順天堂大学
基本情報
試験時間:70分/問題数:大問3題
試験時間:70分/問題数:大問3題
分析担当
増子 拓哉
増子 拓哉
出題内容・難易度
大問 | 出題内容 | 出題形式 | 難易度 | |
---|---|---|---|---|
Ⅰ | (1) | Ⅲ 積分 (三角関数の定積分) | マーク式 | 易 |
(2) | A 確率 (サイコロ) | マーク式 | 易 | |
(3) | BⅢ 数列・極限 (等比数列・級数) | マーク式 | やや易 | |
Ⅱ | ⅠB 図形と計量・ベクトル (余弦定理・内積計算など) | マーク式 | やや易 | |
Ⅲ | BⅢ 数列・関数・微積分 (逆関数・Σ計算・不等式証明) | 記述形式 | やや易~標準 |
問題分析
- (1)三角関数を含む分数式の定積分計算の問題である、単体では計算し辛いが、ペアと組み合わせるとすぐに求まる典型例題である。「約分できる形にすること」と「分母の微分が分子の形にすること」のヒントが前半で与えられているため、後半も同じ構造を作ればよい。誘導が丁寧で、計算量も少なかった。
(2)サイコロを5回投げ指定された目の条件になる確率を求める問題。「同じ目が連続で出ない」「同じ目が○回連続で出る」などの定番の条件であった。徐々に場合分けが増えていくが、登場する目が何種類なのかを考察し、その配置を考えていけばよい。
(3)Σで定義された数列がテーマで、ある項を5で割った余りを求めたり、級数を求めたりする数列の総合的な問題であった。(a)の余りの問題は実際に値を出してから5で割っても良いが、合同式を用いて効率的に計算したい。(b)は単純な等比級数である。(c)は等差数列×等比数列の和が正しく処理できるかが問われた。全体を見ると(c)の計算量はやや多いが、いずれも教科書例題の範囲であり、基礎力が問われた。 - 五角形がテーマの平面図形の問題である。(a)は余弦定理や面積公式のみで基本的な問題。(b)ではベクトルの分解をしていくが、前半の誘導がかなり丁寧で使うべき情報はすべて提示されていた。途中で複数個の解が出るが、解答欄の形で1つに絞ることもでき、計算量は抑えられる。後半のCMのベクトルは、長さに注目したり、共線条件を用いたりとMの決まり方に対し何か1つ気付けば進められる。(c)からは図が拡張されるが、対称性に注目して埋めていくだけであり、複雑な計算はなかった。
- 逆関数とΣ計算を融合させた珍しいセットであった。元の関数は無理関数や対数関数なので簡単に逆関数は求められる。(1)(2)はある項を求めたり和を求めたりするだけなので確実に得点したい。(3)は示せとはあるが、実際は計算問題である。ただlogを含む見慣れないΣ計算で手が止まってしまった人もいただろう。このようなケースでは階差の形を作るという意識が必要である。最終的にたどり着くべき式が与えられているのもヒントにしていきたい。(4)は(3)との繋がりを見つけて、微分や平均値の定理を使って不等式証明を完成させるが、時間的に書き切るのは難しいであろう。
総評
【難易度と量】大問3題でマークシート形式が2題、記述形式が1題という例年通りの構成である。大問Ⅰの小問集合も3テーマのままである。(2021年は4テーマであった。)難易度はここ7~8年では一番低く、計算量も一番少ない。例年は論証の色が強い大問Ⅲも、本年度は実質的な証明問題が最後の1つのみであり、解きやすく感じた受験生が多かったはずである。70分あればある程度の計算力のある受験生であれば全問触れることは可能である。Ⅰは完答もしくは1ミスくらいに抑え、Ⅱは(b)まで、Ⅲは(3)の途中までは埋め、全体で75%ほどの得点を目指したい。
【出題分野】数Bの「数列・ベクトル」からの出題が大部分を占めたのが本年度の特徴である。和の計算が合計で5問分も出ていた。小問集合で頻出であった数Ⅲの複素数平面がなく、4年連続で出題されていた空間図形もなかった。数ⅠAについては、2023年は1問も出題されず、2022、2024年も基本的な確率や図形の公式のみで比重は小さい。
【対策】本年度に関しては基本・標準問題がほとんどで、十分な計算速度でミスなく解けるよう問題集で反復練習をすることが重要。3年前までは黄金比やパップスギュルダンの定理など、やや応用的な知識があればすぐ求まるような問題も含まれていたが、近年は中々見られない。複雑な問題に対しては丁寧な誘導が付き、後半はそれを自力で解かせる形式が多い。共通テスト形式の演習も多く入れて誘導に乗る力を付けておくと良い。また、高得点勝負になることから、空間図形や論証など、差が付きやすい問題で思考訓練を積む必要もある。