千葉大学
基本情報
試験時間:120分/問題数:大問5題
分析担当
酒井 啓介

出題内容・難易度

大問 出題内容 出題形式 難易度
5 確率 記述式
6 1次関数・通過領域 記述式 やや易
7 複素数平面・三角関数 記述式 やや易
8 指数関数・対数関数のグラフ 記述式 やや易
9 関数方程式 記述式 やや難

問題分析

  1. 確率計算の基本問題。(2)では余事象を考えるのがよいであろう。(3)では結局球をすべて取り出してしまうので、黒球だけに注目して考えればよい。特に計算テクニックも必要ない。15分程度で完答できる問題である。
  2. パラメーターt を用いて計算していけばよい。やや複雑な式にはなるが、私大医学部の問題と比べれば酷いというほどではない。(1)では、∠BRDがつねに直角になるように動くことを考えれば、円になるであろうことは察しがつく。計算ミスをしないようにする以外は定石通りの解答手順で正解できる。
  3. 複素数の周期性を用いて値を求める典型問題。w5=1であることを利用して値を求める。(2)は(1)で導いた式にz=cosΘ+isinΘ を代入することで証明できる。(3)はΘ に代入する値がわかってしまえばすぐに値が求まる。
  4. グラフの面積の極限値を求める典型問題。発想力は必要なく、計算力があるかどうかで勝負が決まる。
  5. (1)(2)で続けて数学的帰納法を用いる。「求めよ」ではなく「示せ」という問題である点を利用して解答したい。場合分けをしなければいけない回数が多く、解答作成に時間が掛かる。すべての実数はtanΘ と表すことができることは、他の問題を解くときにも役立つ発想である。

総評

 例年と比べて解答しやすい問題が多く、高得点を期待できるセットになっている。大問9以外は典型問題な上に計算量が多いわけでもない。
 各大問には簡単には終わらない工夫がされてはいるものの、国公立大学の医学部入試数学では頻出の考え方を用いれば解くことができるものであり、日頃の訓練の成果が現れやすい問題であるといえる。教科書に記載されている基本事項をマスターしていれば解答できるようになっており、大学数学を先取りするような知識は必要ない。
 千葉大数学は、思い込みで解くと間違える問題、発想力が必要な問題、計算力が必要な問題、表現力を問われる問題、数式の意味を読み取る問題と、様々なバリエーションの問題が出題される。「入試問題はこうやって解くものだ」と決めつけてかかると誤答するような仕掛けがされており、小手先の受験テクニックに走った学習法では対応しにくいようになっている。「楽をしたい」「早く値を出したい」と思えば思うほど間違いやすい問題が出題されやすいので、じっくりと考える姿勢を身につけたい。それさえできれば「ちゃんと学習していれば、ちゃんと解答できる」という問題になっている。