

中学受験で小1から鍛えておくべき力や気をつけるべきことは?
小学校低学年から中学受験への道のりを考えるとき、小1からどのような力を育てていけばよいのでしょうか。また、保護者や家庭はどんな点に気をつけるべきでしょうか。
中学受験に向けた学習と、子どもの心身の成長とを重ね合わせながらイメージしていくことで、志望校合格へのロードマップが見えてきます。
小1の子どもはどんな特徴がある?
小学校に入学した直後から、中学受験を意識する家庭が増えています。入試本番はずっと先の話ですが、1学年ずつ進級していく中で、可能な準備は少しでも早くからしておきたいものです。学校生活が始まる「小1」とはどんな時期なのかを見てみましょう。
元気いっぱい! 周囲と関わりながら育つ
小学校に入学し「学童期」がスタートするのが小1です。子どもはそれまでの幼稚園や保育園で過ごした「幼児期」の特徴を残しながら、身近な人や周囲のモノとのかかわりを深めて、認識力や社会性を身につけていきます。この時期の子どもは活動的で「その小さな体のどこにそんなパワーがあるの?」と不思議に思えるほどのエネルギーに満ちています。
勉強に慣れていく時期
小学校に入ると、教室の机の自分の席に座り、初めて授業を受ける経験をします。教科書を開いて読む、ノートに文字や数字を書く、最近では1人1台のタブレット端末が整備されているので、コンピューターを使った勉強も始まります。
ただし、小1の子どもは注意力や集中力が未成熟で、長時間座って先生の話を聞くことができません。じっとしていられない、飽きっぽいのはある意味当たり前で、少しずつ学校で勉強することに慣れていく時期なのです。
気持ちを言葉にするのはまだ難しい
学校ではクラスを中心に友達ができ、給食や行事など大勢の集団で行動する場面も多くなっていきます。けれども小1の段階では、発達心理学でいう幼児期の「自己中心性」が残っている状態です。自分以外の客観的な視点をまだ持てないので、相手の立場になって考えたり、自分の気持ちを伝えたりするのが難しいのです。
友達同士で協力しながら勉強したり、遊んだりできるのは小2以降です。先生や保護者との1対1の遊びやかかわりの中から、コミュニケーションをとっていくことが必要です。
小1の間に鍛えておくべき力は?
小1の子どもの心と体は、日々成長していますし、個人差も大きいものです。中学受験の勉強を、中学年以降の子どもと同じように捉えてしまうと、無理な「押しつけ」になってしまいます。すぐ手の届く目標を設定して達成する習慣をつけ、そして、できなかったところは次に頑張ってみよう、という気持ちにさせることが、この時期の「鍛え方」といえるでしょう。
基礎的な読み・書きの力
小学校に上がる前から「読み・書き」に親しんでいる子どもはたくさんいますが、学校ではカリキュラムに基づいて「ここまで学んでほしい」という範囲が決まっています。例えば、小1で習う漢字は80字。漢字の音読みや訓読みも含まれます。まずはこれをしっかりと身につけるようにしましょう。
難しい言葉を覚えたり、使えるようになるのは小2以降ですが、絵本や児童書の読み聞かせや、親子での日ごろの会話も言葉の力を高めるのに役立ちます。
数の概念と計算力
「数の概念」は幼児期にその基礎が芽生えます。数は「量」や「順番」を示すものという理解から始まり、小1になるころには10以上の数量を理解できる、1から100まで数えられたり、2~3桁の数字が読めるようになったりします。そうした認識を土台に、小1の算数は足し算と引き算や、その筆算、量の比較などを学びます。
もし小1でつまずきがあるようなら、その前の段階の「量」や「順序」の理解がまだ追いついていないのかもしれません。ゆっくり順番を数えたり、数字ではなく具体物や指を使って目でわかるような教え方が有効です。
勉強を習慣化して継続する力
先ほども紹介したように、小1の子どもは集中力を持続することがまだできません。さらに、頭が体より大きくて転びやすい、視野は大人の半分といわれ、「見えていない」部分も多いなど、身体的にも発達途上にありますから、興味や関心もすぐにそれてしまいます。自分で気持ちや行動をコントロールするにはまだ時間が必要で、保護者が上手に導いてあげるのが大切です。「ここまで進んだら、一緒に遊ぼう」など、身近な目標を設定し、達成したときのワクワク感を作ってあげましょう。
小1から中学受験をする際に気をつけるべきこと
中学受験を意識していると、どうしても「点数」にばかり意識が向きがちです。でも、小学校低学年から、いわゆる受験対策としての学び方を確立するのは時期尚早です。むしろ、保護者や先生、友達とのコミュニケーションで育まれる信頼関係と、それに応えて「勉強することの楽しさ」を味わえる環境づくりが重要です。
満点を目指さない
小1の学習内容は大人から見れば簡単で、子どもにも「これぐらいは解けるはず」と、多くを求めがちです。丸や点数がつくドリルは知識の定着には役立ちますが、過剰に頼るのは考えもの。「自分で考える」ことをしなくても、量をこなせばいい、と子どもが誤った学習をしてしまうからです。満点にこだわらず、子どもをよく観察して、自分で考えていたかを見てあげてください。
結果だけを大事にしない
自分で考える力を育てるには、保護者が「できた・できない」で白黒をつけすぎないことも必要です。子どもたちの「誤答」には、それなりの理由があるといわれます。子ども自身はなぜ間違ったかを分析できないので、保護者が代わりに「こう考えたのかな?」と会話しながら思考プロセスをたどっていけば、つまずきが明らかになり、次に生かせます。正解したときだけでなく、間違っていても子どもなりのロジックがあったなら、自分で考えられたのをほめてあげましょう。それが失敗を怖がらない気持ちを育てます。
子どもにストレスがたまらないようにする
小1の子どもの世界は、ごくごく身近な人やモノとの関係で成り立っています。それだけに保護者のかかわり方や言動、学習環境がストレスとなって、子どもに影響を及ぼすことも少なくありません。「勉強しなさい」ではなく「なぜ勉強するといいのか」と話してみる、「これをやってみる?」と子どもに決めさせる、など、解いてみたいという好奇心を引き出すコミュニケーションがお勧めです。
また、わからないところは素直に聞けるような和やかな雰囲気を作る、気が散らないように机を整頓してすっきりした気持ちで机に向かえるようにするなど、ストレスの原因となるものを取り除いてあげるのもポイントです。
時間のゆとりは十分にとって
「早く」「遅れるよ」「まだ?」は、保護者が毎日子どもたちに使う言葉ベスト3といってもいいかもしれません。学校では小1のうちに10時、3時などのちょうどの時刻と、「10時半」「3時半」などの30分の時計の読み方を学びます。けれども体感的に「時間感覚」がつかめているわけではないことに注意してください。「あと5分頑張ろう」といっても、実はどのぐらい頑張ればいいか、伝わっていないことが多いのです。時間通りに終わらせる、決まった時間に何かをすることができるようになるのは、もっと先です。「あと3問やろう」など具体的な目標を示し、できるまでの時間にはゆとりを持たせましょう。
小1からの中学受験を保護者はどうサポートすればいい?
6年後の中学受験を小1から支えるポイントは、「勉強への向き合い方」をどう育てていくかにあるといえます。文部科学省ではこうした態度や姿勢も、予測不可能な時代を生きるための「学力」だと認めています。中学年、高学年になって自ら中学受験に挑む力をつけるために、低学年からの保護者のサポートはおろそかにできないのです。
過程を大切にして、きちんとほめる
保護者としては子どもの「できないところ」に目が向きがちですが、この時期は「できるところ」「良いところ」を探し出し、たっぷりほめてあげてください。それが子どもの自己肯定感を高め、「問題を解いて正解したい」「もっと勉強してみたい」という「学びに向かう力」の土台になります。
生活の基盤を整える
中学受験を乗り切る「学力」を支える要素のひとつに「体力」があります。低学年のうちから食事や睡眠、運動など健康な体づくりを意識し、生活リズムを整えておくほうが有利です。学校に通っていると、そうしたリズムが自動的に作られますが、夏休みに入って夜更かしが続いたり、テレビやネットばかり見てしまったりして、それが崩れてしまうことがあります。子どもの成長のペースに寄り添いつつも、生活の基盤を徐々に整えていきたいものです。
まとめ
小1からの中学受験対策は、学童期の入り口にある子どもの発達特性をつかんだうえで、保護者がリードしていくことが大切です。子どもが自分で選んだり、考えたりしたことを認め、良いところ、優れた点をほめて「もっと勉強してみたい」という気持ちを引き出すことができれば大成功なのです。
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