おかあさんの参考書
中学受験での親の役割を考える

中学受験での親の役割を考える

鳥居りんこ

中学受験は親子の受験ですので、どんなお子さんであろうとも、親のサポートは必須です。
例えば、塾の送り迎えであったり、お弁当の用意であったりという「通塾」に関連したサポートはもちろん、塾の個人面談や保護者会などへの出席といったこともあります。
さらに、学校説明会に参加して、志望校を絞っていき、受験スケジュールを組むことも、親でなければできないことです。

このほかにも、親の「お仕事」として、おもに以下の4つの事柄が加わります。

1.健康管理

こちらは受験の有無にかかわらず、すべての親に当てはまるミッションですが、こと受験生の親には、最大級に重要な「お仕事」となります。
何はなくとも、健康です。それは受験生である子どもだけではなく、その家族全員の健康維持が何より大切なのです。
今年もコロナ禍ですので、保護者の皆さんは大変なご心労を抱えているかとお察ししますが、とにかく、うがい・手洗い・除菌という基本行動を励行し、無事に受験日を迎えて下さい。
このほかにも、睡眠・栄養・運動の3大健康管理は親としての腕の見せ所。成績を上げたいのでしたら、まずはよく食べ、よく眠り、適度に体を動かすということを優先したほうが早道になります。このサポートだけは手厚くお願いしたいところです。

2.学習管理

中学受験塾では、たくさんのプリントが出されることが普通です。塾によっては、とても対処できないような量が配られますが、このプリントは元々、すべてを解答する必要はないものです。
わが子の力量によって取捨選択をしていくのがセオリーですが、この選別は子どもには難易度が高過ぎますし、事実上、子どもにはそれをやる時間がないでしょう。
要はこれも親の仕事なんですね。
もし、やり方が分からないようでしたら、塾に相談してみてください。

同時に、「今はこの単元をやっているのか」「ここまでは理解できているんだな」ということをなんとなくでも把握できると、なおいいですね。
また、6年生の秋以降は過去問学習にチャレンジしていくことになりますので、これらの問題調達、時間捻出、丸付けなども含めたサポートが必要です。

3.時間管理

なにせ中学受験は時間が足りなくなるものです。子どもは学校の授業を受けた上で、残業のように塾に行くのです。
いい悪いは置いておくとして、現実問題、親子共々、ものすごく忙しい暮らしになります。

この時、コーチ役の親の役割として、タイムスケジュールの管理が挙げられます。
何時何分に塾に行かせるから、それまでにどの課題を消化して、帰宅後、お風呂はどのタイミングで、就寝時間は何時というように最適な時間割を作った上で、親が上手に誘導していかなければなりません。
この時間割がスムーズに実行されることが望ましいのですが、日常生活はアクシデントとハプニングの連続ですので、都度、臨機応変に対応することが求められていくでしょう。現実的には最適値を求めて、手探りということになりやすいのですが、親子で必要なタイムテーブルを話し合い、少しずつ「合格」を手繰り寄せていきましょう。

4.モチベーション管理

中学受験は当然ながら小学生の受験、しかも日本全体の小学生から見れば、ごく少数の子たちの受験です。
周囲の子は遊んでいる中、自分だけが勉強を強いられると感じる場合や、頑張っているのに、なかなか成績が上がらないという場合、「やる気」を保つのは容易ではありません。
中学受験は山あり、谷ありで、一筋縄ではいかない世界ですので、その長い受験生活の間には数え切れないほどの親子バトルがあるのが普通です。中には、転塾や受験撤退を考える人もいるでしょう。
コーチ役である親には、苦しい時ほど冷静なサポートが求められるのですが、親も人間、思うように行かないことのほうがむしろ普通です。
もし家庭内で煮詰まったなと思ったら、塾に相談する、中学受験経験者に相談するなどして、「今、なにをすべきか」ということに立ち返ってみましょう。
子どもが疲れてきたなと思った時は、リスタートのつもりで、思い切って少し勉強から離れる、思い切り遊ばせるなどの方法も有効です。難しいことではありますが、やる気を導いてあげるのも親に課せられた重大なミッションなのです。

以上、親のサポートとして4項目挙げてみました。
親は子どもにとって、最大最強の応援団です。それを忘れずに、お子さんと一緒に中学受験を楽しんでいただきたいと願っています。

著者プロフィール

鳥居りんこ
鳥居りんこ
とりいりんこ

作家&教育・介護アドバイザー。2003年、長男との中学受験体験を赤裸々に綴った初の著書「偏差値30からの中学受験合格記」(学研)がベストセラーとなり注目を集める。保護者から“中学受験のバイブル”と評された当書は、その後シリーズ化され、計6タイトルが出版された。自らの体験を基に幅広い分野から積極的に発信し、悩める女性の絶大な支持を得る。近著に『【増補改訂版】親の介護をはじめたらお金の話で泣き見てばかり』(双葉社)、『【増補改訂版】親の介護は知らなきゃバカ見ることだらけ』(同)、『親の介護をはじめる人へ伝えておきたい10のこと』(学研プラス)、企画・取材・執筆を担当した『女はいつも、どっかが痛い がんばらなくてもラクになれる自律神経整えレッスン』(やまざきあつこ著・小学館)、『たった10秒で心をほどく 逃げヨガ』(Tadahiko著・双葉社)、『1日誰とも話さなくても大丈夫 精神科医がやっている 猫みたいに楽に生きる5つのステップ』(鹿目将至著・同)、『神社で出逢う 私だけの守り神』(浜田浩太郎著・祥伝社)、『消化器内科の名医が本音で診断 「お腹のトラブル」撲滅宣言!!』(石黒智也著・双葉社)など多数刊行。最新刊は、取材・執筆を担当した『黒い感情と不安沼 「消す」のではなく「いなす」方法』(やまざきあつこ著・小学館)。

ブログ:湘南オバちゃんクラブ

Facebook: 鳥居りんこ

Youtube:鳥居りんこちゃんねる


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