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教育のDXで変わる授業

教育のDXで変わる授業

新型コロナウイルス感染症への対応の過程で、日本社会のデジタル化の遅れがさまざまなところであらわになりました。政府はデジタル庁の創設など、デジタル社会の構築に向けた動きを加速させています。
教育分野でも、オンライン授業の推進やAIドリルの活用など「デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation:DX)」が期待されています。
教育のDXにより子どもたちの学び方はどのように変化するのでしょうか。

ICTの力で生活に変革が訪れる

最近「デジタルトランスフォーメーション」という言葉をよく聞くようになりました。
これはICT(情報通信技術)の浸透が、人々の生活をあらゆる面でよりよい方向に変化させることを指し、英語の「トランス」が「X」と表記されることから「DX」と略されています。

ビジネスの世界でのDXとは、ICTを駆使して新たなビジネスモデルを創造し、組織や経営のあり方を変革していくことを指します。
例えば、「メルカリ」などのフリーマーケットアプリはDXの好例です。それまでパソコンで行われていたインターネット上のオークションをスマートフォンだけで完結できるようにしたことで、幅広い顧客を獲得しました。

今、日本では企業や自治体のDXが課題といわれています。印鑑やFAXの廃止などもDXに向けた取り組みの一つです。
なぜ今、DXが急がれているのでしょうか。それは、世界で急速に進むデジタル化の流れの中で生き残るためです。経済産業省は、2018年に発表した「DXレポート」で、デジタル対応が進まない企業が経営難に陥る「2025年の崖」を提唱して話題を呼びました。

教育では「学び方」が変わる

教育の世界でもDXは注目されています。日本経済団体連合会(経団連)は2021年3月、教育分野のデジタル化の遅れに対応するための提言書を出しました。
この中で、今後求められるのは「自ら関心を広げ自発的に学ぶ、多様性を重視した自律的な学び」であるとし、実現のためには、教育とテクノロジーを組み合わせた技術「EdTech(エドテック)」を駆使して、学びのデジタルトランスフォーメーションを起こす必要があるとしています。

提言では、子どもたちが自律的に学ぶためのキーワードとして次の4つをあげています。

「パーソナライズ」個々人の興味や習熟度に応じて最適化された学び
「シームレス」いつでもどこでもどの環境でもつながれる学び
「ダイバーシティ」多様な価値観が交わり多様な選択肢から選べる学び
「クリエイティブ」好奇心をくすぐる観察と探究により価値を協創する学び

具体的には、次のような学び方がイメージされます。

  • AIドリルを活用して、一人ひとりに合った問題を解く。先生はそれぞれの苦手をフォローすることで、子どもの数学的な思考力を高める。
  • 海外の学校とのオンライン授業を行う。オンライン上で情報を共有したり、共同で編集したりすることで、異なる背景を持つ友達や先生と議論を交わし、コラボレーションする力や問題発見能力を高める。
  • 探究型学習での実験・分析をする。プログラミングや身近なもので現象を再現したり、リアルタイムデータを分析したりする。先生はファシリテーターとして子どもの学びを支援する。
  • オンラインとオフラインの両方を取り入れたハイブリッド型の学習をする。

先生は子どもの「伴走者」に

新型コロナウイルス感染症の拡大で、コンピューター端末を活用したオンライン授業に注目が集まりましたが、教育のDXとは、単にタブレットを使いこなせるように指導することではありません。これまでの学び方や活動のあり方を変革することまでを想定しています。
子どもが解いた学習データをAIで分析すれば、一人ひとりのつまずきを指摘し、授業のあり方を検証する材料になります。従来の一斉授業や、教室の机に座って授業を受けるといったスタイルそのものが、今後変わっていく可能性を指しているのです。

学校や先生はどのような取り組みが必要でしょうか。
経団連の提言では、学校と教員を「児童・生徒の学びの伴走者として、共に悩み考えて、自律的な学びを支援する」存在と位置づけています。つまり、一斉授業をEdTechで効率化し、学習や進路についてのアドバイスをするコーチ的な存在、外部と積極的に交流し、地域や企業、大学、国際社会との架け橋的な存在になるべきだとしているのです。

こうした社会のDX、教育のDXの潮流にいち早く気づいている私立中高一貫校では、「コンピューターを使ってどう教えるか」ではなく、「コンピューターを使って子ども達がどのように学ぶか」といった視点から授業を変えていこうとする動きが見られます。
今年度もコロナ感染予防の観点から、オンラインでの学校説明会が多く予定されています。DXの観点からも、学校の良さを見出していきたいものです。


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