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個別学習塾を追加するタイミングを考える

個別学習塾を追加するタイミングを考える

鳥居りんこ

中学受験対策として多くの受験生が利用している先が大手の集団塾になります。大手の集団塾は中学受験のカリキュラムや情報提供に長けており、受験生活全体のペースメーカーという役割も兼ねているので、頼もしい存在であります。

とは言うものの、集団塾にいると、受験期が近づくにつれて「今のクラスのままで大丈夫だろうか?」「うちの子、授業に着いていけている?」と不安になる保護者の方が出てしまうのもまた事実。中学受験家庭が抱えがちなお悩みには「わが子が集団塾でつまずき始めた」というのがとても多いのです。

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「ハイブリッド型」が増加傾向

そこで選択肢に挙がるのが「個別指導塾の追加(併用)」になります。
中学受験にはTOMASを筆頭に個別学習塾という存在があります。“個別”ですから、当然、その子個人の理解度や志望校に合わせての微調整が可能。よりパーソナルに受験生活を伴走してくれる心強い味方といえるでしょう。

もちろん、最初から個別1本で受験を戦う子もいますし、集団塾のみというケースもあります。
しかし、最近では「ハイブリット型」、つまり集団塾と家庭教師も含む個別指導を併用しているご家庭が多くなっているといわれています。
(ライフデザイン運営の「中学受験ポータル」の調査では合格者の約57%が家庭教師や個別指導塾を利用したと回答。その内の6割以上が、個別指導がなければ合格は難しかったと答えています
https://lifedesign-edu.jp/chugakujuken-kobetsu/#st-toc-h-2

私個人も「ハイブリット型」は増えているという印象を持っています。それは共働きの影響を多分に受けており「教育も外注」というのが一般的になったことと、少子化の影響で子ども一人にかけられる教育資金が上がっているのが理由ではないかと考えています。

今の保護者の皆さんは塾を上手に使い分けていて、「最初からフル併用」というよりは「成績や学年に応じて一時的に個別を追加」といった具合に、個別を“保険的“に利用されている方が多いと感じています。つまり、カリキュラムと情報は集団塾、調整とフォローは個別塾という形で役割分担をして利用するご家庭が多いのです。

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個別塾は、家庭学習面のフォロー役

では、どのタイミングで個別塾の利用を考えたら良いのでしょうか。個別塾を追加するタイミングとその理由には大きく分けると次の3パターンがあります。

1)小5前半の「基礎固め・つまずき防止」

中学受験の勉強は小学校の授業よりも遥かに難しいです。小5になれば学習単元も増え、一気に難易度が上がったと感じるほうがむしろ普通です。
この時期に国語の読解ができない、算数の基礎がおぼつかないといったことで「つまずき」を感じた場合に、遅れのリセットと学習習慣の立て直しという目的で、個別塾を限定的に利用するケースがあります。

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2)小5後半~小6夏の「苦手科目の補強」

小5の終わりから小6の前半あたりは成績の伸びが頭打ちになりやすく、苦手科目と得意科目の差がはっきりしてくる時期になります。
苦手科目があるのは自然なことなので、すべての科目を得意にしようと躍起になる必要はないのですが、合格を取る上では、苦手科目の中でも誰もができている問題は解けるようにしておいたほうが良いのは確かです。
それゆえ、模試や振り返りテストの結果から科目と単元を絞って、苦手な分野を少しだけ引き上げるイメージで個別塾を利用するケースがあります。

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3)小6の夏以降の「志望校対策・過去問演習」

多くの大手塾では、小6の夏休みはすべての単元の学習が終了しているとみなしており、総復習の時間に充てています。
ここで理解しきれていない分野があらわになりやすいのですが、この弱点補強のために個別塾を利用する場合があるのと、秋以降から本格的に始まる過去問演習に合わせて、わが子の志望校の出題傾向に応じた頻出単元や記述対策などを、ピンポイントで指導してほしいという目的で利用するケースがあります。

過去問の丸付けはご家庭でもできますが、やはり添削などの細かいところまではなかなか回らないので、そこを個別塾に任せるご家庭も多いです。

特に、集団塾の「志望校別特訓」は基本的には上位校や人気校の対策がメインです。「わが子の第1志望校の対策コースがない」「解説を読んでもわからない問題のフォローがほしい」という場合、秋からの個別塾追加は非常に強力な武器になり得ます。

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このように個別学習塾は、家庭ではなかなか見きれない学習面をフォローしてもらうために利用することがほとんどです。

個別塾という特効薬の副作用に注意!

一方で、個別塾の追加(併用)利用には注意が必要です。

それは、ズバリ「丸投げ厳禁!」

個別塾を追加して成績が伸びる家庭と、逆に失速してしまう家庭の間には、その使い方に決定的な違いがあります。

合格を引き寄せる「賢い使い方」のポイントは【目的の限定】です。
「算数が苦手だから全部みてください」という曖昧なオーダーでは、集団塾の学習の上に、さらに個別塾の学習が加わることになりかねないので、完全なオーバーワークになってしまうという危険性があるのです。

子どもをパンクさせないためにも、目的をピンポイントに絞ったほうが上手くいきます。
たとえば、算数の「立体図形」のみ、国語の「記述対策」だけを集中的にお願いするなど、「依頼すること」を限定したほうが効果を発揮しやすいです。

もし、集団塾のフォローをお願いしたい場合は新たな教材を追加するのではなく、集団塾のテキストの中で理解しきれていない問題や宿題のサポートをしてもらうほうが効率的でしょう。
また、それぞれの塾での宿題の優先度などの調整は子ども自身では判断できないので、学習量の調整は保護者の役割になります。

そういう意味でも、集団塾との兼ね合いで個別塾を週に何コマ取るかを慎重に考えてください。
塾での時間を増やせば必ず合格というのであれば行かせる価値はあるやもしれませんが、「塾を増やす=子どもの負担になる=生活リズムが崩れる」ということにつながるケースもあるので、お子さんの体力、性格なども含めて総合的に判断してください。

また、個別塾は時間単価が高くなりやすいという傾向があります。コストの面からもご家庭の上限金額を定めた上での選択のほうが、無理がありません。

さらに、一口に個別塾といっても様々な塾があります。
中学受験は特殊な解法(つるかめ算や旅人算など)が必要なため、「中学受験の指導実績が豊富な塾」であるのか、「プロ講師・実績のある学生講師」を指名できるのかも確認してみてください。ご家庭が何を望んでいて、それに対してどのようなフォローができるかを塾と共通認識として持つことは欠かせません。

さらにお通いの集団塾との併用実績、その教室での志望校の合格実績、通っている集団塾の教材持ち込みの可否、講師の変更の可否なども確認しておいてください。それにはやはり、入塾前に教室長や担当者との腹を割った面談が必須です。

もちろん、通うのはお子さんなので、塾や講師との相性が大事です。体験授業などを通して、その場所がやる気が出る空間かどうかの感触は、お子さん自身で確かめる必要があります。

個別塾は「困ったらとりあえず足してみる」場所ではありません。個別塾は、いわば中学受験における「特効薬」のようなもの。正しく使えば劇的な効果をもたらしますが、処方箋(目的)を間違えれば、子どもを疲れさせてしまう副作用もあります。

個別塾という選択をされる際は、保護者は冷静に「何のために、どのように」という意識を持ち、個別塾を「戦略的なツール」として活用してください。
これができるならば、子どもの負担を増やすことなく目的を達成することも可能です。

まずは「集団塾のこの部分を補うために、○カ月だけ個別塾に頼ろう」といった具合に、わが家の現状に合わせた「ちょうどいい併用プラン」を冷静に組み立てることをお勧めします。

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著者プロフィール

鳥居りんこ
鳥居りんこ
とりいりんこ

作家&教育・介護アドバイザー。2003年、長男との中学受験体験を赤裸々に綴った初の著書「偏差値30からの中学受験合格記」(学研)がベストセラーとなり注目を集める。保護者から“中学受験のバイブル”と評された当書は、その後シリーズ化され、計6タイトルが出版された。自らの体験を基に幅広い分野から積極的に発信し、悩める女性の絶大な支持を得る。近著に『【増補改訂版】親の介護をはじめたらお金の話で泣き見てばかり』(双葉社)、『【増補改訂版】親の介護は知らなきゃバカ見ることだらけ』(同)、『親の介護をはじめる人へ伝えておきたい10のこと』(学研プラス)、企画・取材・執筆を担当した『女はいつも、どっかが痛い がんばらなくてもラクになれる自律神経整えレッスン』(やまざきあつこ著・小学館)、『たった10秒で心をほどく 逃げヨガ』(Tadahiko著・双葉社)、『1日誰とも話さなくても大丈夫 精神科医がやっている 猫みたいに楽に生きる5つのステップ』(鹿目将至著・同)、『神社で出逢う 私だけの守り神』(浜田浩太郎著・祥伝社)、『消化器内科の名医が本音で診断 「お腹のトラブル」撲滅宣言!!』(石黒智也著・双葉社)など多数刊行。最新刊は、取材・執筆を担当した『黒い感情と不安沼 「消す」のではなく「いなす」方法』(やまざきあつこ著・小学館)。

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