順天堂大学
基本情報
試験時間:80分/問題数:大問5題
分析担当
渡邉 哲史

出題内容・難易度

大問 出題内容 出題形式 難易度
【長文読解】
下線部同義語選択、空所適語選択、内容一致文選択
選択
【長文読解】
下線部同義語選択、内容一致文選択
選択 標準
【長文読解】
下線部同義語選択、内容一致文選択
選択
【長文読解】
下線部同義語選択、段落主旨選択、表題選択
選択
【英作文】エッセイ文作成 
200語レベル
記述

問題分析

  1. 【文章題材】医療でのAI技術の活用に関して2名の医師にインタビュー 約996words
    例年通りインタビュー記事からの出題。インタビュアーが尋ねた5つの質問に対して2名の医師が答えていくスタイルであり、その答えが論旨に相当する。同義語選択問題は本文を読まずとも語彙知識で判断できるものが多く、内容一致文選択も問題数が3問しかないこともあり本文内容、設問レベルとも非常に易しい。
  2. 【文章題材】宇宙の資源をめぐる所有権などの法整備の課題点 約680words
    今年出題された4題の長文の中で最も難しかったのがⅡである。文量は多く無いものの、法的枠組みの矛盾点などを論じる文章題材が難しく、設問も判断に迷うものが多い。同義語選択では他の大問とは異なり、本文の論旨を把握していないと正確に判断できない。ここで時間をかけすぎてしまって時間配分戦略が崩れてしまった受験生も多いであろう。
  3. 【文章題材】植物が発する超音波についての研究 約664words
    同義語選択問題は、Ⅰ同様に本文内容をふまえずとも解答できるものが多く非常に易しい。内容一致文選択でも段落主旨をストレートに問うものが多く、迷う部分が少ない。多くの受験生が時間をかけずに解くことが出来たと思われる。
  4. 【文章題材】water bear(クマムシ)の遺伝子研究 約927words
    極限環境下でも生存できる耐性をもつ生物クマムシの遺伝子研究により判明したメカニズムやその応用の可能性を述べた文章である研究で分かったことを詳細まで踏み込まずに簡単に説明しているものであり、非常に把握しやすい内容であった。設問レベルも標準的。他の大問にはなかったタイトル問題が出題されている。
  5. 今年度のトピックは「自分が所属した組織での経験がどのように自分のアイデンティティ形成につながったか、また、多文化環境においてどのように役立つことになるか」というもの。まず例年と比べて題材がやや難しい。加えて、条件として「スポーツ、学校での部活を除く」とあるため、書くべき設定を発想する段階で苦戦してしまった受験生も多いであろう。書くべき方向性・文章展開をイメージした上で実体験にこだわらずストーリーを創作していく判断も必要である。

総評

 例年通りの構成ではあるが、文を補充する箇所を選択する問題が昨年に続き出題されておらず、表題選択問題も1題のみであった。ほとんどが下線部同義語選択、および段落主旨把握を基本とする内容一致文選択の限られた設問の種類での出題となった。長文問題が解きやすく英作文問題が難しい傾向が近年続いており、受験生が発想しやすい題材を書かせないための条件を加えてくることも定番となってきている。これまで以上に短時間でスピーディーに長文問題を処理して、英作文問題に時間をかけることが出来るように戦略をシフトしていく必要がある。長文1題あたり12分程度で解いて、英作文に30分以上かけることを想定し、その戦略通りに本番実践出来たかどうかがポイントになってくる。長い文章を短時間で読み、段落の主旨、全体の主題を把握できる力を習得する、英作文ではエッセイ文の書き方を把握するところからスタートして日本語とは異なる英語の文章展開を作ることが出来るようにする。それぞれを相当量練習して処理スピードに自信を持つことが出来るレベルに仕上げることが必要である。