


夏期講習を考える
中学受験に限らず、受験生にとって「夏休みは天王山」「夏を制する者は受験を制す」とはよく言われる言葉です。
この季節、大手中学受験塾では夏期講習がつきものです。もちろん任意ではあるのですが、塾に通っている子のほとんどが受講しているという現実があります。
この夏期講習、特に6年生の夏ともなると、塾にもよりますが、大変ハードです。拘束時間が朝から晩まで、しかもほぼ毎日という塾もありますし、進み方がハイスピード、かつ量が膨大というところもあります。
なぜなら、夏期講習はこれまでの学習の「総仕上げ」という位置づけだからです。
これまでの学習範囲をフルスピードで駆け抜けていくような講義が展開されるのですが、これは、秋以降の講義が「入試問題の演習」というスタイルに変わるからでもあります。
小学生にとって、かなりの負担であることは間違いないのですが、ここでは特に6年生のお母さん(お父さん)が気にかけたほうがよいポイントをお話ししましょう。
1. 子ども自身がスケジュールを作成する
中学受験は「親子の受験」ではありますが、やはり受験生本人の自主性が大事です。
「やらされている」ではなく、自分の意思で「やっている」という意識を持つために、まずは子ども自身に夏休み中の課題、大まかな進行表、そして日々のタイムスケジュールを作ってもらうとよいでしょう。
小学校の宿題をいつ、どのようにやるのか?
塾の課題はどのタイミングでやるのか?
遊びの時間はどの程度、必要なのか?
これらも含め、子ども自身が「やるべきこと」の優先順位をつけながら、計画を立てるようにうながしてあげてください。
2. その日習った問題に、子ども自身が〇△×をつける
子ども自身が、その日の講義で習った問題をざっと整理しておくことをお勧めします。
「よく理解できている」と思った問題に〇。
「もう少し考えれば、正答に近づけそうな気がする」という問題に△。
「全く理解できていない」と思った問題に×、というように印をつけておきます。
帰宅後、△を中心に復習すれば効率を上げられます。×をつけた問題は、その単元のはじめに戻って自分でじっくり考えるとよいでしょう。そうすれば、後々大きな力を発揮することに繋がります。
3. 苦手分野の洗い出しをしてみる
これまでの模試やテストの結果を見て、どの単元を苦手としているのか、洗い出しをしてみましょう。
「立体図形」、あるいは「比」など、理解が進んでいないと思われる単元を把握すれば、重点的に取り組むことができ、対策を打つことができます。
4. 取捨選択は親の役割
スケジュール通りに行かないことは世の常で、いくら計画表を完璧に作っても、理想と現実が乖離してしまうのはよくあることです。
先述したように、夏期講習は総復習の段階ですので、ボリュームもあり、計画の全て、あるいは塾の課題の全てをこなしていくのはなかなか大変です。
受験勉強はやみくもにやっていくものではなく、戦略を立ててやるべきものです。今の実力と志望校の入試問題との兼ね合いも見ながら、ここは必ず理解しておくべき問題、これは今は必要ない、という具合に、やるべき範囲の取捨選択をしていくことは親の役割です。
塾の先生に相談しながらでもよいので、「やらせ過ぎ」にならないように調整していきましょう。
5. 親は縁の下の力持ちに徹しよう
夏休みは海に山にと真っ黒になるまで日焼けして、夏を満喫している小学生も多いことでしょう。勉強できる環境があるのは確かによいことですが、やはり小学生にとっては「勉強だけの夏」は過酷です。
まずは、子どもの気持ちを十分に汲んであげることが大切です。遊びの時間、リラックスする時間も重要ですので、その時間は確保した上で、どういう言葉かけをしたら伸びていくのかを考えてみてください。
「褒めて伸びるタイプ」「叱咤激励で伸びるタイプ」と、子どもによっても違いますが、個人的には「最終的に伸びる子のお母さん」は穏やかでニコニコしているな、という印象を持っています。過剰に勉強や成績に口を挟むことなく、「頑張ってるね!」という程度の激励の言葉かけをしているイメージでしょうか。
食事やお弁当作り、お風呂の準備、塾の送迎などの日常を淡々とこなしながら、栄養、睡眠、健康の管理に尽力したほうが、長い目で見れば、子育ても好循環となります。
以上、5項目の注意点を述べました。
中学受験では、親が「焦らない」ということも実は大きなポイント。夏期講習を頑張った成果は、すぐには出ないものです。「勝負は本番!」という気持ちを忘れずに、親子ともども、ストレス発散の時間は確保した上で、夏を乗り切っていきましょう。
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