昭和大学
基本情報
試験時間:英語と合わせて140分/問題数:大問4題
分析担当
藤原 大輔

出題内容・難易度

大問 出題内容 出題形式 難易度
1 数Ⅲ:複素数平面+2次曲線
(1の5乗根+双曲線)
短答式 標準
2 小問集合((1)数Ⅰ:実数の存在条件、(2)数Ⅱ:指数不等式、
(3)数B:ベクトルの絶対値の最大・最小、(4)数Ⅱ:対数の大小比較)
短答式 標準
3 数Ⅲ:積分法の応用
(斜軸回転体の体積)
短答式 標準
4 数A:場合の数+整数の性質
(カードの取り出し+整数の方程式)
短答式 標準

問題分析

  1. 数学Ⅲの複素数平面の「1の5乗根」と2次曲線の「双曲線」に関する問題。「1の5乗根」は複素数平面では超頻出テーマで(1),(2),(3)までは絶対に落とせない。ここは医学部受験生であれば当然知っているはずの cos⁡5=√5-14の値を知っていれば計算はすぐにできる。この値を知らないと余計な時間を取られてしまうので、知らなかった人や忘れていた人はきちんと復習しておこう(cos⁡5の計算自体も誘導付きで入試頻出)。(4)の双曲線の問題は条件がzで与えられているので、少し戸惑ったかもしれない。しかし、求めるのは漸近線の傾きの絶対値なので、双曲線をx2a2 - y2b2=-1 としてa,b の条件式を2つ立てて解けばよい。ただ、2重根号の計算が少し煩雑なので気を付けて計算したい。
  2. 数ⅠⅡBの小問集合。(1)は3変数関数の最大・最小の問題で等式条件から1文字消去して2次方程式の実数解条件に帰着するだけだが、類題の経験がないと発想が難しかった。(2)は置換する指数不等式で、これは基本問題である。(3)はベクトルの絶対値の最大・最小の問題で、今年の帝京大1日目にも出題された頻出テーマで、ぜひ取りたい問題である。このタイプの問題は |a⃗|2,|b⃗|2,a⃗ ∙ b⃗を求めてから計算する場合が多いが、この問題はそれがわからない。そこで、a⃗ + 3b⃗ = x⃗ , 3a⃗ - b = yとおくと、|x| = |y| = 5, - |x||y⃗| ≤ x⃗ ∙ y⃗ ≤ |x⃗||y⃗|となり、求める範囲を計算できる。しかし、この発想は経験がないと厳しい。(4)正攻法では差をとって正負を調べる、相加相乗平均の関係を利用するなどして大小を調べるが、実戦的にはa,b に具体値を代入して大小を調べるのが速い。
  3. 数学Ⅲの斜軸回転体の体積を求める問題で、誘導がていねいに入っている。(1)~(4)までは素直に計算していけば難しくない。(5)はそれまでの誘導を利用すれば、計算するだけ(計算はかなり面倒)である。ただし、これも類題の経験がないと誘導をどう使うかで詰まったかもしれない。ちなみに、斜軸回転体の体積の公式 V=π cosθ∫ba{f(x)-g(x)}2 dx を知っていれば、誘導を利用せずとも(5)の体積だけでも求めることは可能である。とりあえず、(4)までは確実に押さえておきたい。
  4. 数学Aの場合の数の「カードの取り出し」+整数の性質の「整数の方程式」に関する問題。(1)は n 枚のカードから2枚を取り出す場合の数の問題で前半は n に具体値が入った問題で書き出せばすぐに計算できる。後半は n が偶数・奇数で一般化した問題でこれも難しくはない。先に一般化を求めてから n に具体値を代入してもよい。(2)は n,p の立式までは容易だが、その先は条件 0<p<n を利用することに気づくかどうかで、わからなければ(2)は捨ててもよい。

総評

 全体として経験がないと解きにくい問題が増え、面倒な計算も増えたので、難易度としてはやや難化した。昭和大は時間に対して計算量が多いので、計算が面倒な問題、設定がわかりにくい問題以外のすぐに手が動く問題を優先して解くことが得点を安定して取るためにも重要である。今年の問題で言うと、大問1の(4)、大問3の(5)、大問4の(2)は後回し(場合によっては捨ててもよい)にして、他の問題を確実に取りに行くことが賢明である。これで70%は確保できていると思われる。このように今年の昭和大は、①計算量を考慮して戦略的に問題の取捨選択をする、②医学部頻出問題を確実に効率よく解く、③緊張状態でも面倒な計算に対応する、この3点ができたかどうかで差がつくセットであった。目標は65%程度と思われるが、さらに上のレベルを目指すのであれば、80%以上は欲しいところである。