句選択・空所適文補充・ 本文をふまえての意見文作成 |
選択・記述 | 標準 |
問題分析
-
〔文章題材〕なぜ人類は異なる血液型を持つのか 約725words
文章冒頭にテーマが示されており文章全体の論旨は把握しやすいものの、部分的には専門性の高い内容が書かれている。適語選択問題は、例年のような難しい単語が今年度はほぼ無く知識面よりも分析精度が問われている。雰囲気が合っているからで選ばずに、空所部分にピンポイントで入るものを厳密に判断する視点が必要。語彙レベルが易しい場合、精読プロセスが雑になってしまいやすいので注意したい。文章は読みやすいが、ダミー選択肢に引っかかってしまいやすい設問が多い。 -
〔文章題材〕生物の自然発生説とそれを否定したパスツールの研究 約694words
大問Ⅰ同様、生物系題材の文章である。科学史をベースとする説明文であるためテーマの把握は易しいものの、部分的に専門性の高い話が書かれている。どのような仮説に対して誰がどういった実験を行って最終的に何を証明したのかを整理していくことが求められた。大問Ⅱで特徴的だったのは内容一致文選択においてダミー選択肢がうまく作られていることである。単語だけで見てしまうと正解に思える、本文にそのまま書いてあるので正解に思えるパターンが多い。本文対応箇所の正確な把握に加えて、設問の内容を正確に把握し、問われていることの答えとして最適なものを判断するという視点が必要である。 -
〔文章題材〕自分の身体を能動的にケアする 約667words
適語句選択4問に英作文問題という構成。意見文作成は「患者は自身の治療に対してより多くの情報を求め能動的に関わるべきという筆者の主張に賛成か反対か」というもの。詳細に具体例を示して論理的に述べよという条件が付いている。設問文を見れば、本文のテーマが示されていると同時に、筆者がそう述べる理由を読解するという方針が定まる。また、もう1つの英作文問題、文中の空所に入る適切な文を記述する問題は段落主旨がそのまま解答となるものだった。どちらも本文の論旨把握・要約の要素が強い英作文問題と言える。時間内に答案を仕上げる処理スピードの点で高いレベルが求められる。
総評
例年通り、文中の空所適語句選択、内容一致文選択、英作文から成る長文読解3題構成である。総単語数は昨年度より微増。昨年度は大問Ⅱで出題されていた文中空所に適する英文を記述する問題が、大問Ⅲへ移動。これにより意見文作成と合わせて全ての英作文問題が大問Ⅲでの出題に統一され、大問ごとの出題形式・方針が整理された構成となった。生物系の文章題材が目立ったが、近年の中では最も読みやすく、論旨を把握しやすい文章である。設問も慈恵らしい難しいものであるが、ここ数年の中では解きやすいレベルであった。特徴的なのは、表面的な訳し方や日本語の一致不一致ではなく、本来の語義と伝えたい内容の一致不一致を考える適語選択問題。そして、本文に記述があるかどうかではなく、問われていること・設問文の主旨に対して的確な答えとなっているかを判断する内容一致問題である。紛らわしい語句・選択肢の文の識別が求められる高難度な出題ではあるが、設問形式や特徴が一定で明確であるため、対策しやすいとも言える。もちろん直前期に過去問演習を重ねるという対策ではなく、背景知識、語義の習得、論理的文章把握、英作文練習などを相当量、計画的に積み重ねていく長期プランでの対策である。