東京医科大学
基本情報
試験時間:60分/問題数:大問4題
試験時間:60分/問題数:大問4題
分析担当
国政 力
国政 力
出題内容・難易度
大問 | 出題内容 | 出題形式 | 難易度 |
---|---|---|---|
1 | A 確率 B 数列 (条件付き確率、数列の和、二項定理) Ⅲ 複素数平面、極限(複素数のn乗、eの定義) |
マーク式 | やや易 | 2 | A 確率 (積が倍数になる確率、条件付き確率) |
マーク式 | 標準~やや難 |
3 | B 空間ベクトル (ベクトル方程式) |
マーク式 | 標準~やや難 |
4 | Ⅲ 微分法、積分法 (第2次導関数、接線、面積) |
マーク式 | やや易~標準 |
問題分析
- 4 題からなる小問集合である。昨年度と2020 年度には小問どうしに関連のあるものが含まれていたが、今年度は4題が独立した小問となっている。(1)はウイルス検査を題材にしているが、典型的な条件付き確率の問題。問題文の最初に与えられた2つの確率が条件付き確率であることに注意すればよい。(2)は等式を用いれば二項定理で和が求められる。(3)は1+を極形式に直してその乗を求めればの条件は簡単に求められる。(4)は対数の式変形を行い、の定義に結び付ける基本問題である。どの小問も方針がすぐ立てられる問題なので短時間で処理し、完答しなければならない。
- 確率の典型的な問題で、数の積が素数や倍数になる確率を求める問題。同じ数が書かれたカードが2枚ずつあるが、確率はすべて異なるカードであることを前提に解かなければならない。混乱なく処理ができたかがポイントになる。(2)、(3)では、積が4の倍数や8の倍数になる確率の求め方として余事象を考える解法が定着していたかが問われる。しかし、(3)で最終的な解答である条件付き確率を厳密に求めるには書き上げるか丁寧な場合分けが必要なので、予想して答えるか飛ばすことが現実的であろう。
- 空間中のベクトルに関する問題である。ただし、(1)の四面体の体積を、ベクトルを用いて計算するとかなりの時間を要してしまうので、簡単に求める方法を選択しなければならない。(2)(3)はベクトル方程式の知識を用いると、動点の動く範囲が平行六面体や三角形になることがわかる。平面上において平行四辺形や三角形の周および内部になる条件は誰もが知っているが、空間に発展させることに不慣れであるととまどってしまうだろう。また、(3)は動点の動く範囲が空間中の三角形であることが分かっても、厳密に最小値をとる動点の位置を求めるには時間がかかるので、図をかいて予想し解答することになると思われる。
- 数学Ⅲの微分法・積分法の基本問題である。与えられた関数の式や第2次導関数の符号からグラフの概形が予想できればかなり有利になる。面積計算に必要な積分も、部分積分を正確に行えばよいだけである。最後の設問も改めて積分計算をすることなく、直角三角形の面積と前問の答との差で済むので、時間に余裕がある段階で取り組んでいれば十分に完答できる問題である。
総評
昨年度は小問集合に計算量を要する問題があるが大問が易しく総じて易化といえたが、今年度は解きにくい問題があり易化傾向に歯止めがかかった。第1問の小問集合に複雑な計算を要する問題がなく、第4問の微積も少ない計算量で済む一方で、第2問、第3問は(1)(2)が標準的な典型問題、(3)がともに厳しく、問題ごとの難易度に差のあるセットであったといえる。全てマーク式でミスが許されず、60分という厳しい時間設定であるので、難易度に合わせて臨機応変に解答していく必要がある。特に、今年度の第2問、第3問の(3)は、解答に必要な数値が途中までは求めやすく取り組みたくなるが、厳密な解法で最終解に至るには時間を要する問題だったので深入りしたくない。
この2問以外で正答率80~85%を確保すれば合格点(65 点~70 点)に達するであろう。今年度は積分計算が易しかったが、例年やや複雑な微分や積分の計算が出題されている。これらを含めた標準問題を短時間でミスなく解答する訓練をしていくことが合格への着実な一歩になる。