おかあさんの参考書
年末年始、あえて不合格をシミュレーションしてみる

年末年始、あえて不合格をシミュレーションしてみる

鳥居りんこ

年が明けようとする今、中学受験本番を間近に控え、6年生を持つお母さんは気が気でない毎日かとお察し申し上げます。

なにせ、わが子の長期間にわたる頑張りを一番身近で見てきたのはお母さんに他なりませんから、「わが子の努力が報われて欲しい!」と切実に願うのは当然のことです。

今の時期は受験校を確定し、受験スケジュールを作成している頃でしょうが、これが本当に大変な作業になりますよね。
願書提出〆切日にはじまり、受験日時、合格発表日時、入学書類提出日時、入学金振り込み〆切日時の把握は必須。
さらに、初日の受験校の結果によっては、次の受験校が変わることもあるので、こうなったら、こう動く、こっちのパターンであれば、こう動くというような、受験パターンを考えておくこともしなければなりません。

これらに加え、家族それぞれの動き方をシミュレーションしておくことも必要です。
受験校までの付き添いに始まり、お昼はどこで済ますか、午後受験会場までの道のりの確認、入学金やらの一連の手続き関連の作業などなど、いつ誰がどのように行動するのかの擦り合わせをしておかなくてはなりません。

これら事務作業は抜かりなく!なのですが、どちらかといえば、これからは精神力の勝負。家族一丸となって、「絶対に合格する!」という気持ちを持つことが大切。それゆえ、「1点を取りに行く心」と「最後まであきらめないという思い」は受験終了まで、持ち続けなければならないものです。

ただ、哀しいかな、一方で過酷な現実があることも、また事実。第一志望校に合格する子は「今や、5人に1人」と断言する塾の先生もいるくらい激戦であることは間違いないです。

それに加えて、小学生の受験であるがゆえに、ほんのちょっとしたことでミスが重なったり、まさかの不合格で気が動転し、負の連鎖を断ち切る方法が分からなくなることもあり得ない話ではありません。

一番怖いのは、親子でパニックに陥り、立て直しがきかないまま受験が終了してしまうことです。

これを回避するために、今回は「年末年始にあえて行う防災訓練・受験版」をお伝えしようと思います。

世の中には「防災訓練」というものがありますが、これは、ご存じのとおり、「そうなったら困るが、万一のために、あらかじめ予行演習をしておき、もし、災いが降ってきたとしても、最小限の被害で食い止めよう」という趣旨で行うものです。

同じような発想として、万が一、不合格になった場合、家族はこの危機をどう乗り越えるのかを親として、脳内で想像しておくことも受験における大事な作戦のひとつなのです。

具体的には、次の2点になります。

2月3日までに合格をいただけなかった場合のシミュレーション

最近の受験は短期決戦と言われており、早々に合格を取って、受験終了!とするご家庭が増えています。その多くは2月3日までに「決める」というスケジュールで動いているようです。

もちろん、その中でも1月受験を含め、安全校・適正校・チャレンジ校という学校を受験することが多いかと思いますが、ここでひとつも合格を決められなかった場合、果たして、どう動くのか。つまり「最悪のケース」を事前に考えておく必要があるのです。

2月4日以降、受験校も定員枠も少なくなるという現実の中、そこからわが子はどこの学校を受験し、合格を取るのかを、受験本番が始まってから決定するのは容易ではありません。

まさかのまさかが重なって、親子でパニック。塾の勧めによって、見たことも聞いたこともない学校を受験したものの「この学校で大丈夫か?」というご相談は、私のもとにも毎年、入るのです。

やはり、受験は水物。何が起こるか、分かりません。それゆえ、「受験に『まさかのまさか』は想定内」として、念には念を入れた事前準備を怠りなく!ということをお勧めします。

「まさか」が起きた時の声掛けの練習

「合格」と「不合格」。一文字、違うだけなのに、その現実は天と地ほども違います。

中学受験は当日の出来、一発勝負。非常にフェアな受験ではあるのですが、その一方でどんでん返しが起こりやすい受験でもあります。
しかも、そのどんでん返しは、大抵は「ミラクル」とはならずに、逆に「どうして? なんで?」という信じられない結果になるケースが実際、多いのです。

「まさかの不合格」という時に、立ち直った、あるいは盛り返すきっかけというのが親の言動になります。

親は子ども以上にショックを受けやすいのですが、先述しましたように、中学受験は短期決戦。嘆き悲しんでいる暇はありません。

親は負の連鎖を断ち切るためにも、子どもに未来志向で運気が巡ってくるような言葉かけ、あるいは振舞いをしなければなりません。

例えば、ある母は連敗となり意気消沈しているわが子に「今夜は唐揚げだよ!」と大好物を出して、不合格などなかったかのように、淡々と接したことが、翌日の合格を呼び込んだと証言しました。

また、ある母は「お父さんもお母さんも叔父さんも全員、受験では不合格をもらっている。それが普通、それが受験。でも、受けない限りは合格もない!」と明るく言い切り、子どもの気持ちの切り替えに成功しました。

さらに、ある母は「今までは練習。明日からが本番。もう受験の雰囲気に慣れた頃だから、明日は合格よ!」という言葉が効果的だったと教えてくれました。

このように、様々な励まし方があるのですが、当然ながら、子どもによって、その言葉や行動に刺さる・刺さらないが出てきますので、わが子を熟知している母なればこそのやり方で、万が一が起きた場合の声掛けの脳内練習をしておくことは、決して無駄なことではありません。

「不合格」を想定して対策を練るなんて、新年早々、縁起でもない!という気持ちになるかもしれません。しかし、正直な話、「まさかのまさか」を想定しているご家庭には「まさか」は起こらないなぁという実感を持っております。

ぜひ、今の時期だからこその「最悪」への備えをしておいてください。

著者プロフィール

鳥居りんこ
鳥居りんこ
とりいりんこ

作家&教育・介護アドバイザー。2003年、長男との中学受験体験を赤裸々に綴った初の著書「偏差値30からの中学受験合格記」(学研)がベストセラーとなり注目を集める。保護者から“中学受験のバイブル”と評された当書は、その後シリーズ化され、計6タイトルが出版された。自らの体験を基に幅広い分野から積極的に発信し、悩める女性の絶大な支持を得る。近著に『【増補改訂版】親の介護をはじめたらお金の話で泣き見てばかり』(双葉社)、『【増補改訂版】親の介護は知らなきゃバカ見ることだらけ』(同)、『親の介護をはじめる人へ伝えておきたい10のこと』(学研プラス)、企画・取材・執筆を担当した『女はいつも、どっかが痛い がんばらなくてもラクになれる自律神経整えレッスン』(やまざきあつこ著・小学館)、『たった10秒で心をほどく 逃げヨガ』(Tadahiko著・双葉社)、『1日誰とも話さなくても大丈夫 精神科医がやっている 猫みたいに楽に生きる5つのステップ』(鹿目将至著・同)、『神社で出逢う 私だけの守り神』(浜田浩太郎著・祥伝社)など多数刊行。最新刊は『消化器内科の名医が本音で診断 「お腹のトラブル」撲滅宣言!!』(石黒智也著・双葉社)

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