横浜市立大学
基本情報
試験時間:2科目180分/問題数:大問3題
試験時間:2科目180分/問題数:大問3題
分析担当
川口 奈奈子
川口 奈奈子
出題内容・難易度
大問 | 出題内容 | 出題形式 | 難易度 |
---|---|---|---|
1 | 呼吸と光合成 | 記述式問題全2問。基本用語を答える問題を含み、論述問題は80字、125字以内の2問。 | 標準 |
2 | 細胞増殖と遺伝子発現(タンパク質合成) | 記述式問題全4問。論述問題は60字、40字、80字150字以内の4問。 | 標準 |
3 | 反射と伴性遺伝、骨格筋の収縮 | 記述式問題全4問。問題文1と2は基本用語を答える問題を含み、問題文2は簡単な遺伝の計算問題を含む。論述問題は75字、40字、150字、120字以内の4問。 | 標準からやや難 |
問題分析
- 解糖系、クエン酸回路の化学反応式や、光合成色素、光受容体を覚えている受験生には、易しい問題だったと思う。放射性同位元素を測定して、化石の年代を推定することが可能なのは、放射性同位元素が有する半減期を利用することによる。
- 問題文1について、同化と異化の違いについてはほとんどの受験生が記述できたと思う。細胞増殖(細菌の増殖)も生物個体の生態における増殖と同様の理由で、S字型の曲線を示すと考えられる。問題文2について、原核生物と真核生物の違いをオペロン、DNAの構造、mRNAの合成について述べ、原核生物が効率的である(無駄が少ない)ことを述べるのが良いと思う。コドンを推定する問題は、終止コドンから考えれば良い。CがTに変異すると終止コドンになること、そのTをAに変えてもアミノ酸が変わらないことがヒントとなると思う。
- 問題文1について、基本用語を答える問題は、多くの受験生が正解できたのではないかと思う。運動神経からアセチルコリンが放出され、筋肉のアセチルコリン受容体と結合し、活動電位が発生するしくみを述べる。問題文2は比較的易しい問題である。問題文3は、現象の説明を150字、120字以内と長めに記述しなければならないので、難しく感じる。まず酵素Bは、クレアチンリン酸とADPに働く酵素なので、クレアチンキナーゼであると考えられる。したがって①ではATPが十分にある状況で、それまでの収縮反応とは逆に弛緩反応が起こっている点が注目される。②ではCaイオンが溶液に添加された状況になって急激な収縮が起こっているので、①の間に溶液のCaイオン(トロポニンに結合したCaイオンも遊離)が吸収されたと考えられる。Caイオンを取り込むのは筋小胞体なので、①の分画Aに筋小胞体が含まれており、ATPを使ってCaイオンを取り込んだと説明できると思う。
総評
例年と変わらず、理科2科目で180分、大問3題であった。問題の難易度は、例年に比べて、思考力が問われる難しい問題が増加した印象である。特に、記述式の問題にその傾向がある。記述式以外の問題は、基本から標準レベルであると思う。ここはしっかり得点しておきたいところであり、基礎の充実も大切である。論述問題は、非常に重視されており、筋道の通った説明、読み手に分かりやすい表現が要求されていると思う。対策としては、論述を含む問題集をやっておく必要があるのは言うまでもないが、字数制限にも慣れておくと良い。すなわち、例えば、50字、100字がどれくらいの分量になるかといった感覚をつかんでおくことが有効だと思う。記述式の解答は、まず内容を考え、字数に合わせて説明する内容を追加あるいは削除して、調節するのが良いと思う。また、日頃から、生物や医学に関する様々な事象や実験結果について説明(表現)することを心掛けてほしい。科学分野に求められる明快な記述文を書くためには、自分が書いた記述文を、教師や講師に添削してもらうことを勧めたい。