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最近の大学受験から、わが子に合った中学受験戦略を考える

最近の大学受験から、わが子に合った中学受験戦略を考える

鳥居りんこ

中学受験を志望するご家庭のほとんどが、わが子の大学進学を前提とされているかと思います。

そういう意味では、昔も今も、各中高一貫校の大学合格実績という数字は注目を集め続けているのが実情です。つまり、中学受験をするにあたっては、出口である大学受験の情報もある程度は掴んでおかなければならないということになります。

今回は、大学受験の現状から見た中学受験戦略を考えてみたいと思います。

「センター」から「共テ」へ

ご承知のとおり、わが国は現在、大学入試改革の真っ只中。2021年1月に、それまで行われていた大学入試センター試験(通称:センター)が大学入試共通テスト(通称:共テ)に変更になりましたが、これを軸に大学入試制度は次々と“改革”されています。

センターと違う大きな特徴は、教科書の知識をそのまま問うのではなく、多くの資料から的確に情報を読み取り、思考する力を問われることです。
従来型の「暗記・詰め込み」では通用しない入試にしようという国の施策の現れでもあります。

さらに、2025年度より共通テストには新教科である「情報」が加わりました。多くの国公立大学では「情報」を含めた6教科8科目を必須としています。

国公立大学の場合

国公立大学の一般選抜型入試の合否は、主に共通テストの得点と個別学力検査の合計点で決まります。つまり、共通テストという一次試験があり、各大学が実施する二次試験が課せられるのです。一般的には、前期・後(中)期で各1大学、受験することができるシステムになっています。

※文系学部=外国語(英語)、国語、数学、地歴・公民から1~3教科。東大、京大などでは4教科の場合あり。
※理系学部=外国語(英語)、数学(Ⅰ・A・Ⅱ・B・Ⅲ・C)、理科から2~3教科。東大、京大などでは4教科の場合あり。

共通テストと個別学力検査の点数配分は各大学・学部においても違うので、志望する大学によっても、どちらの対策を優先するのかの戦略も必要と言われています。

国公立大学では上記のような一般選抜が主流ですが、もちろん、学校推薦型選抜や総合型選抜(旧AO入試)もあります。この場合、書類審査・面接やプレゼンテーション、小論文の他にも共通テストの成績が加味されるので、共通テスト受験は必須であることのほうが多いです。
このように、こちらは事前準備に時間がかかる入試でもあるので、相当早い時期からの対策が必要になる入試方法と言え、決して易しい入試ではありません。

私立大学の場合

一方、私立大学ですが、入試方法は様々です。

私立大学全般で言えば6割が「総合型選抜」と「学校推薦型選抜」になっています。
総合型選抜はエントリー後、小論文等の他にも複数回の面談が行われることが一般的ですが、大学・学部への学ぶ意欲が問われます。出願した大学・学部が第一志望校になりますので、自分の進路や適性をしっかりと把握した上で受験する入試になります。

最近では、総合型選抜入試であっても、学力重視で筆記試験を実施する大学が増えており、年内に合否が判明する「年内入試」を行う大学であっても、今後は小論文・調査書・面接の他にも、その大学が求める科目の学科試験を課す方向になるであろうと予測されています。

また、学力試験を課す入試でいえば、従来の選抜方法である個別試験のみで合否判定をする「一般方式」、共通テストのみの出願で合否を決める「共通テスト利用方式(単独型)」、または共通テストと個別試験の組み合わせで判断する「共通テスト利用方式(併用型)」、英検などのスコアを用いる「英検利用方式」などがあります。

個別試験の科目は2〜3科目の場合が多いですが、文系学部であれば、国語・地歴・公民・数学・英語などから、理系学部では数学・理科・英語の中から学科ごとに必要となる科目を課す大学が多いです。最近では文系であっても数学が必須となるケースも増えてきました。

このように、入試方法も評価されるポイントも様々なのが現状です。

学校の説明会で話を聞くポイント

お話ししてきた通り、今現在、大学受験は多様化しており、ある面では“情報戦”であるとも言えます。もっとも、難関中高一貫校の生徒であっても予備校を併用することも多いのですが、それでも、各校が持つノウハウも侮れません。

中学受験を考えるご家庭では、各中高一貫校が大学教育をどのように考え指導しているのかを見極めることが重要です。それには説明会に行って「進路指導」の先生の話をしっかりと聞くことが大事です。

  • どのような方針で6年間のシラバスを運用しているのか
  • 大学受験に対する具体的な指導方法
  • 卒業生の受験方法
  • 卒業生の進路
  • 在校生の文理バランス
  • その学校が大学受験に持っている強み(国公立に強い、医学部に強い、推薦枠を豊富に持つなど)
  • これからの時代に必要となるであろうと言われる「論理的に考える力」「表現力」をどの程度、どういう方法で鍛えようとしているか
  • 特に英語と数学の授業方法
  • 海外大学志望者の有無

などなど、大学受験だけでも、知っておきたい情報は多々あります。

もちろん、小学生の段階で大学受験を見据えるのはかなり難しい側面もありますし、今後、どのように大学入試が変わるのかは現時点では知ることはできません。しかし、志望校を選定するにあたっては、各中高一貫校が大学受験をどう思い、どう指導しているのかということを見ていくのはとても大切なことです。

とりわけ、まだ中学受験に参入されていないご家庭は、お子さんのタイプ、あるいはご家庭の方針に基づき、中学と高校は別々の学校にするのか、公立あるいは私立の中高一貫校なのか、私立でも大学附属か進学校かなど様々なルートに思いを馳せ、お子さんに最善だと思う道に進んでいただきたいと願っています。

著者プロフィール

鳥居りんこ
鳥居りんこ
とりいりんこ

作家&教育・介護アドバイザー。2003年、長男との中学受験体験を赤裸々に綴った初の著書「偏差値30からの中学受験合格記」(学研)がベストセラーとなり注目を集める。保護者から“中学受験のバイブル”と評された当書は、その後シリーズ化され、計6タイトルが出版された。自らの体験を基に幅広い分野から積極的に発信し、悩める女性の絶大な支持を得る。近著に『【増補改訂版】親の介護をはじめたらお金の話で泣き見てばかり』(双葉社)、『【増補改訂版】親の介護は知らなきゃバカ見ることだらけ』(同)、『親の介護をはじめる人へ伝えておきたい10のこと』(学研プラス)、企画・取材・執筆を担当した『女はいつも、どっかが痛い がんばらなくてもラクになれる自律神経整えレッスン』(やまざきあつこ著・小学館)、『たった10秒で心をほどく 逃げヨガ』(Tadahiko著・双葉社)、『1日誰とも話さなくても大丈夫 精神科医がやっている 猫みたいに楽に生きる5つのステップ』(鹿目将至著・同)、『神社で出逢う 私だけの守り神』(浜田浩太郎著・祥伝社)、『消化器内科の名医が本音で診断 「お腹のトラブル」撲滅宣言!!』(石黒智也著・双葉社)など多数刊行。最新刊は、取材・執筆を担当した『黒い感情と不安沼 「消す」のではなく「いなす」方法』(やまざきあつこ著・小学館)。

ブログ:湘南オバちゃんクラブ

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