
さきよみ中学受験

子どもたちの未来に必要な教育とは
学校にも働き方改革
昨年の初めに、焦点となったのは教員の働き方改革でした。
過労死レベルにある長時間労働を是正しようと、現在、学校では在校時間の上限を定め、業務の効率化を図る「学校の働き方改革」が進められています。
公立学校では、タイムカードで勤務時間を把握する、部活動に「休養日」を設定する、外部の指導員を配置するなど、教員の負担を軽減する対応がとられるようになりました。
運動会などの学校行事も時間を短縮し、準備を簡素化するなどの対応をとる学校も出ています。
一方、私立学校は学校法人が経営しますから、働き方改革は労働基準法にのっとって行われます。
民間企業の働き方改革に歩調を合わせ、教育内容に見合った勤務時間の工夫や、教員の配置、ICT環境の整備など、ホワイト化への意識を高めています。
2019年12月、文部科学省は、公立学校の働き方改革の取り組み状況を都道府県別、市区町村別に公表しましたが、「時間削減ありき」ではなく、どのようにしたらよりよい教育活動ができるか、という本来の目的を忘れてはならないでしょう。
大学入学共通テストで民間英語試験・記述式導入の見送り
このコーナーで何度かお伝えしてきたように、2021年1月から、これまでの大学入試センター試験は「大学入学共通テスト」として新たにスタートすることになっています。
その目玉と位置づけられていた「英語4技能の民間資格・検定試験の活用」と「国語・数学の記述式問題」の導入が土壇場で見送られることになりました。
試験実施にあたり、制度の不備を指摘する声が高まったことなどが、その理由です。
文部科学省は、2020年1月15日に有識者や関係団体代表者を集めた検討会議を発足させました。年末までに今後の方向性を取りまとめるとしています。
ただ、英語民間試験や記述式が見送られたのは、あくまで大学入学共通テストであり、国立二次試験や私立大の個別試験では行われます。
このことから、新テスト世代となる現高校2年生、1年生にとっては、見通しのつかない状況が続く結果となってしまいました。
では、今の小学校世代の子どもたちは、大学入試に向けてどのような準備をしていけばいいのでしょう。
結論から言えば、大学入学共通テストが目指す「知識に偏った評価からの脱却」という理念は、揺らぐことはないと思われます。
今回の大学入試改革は、小学校から中学校、高校までの教育改革と一体化して行われています。
小学校では2020年4月から新しい学習指導要領に基づいた授業が始まります。5・6年生で英語が必修化され、4技能をバランスよく身につけることが目標となっています。
中学校の新しいカリキュラムは2021年4月から始まりますが、思考力や判断力、表現力を身につける授業がどの科目でも求められることになりました。
高校では、2022年から学年進行で「総合的な探究の時間」「古典探究」「日本史探究」など、「探究」とつく科目が多く新設されます。自分で課題を設定し、情報を集めて分析し、まとめる問題解決型の学習が増えるわけです。
英語に関しても、授業を英語で行うことを基本とし、ディスカッションやディベートの力を身につけることも目指しています。
このように、小学校から高校まで身につけた力を試すのが、大学入試の本来の意義であるならば、英語4技能の向上、記述力やそれを支える思考力の育成は、テストの形式にかかわりなく伸ばしていかなければなりません。
世界の教育トレンドに目を向けよう
このように、小学校から高校までが、大きな教育改革に取り組んでいるのは、世界の教育の潮流から避けられないものだからです。
人工知能やバイオテクノロジーなど、急速に科学技術が進歩する社会、人やモノの流動性が高まるグローバル社会に求められる力については、経済協力開発機構(OECD)が公表した「Education 2030」の中で、次の3つの能力(コンピテンシー)を挙げています。
- 新たな価値を創造する力
- 対立やジレンマを克服する力
- 責任ある行動をとる力
これらを身につけるには、社会の課題を解決する力や、異なる考えを持った人と共に学んだりすることが必要だと提唱しています。
また、その際には、見通しを持つ、行動に移す、振り返りを行う、という学習サイクルを繰り返すことが大切だとも述べています。
高校の「探究」に象徴されるように、今回の学習指導要領は、この「Education 2030」に大きな影響を受けて構想されました。
これから数年後にお子さんの大学入試を迎えるご家庭では、入試制度の変更は気になるところだとは思います。情報収集を進める一方で、ゆとりのある今のうちに、より大きな視点から、これからの「学び方」のトレンドを押さえておく必要があるでしょう。
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