日本医科大学
基本情報
試験時間:90分/大問3題
分析担当
渡邉 哲史

出題内容・難易度

大問 出題内容 出題形式 難易度
【長文読解】
段落主旨把握・内容についての説明(記述解答)・内容一致文選択
動詞選択(共通選択肢・適する形に直す)・説明答案作成(英作文)
選択・記述 標準
【英作文】
Ⅰの文章の論旨をふまえた意見文作成
記述 標準
【語義・文法・発音・アクセント】
発音アクセント3問、語彙問題10問、文法適語句選択3問、文法正誤問題2問
選択 標準

問題分析

  1. 【文章題材】 流行を生む6つの原理 約1965words
    昨年同様PARTⅠ、PARTⅡに分かれている、ひと続きの非常に長い文章を題材とする読解総合問題である。前半では、主旨である「流行を生む6つの原理」を1つずつ説明して、後半ではその具体例となるエピソードを紹介するという構成。全体論旨・文章展開が非常に分かりやすく、内容把握という点では、読みやすかった昨年よりもさらに易しいものであった。各原理のポイントをメモするなど、比較整理しながら解き進めたか、やや漠然とした状態のまま解き進めてしまったかで差がつく。設問に対する答えを英文で書くという新しい出題もあったが、それも含め、ほとんどの問題が「6つの原理」を正しく把握できているかを問うものであり、ややワンパターンな構成。確かに長い文章ではあるが、前半で早々と示された明確な〈主張〉と、それを説明するための後半の具体例という関係性を理解して読むことが出来ていれば、語数ほどの文量の多さは感じなかったであろう。
  2. 大問Ⅰの文章で述べられている、moustaches(口ひげ)が流行った事象に関して、その理由を書く意見文型英作文。your reasonsを書く設定ではあるものの、大問Ⅰの論旨である6つの原理に基づいて説明するという条件を満たす必要があり、意見内容選択の自由度は下がっている。その点では昨年の設定よりも書きやすいと言える。何についてどのような条件をふまえて書くのかを正しく把握することが出来たかどうかがポイントとなる。その他、具体例を用いての理由説明を含む論文スタイルで書く、という注意事項が与えられている点は例年通りだが、1段落または2段落構成で書くという条件は無くなった。
  3. 発音・アクセント・語義・文法をテーマとする設問。昨年度と比べて同義語選択が1問増加、正誤問題が1問減少。昨年度は見られなかった文中空所適語句セレクト型のオーソドックスな文法問題が3問追加された。同じ接頭辞を持つ似た単語の識別や、英文で書かれた定義に当てはまる単語の選択、基本的な文法事項を問う構成は例年通りであり標準的なレベルと言える。

総評

 昨年度は大問Ⅰにあった発音・アクセント・語彙・文法問題がⅢに移動したという、大問の構成順番に変化があったことを除けば例年通りの出題。非常に長い文章を題材とすることが日本医科大学の特徴としてすっかり定着したが、今年はその中でも非常に論旨を把握しやすいものであり、本文分析には余裕があったと思われる。読みやすかったがゆえに、論点を整理する、特徴・違いを明確にするという作業をおろそかにしてしまうと設問で苦戦する。普段の読解練習において、手を動かして書き込む、メモを取ることを習慣化し、その精度、スムーズさを高めることに力を入れて取り組み続けた受験生たちが、その積み重ねた努力の差を示すことが出来たと思われる。頭の中で考えて全てを処理できるなら良いが、非常に長い文章を攻略するために、手を動かすという勉強の原点を重要視してトレーニングを重ねたい。
 単語・文法を中心とする知識習得型学習を早期に完了させ、土台を作り、論理的思考力・分析力重視の読解型へと、学習を発展させていくことがポイントとなる。