杏林大学
基本情報
試験時間:2科目100分/問題数:大問3題
分析担当
深石 真行

出題内容・難易度

大問 出題内容 出題形式 難易度
小問集合 マーク式
金属元素に関する知識問題、
溶解熱の測定実験、
固体を含む化学平衡
マーク式
油脂に関する知識問題、
有機化合物の分離
マーク式

問題分析

  1. 本大問は、11題からなる小問集合である。理論5題、無機4題、有機2題からなり、バランスの良い出題であった。問われている内容は教科書傍用問題集レベルのものが中心であったが、当てはまるものを全て選ぶ正誤問題が5題、複数の解答が必要な選択問題が3題見られた。例年、無機に関する正誤問題や選択問題でやや細かい知識が問われ、難しい選択を迫られることが特徴であるが、本年も同様であった。
  2. 本大問は、金属元素に関する知識問題、溶解熱の測定実験についての問題、固体を含む化学平衡の問題という3つのテーマに分かれており、それぞれのテーマにいくつかの問いが設定されている。いずれの問題もやや細かい知識が問われている。ステンレス鋼、トタンの構成成分が出題されており、本問は他の私大医学部でもよく出題されているので、しっかりと対策しておきたい。溶解熱の測定と固体を含む化学平衡の計算問題は、教科書傍用問題集レベルの問題である。
  3. 本大問は、前半は油脂に関する知識を問う問題、後半は有機化合物の分離に関する問題で構成されている。油脂を苦手にしている受験生は多く、対策できているかで差がつくことが多い単元である。ほとんどが知識のみで解ける問題であり、しっかり対策してきた受験生は苦戦しなかったと思われる。後半の有機化合物の分離の問題は、分離する物質が脂肪酸ということもあり、しっかりと原理を理解していたかで差がついた問題であったと予想される。

総評

 ここ数年、本学の入試問題は教科書傍用問題集レベルを中心とした平易な問題で構成されている。本年度は昨年度と比べても易化した。例年、計算問題は計算分量も少なく解きやすい問題が多く、無機・有機は知識問題が中心でやや細かいことが問われることが多い。本年度も昨年度と同様の傾向であり、高得点勝負でミスが許されない試験であったと考えられる。
 差がつくポイントとしては、当てはまる選択肢を全て選ぶ形式の正誤問題で、無機・有機の知識が固まっていない生徒はここで失点を重ねてしまったと予想される。このような問題の対策としては、簡単な正誤問題であっても、安易に消去法で選ばず、しっかりと各選択肢を正誤判定するような学習が求められる。
 本年度の入試で問われた計算問題は、例年と比べるとかなり易しかった。年度によっては思考力を必要とする計算問題が出題されていることもあり、次年度もレベルの高い計算問題が出題されないとは限らない。そのような問題に対してもしっかりと対応できるように、併願する私大医学部の問題とともに、直近5年程度の問題はしっかりと解いておくべきであろう。本年度はこのような時流もあり、高分子の出題が見送られたと予想されるが、過去5年の入試問題ではしっかりと出題されているので、対策は怠らないようにして欲しい。