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これからの世界に対応できる、社会が求める人材とは

これからの世界に対応できる、社会が求める人材とは

社会を支える次世代の人材育成の観点から、これまで経済界は教育に関してさまざまな提言をおこなってきました。日本経済団体連合会(経団連)はこのほど、with コロナ時代の教育として、全国でリモート教育が可能な環境の緊急整備を求める提言をおこないました。背景には、世界の産業構造が変化する社会で、新たな価値を生み出す人づくりには、教育現場のICT環境が「諸外国と比べて周回遅れ」であるとの危機感があります。これからの社会で求められる力を提言から見てみましょう。

経団連が学校のICT化で緊急提言

経団連が7月に公表した提言「Society 5.0 に向けて求められる初等中等教育改革 第一次提言〜with コロナ時代の教育に求められる取組み〜」は、学校のデジタル化の遅れを厳しく指摘しています。

学校でコンピュータ端末や通信環境を整備し、教育のデジタル化を進めることは、コロナ禍以前からも課題となっていたこととし、「整備状況に地域間格差が顕著」「学校での課題や学級活動にICTを活用する教員の割合は国際的に見てもかなり低い」「国際学力調査で『読解力』の順位が低下したのは、子どもがコンピュータ画面上での長文読解に不慣れだったから」などの課題をあげています。

今回のコロナ禍による長期臨時休校中に、同時双方向のオンライン教育を実施できた学校は、全体の5%にとどまり、ほとんどが紙ベースの教科書や教材を活用した家庭学習を課すに留まりました。

提言では、コロナ禍が「わが国の学校教育現場がもともと抱えていた問題を顕在化させたに過ぎない」として、抜本的なICT環境の整備を急ぐよう求めています。

想像力や創造力の育成に不可欠

経団連がこのような提案をするのはなぜでしょうか。それは、ビッグデータ活用などのデジタル革新が急速に進展し、産業構造が劇的に変化する“Society5.0”と言われる世界に日本が対応するためには、「デジタル技術を活用しながら、想像力と創造力を発揮して、様々な社会課題を解決し新たな価値を生み出す人づくりこそが重要」と考えているからです。

具体的には、小学校から高校までの間に、数理的推論やデータ分析力、論理的文章表現力、外国語コミュニケーション力、情報選択力、ITスキルなどを、読み書きと同じような「リテラシー」として育成し、その土台のうえに、大学などで論理的な思考や判断力、最終的には問題を発見する力や、未来社会を構想する力を育成できるシステムを実現すべきだとしています。

そのためには、現状の一斉指導や学校という場に限定された学び方を変え、ICTを活用して子ども一人ひとりに合った学びや、探究型学習を実現する必要があります。

だからこそ、家庭でも子どもが学べるリモート教育を可能にする、ICT環境整備に関して緊急提言をおこなったのです。

国は、児童・生徒1人1台端末と高速大容量通信環境を実現する国の「GIGAスクール構想」を、令和2年度の補正予算で前倒し実施することを決めました。

提言は、政府が方針を示していないこととして、「配備された端末を子どもが自宅に持ち帰り家庭学習に使用できる取り扱いにする」「情報セキュリティの安全性にかかわる具体的なガイドラインを政府が提示する」などと踏み込み、オンライン教育と学校での対面形式の教育との「ハイブリッド」な学習環境の構築の実現を提案しています。

未来の学びの「ビジョン」を確かめるチャンス

長期休校中に首都圏の私立中高一貫校では、公立学校に比べ、オンライン授業の実施が進んでいました。

始めた時期や取り組みの方向性は多様でしたが、コロナ前からICT環境の整備を行い、授業での活用や、ウェブサイトやSNSを活用した情報発信など、学校のデジタル化の下地があったから可能になったことだと言えるでしょう。

今回のコロナ禍で、オンラインによる個別相談や説明会のデジタル配信、インターネット出願などはますます普及し、今後も継続されるものと考えられます。

これらの取り組みは、新型コロナウイルス対策や保護者の利便性に資するだけではありません。

経団連の提言や国の施策などを合わせてみると、学校や教育のデジタル化は、将来、社会で活躍できる子どもたちを送り出すための、重要なターニングポイントであることがわかります。

世界的にテレワークが浸透する中、保護者の中にも、ICTをはじめとする先端技術の重要性と、変化への対応力や新たな資質との関連性を強く感じている方もいることでしょう。

学校選びにおいては、新型コロナウイルスの活動が活発化し、再び休校になっても授業を受けられるICT環境があるかどうかを確かめると同時に、デジタル化により学び方がどう変わるのか、生徒に「どのような力を付けさせたいか」というビジョンが明確になっているかどうかも合わせて確認することが必要になってくるでしょう。


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