千葉大学
基本情報
試験時間:理科2科目合わせて100分/問題数:大問3題
分析担当
小林 雅久

出題内容・難易度

大問 出題内容 出題形式 難易度
2 (力学)円運動、単振動 記述式 やや難
4 (電磁気)非直線抵抗、
ダイオードとコンデンサーを含む回路
記述式
6 (波動)ニュートンリング 記述式 標準

問題分析

  1. (力学)リングに沿って運動する小球についての出題
     前半はよくある設定の問題であることから特別なことはないが、公式を当てはめるだけで解けるというほど簡単ではない。円運動や単振動を含めた力学の基本的な解法をしっかりと身に付けた上で、きちんと状況を把握していければ問題なく解答できる。後半は難易度が上がってくる。方針自体は自然と立てられる問題になっているが、必要な計算量が増えている。特に最後の問題は、単振動としては見慣れない設定であるため慎重に立式する必要があり、解ききるまでの計算量も多く難易度は高くなっている。
  2. (電磁気)非直線抵抗を含む回路、ダイオードとコンデンサーを含む回路についての出題
     全体を通してダイオードに関する出題になっている。前半は非直線抵抗として振る舞うダイオードを含む問題であり、典型的な解法を知っていれば問題なく解答できるが、ダイオードの知識を問う問題が出題された。後半は理想化された機能を持つダイオードを含む回路に関する出題である。電源の電圧が変化するため状況の把握が難しい。時間を追ってどのように変化していくのかをダイオードの原理から考えていく必要がある。コンデンサー回路に関する解法を知っているだけでは解答できない出題であった。
  3. (波動)ニュートンリングについての出題
     全体を通して比較的解きやすい問題であった。ニュートンリングに関する知識は最低限のもので十分であるが、実際には標準レベルの光の干渉に関する解法をどれだけ身に付けられているかが問われる出題になっている。目新しい問題自体はなかった。

総評

 大問4が解きにくかったというのが大きな特徴だろう。逆に言えば、それ以外では大問2の最後の問7が難しかったくらいである。高得点を目指すためには典型的な問題を素早く正確に解答し、残りの時間をじっくり考える必要のある問題に当てていきたい。勘違いしてはいけないことは、「素早く正確に」といっても易しい問題ではないということである。あくまでも入試標準レベルの解法は身に付けた上で計算力も必要となることから、求められる水準は低くない。
 対策としては、教科書傍用の問題集のみでは不十分である。基本事項を教科書と傍用の問題集で学び終えた後は、入試標準レベルの問題集を利用して典型的な解法を押さえていきたい。そして必要になるのが問題演習である。問題集を一巡したところでは、一通りの解法を身に付け初見の問題に対して素早く解けるような状態にはなっていないだろう。過去問も含めて初見の問題に対する演習を進めていきたい。このとき、問題意識を持って学習を進めていくことが大事である。どうして間違えたのか、知識がなかったのであれば補い、初見の考え方があればしっかり学んでいこう。演習を進めることで、解法の定着率をアップさせるだけでなく、より多くの出題パターンに当たることで得点力の底上げに繋げていきたい。