試験時間:2科目140分/問題数:大問4題
安部 雄太
出題内容・難易度
大問 | 出題内容 | 出題形式 | 難易度 |
---|---|---|---|
1 | 力学 定滑車と動滑車 |
記述式 | 易~標準 |
2 | 力学 A:放物運動 B:モーメント C:無重力における質量の測定 |
記述式 | 易~標準 |
3 | 電磁気 コンデンサー・抵抗を含む直流回路 |
記述式 | 易 |
4 | 波動 屈折・反射(光ファイバー) |
記述式 | 易 |
問題分析
- 力学:定滑車1つ、動滑車2つとヒモに接続された2つの小球についての問題であった。各物体への外力の図示や、ヒモによる束縛条件を利用して各小球の変位から加速度を導出する必要があった。大問1の処理が今年度の合否を分けたと考えられる。
- 力学:A問題は放物運動についての基本的な問題のため完答したい。B問題とC問題はともに力学範囲の思考問題であった。B問題ではバットの回転運動からモーメントについて、C問題では無重力条件からボールの質量を導出するために、ばねを用いた単振動や円運動等を考えさせる問題であった。日頃から単元ごとに紐づけて体系化する学習を心掛けたい。
- 電磁気:コンデンサー・抵抗を含む直流回路についての典型問題。受験生であれば問題集等で1度は演習したことのある問題であるため、完答したい。
- 波動:光ファイバーにおける屈折・反射についての問題。こちらも典型問題であるため完答したい。
総評
昨年度に比べて易化し、大問2後半の思考問題(B、C)以外はすべて典型~標準問題で構成されていた。合格点は9割前後と考えられる。
大問2のC問題を除いて完答に近い得点が目標となる。大問3、4については完答が必須であり、加えて大問1を正しく解答できたか、が合否を分ける部分であった。
これまでの昭和大学の物理の出題傾向として、実験・思考問題に加えて残りが易~標準レベルの典型問題であり、実験・思考問題についても基礎が固まっている受験生であれば十分解答出来る内容となっていた。今年度も同様の流れであるが、昨年度に比べて典型問題部分のレベルが易化したため、合格点は昨年度よりも高いと考えられる。
昭和大学の入試問題で合格点をとるには、典型問題を素早く正確に完答し、残った時間で実験・思考問題でとれる部分を得点することが求められる。「典型問題を落とさずに得点する」という部分については、日頃から詰まることなく自力で解けるまで、繰り返し基本~標準レベルの問題を繰り返す必要がある。その際、今年度の大問1のような力の図示なども曖昧な理解のまま進めるのではなく、正しく理解して処理できるように学習を進めること、加えて学習した各単元の繋がりや全体像を意識していくことも必要となる。
なるべく早く物理の全範囲の学習を終了させる必要もあるが、並行して日々の繰り返しの復習で基本内容を定着させ、標準レベルまでの問題でミスなく得点出来るようにすること、ただ問題を解くだけでなく、学習した内容をコンパクトに整理しながら体系化していくことが重要である。また、類似の問題はその他の私大医学部でも出題されているため、早い時期から過去問演習をスタートさせ、各単元について穴がないように仕上げていくことを心掛けてほしい。