千葉大学
基本情報
試験時間:80分/問題数:大問3題
分析担当
糸川 健

出題内容・難易度

大問 出題内容 出題形式 難易度
1 長文
「集約農業による蜂の減少」
記号(6問)、
記述(2問)
標準
2 長文「映画の見方をめぐる論争
 ― 字幕か吹き替えか」
記号(21問)、
記述(1問)
やや難
3 空所補充型自由英作文 記述(5問)

問題分析

  1. 蜂の受粉を助ける働きに多くを負っている人間の食糧生産は、集約農業による蜂の減少で悪影響を受けることを警告した説明文。本文・設問ともに標準的。記述式設問の出来で差が開くと思われる。「語句整序問題」だけでなく「文整序問題」も出されているので、苦手な人は対策しておこう。
  2. 映画を鑑賞するなら字幕と吹き替えのどちらがいいのか、という論争を紹介したニュース記事。受験生に馴染みがなく、それでいて本文中でキーワードとして使われている映画用語に語注が付けられておらず、本番でも苦戦した受験生は少なくなかったと思われる。設問は標準的。
  3. 高校初学年レベルの長文の空所に、文脈に合う英語表現を考えて入れる一種の自由英作文問題。ストーリー自体が易しいので、何を書けばいいかに悩むことはほとんどない。初歩的な英作文力があれば高得点が可能。(4)については、次の段落のHe explained his wife’s request.を参考にして答えることもできる。

総評

 大問構成としては昨年度を踏襲せず、2019年度に類似した出題であった。大問2のような読みにくい長文は本学で時に出題されるが、標準的な長文問題での出来不出来が合否に大きく影響するだろう。また、物語中の空所に英語を入れさせるという、2019年度大問3と類似の空所補充型自由英作文が出題されたが、レベルは初歩的なので高得点は必須である。今年度は例年に比べて記述量が減少したが、本学受験者は記述式設問の解答力を十分に磨いておく必要がある。
 本学は年度による大問構成の変更が珍しくないが、例年受験生に求められているのは次の3つの学力である。

① 標準的な英語長文を正しく読解できる英語力
② 本文の理解と設問の条件を踏まえて、ポイントを押さえた解答を日本語で作成できる表現力
③ 基本的な英作文力

習得する順序もこれに従うとよい。まずは基本・標準レベルの語彙・文法をマスターし、正しく英文を読めるように訓練する。次に、記述式設問を含む長文問題を多く解き、日本語での表現力を磨く。(最終的には1,000語程度の超長文に取り組もう。)そして、初歩的な英作文の学習によって、英語での表現力を培う。
 「本学の問題を解くのに速読は必要か」という問いには、「1分間に60語という不自然なまでにゆっくりしたスピードでも、今年度の3つの問題文を読み切るのに試験時間の半分しか使わない」と答えておきたい。不要な速読技術の習得に血眼になって時間を浪費するよりも、「そもそも今の自分には、ゆっくり読んで長文の内容を理解できる英語力があるのか」を確認する方がはるかに有益なはずである。-- Haste makes waste.「急がば回れ」