東京医科大学
基本情報
試験時間:2科目120分/問題数:大問7題
分析担当
谷 卓郎

出題内容・難易度

大問 出題内容 出題形式 難易度
1 鉛直方向の円運動 マーク式 やや易
2 万有引力の下での運動 マーク式
3 非オーム抵抗を含む回路 マーク式 標準
4 円運動する音源によるドップラー効果 マーク式
5 厚さが変化する薄膜による光の干渉 マーク式 やや易
6 熱力学サイクル マーク式 標準
7 光電効果、ボーアの水素原子模型 マーク式

問題分析

  1. ジェットコースターのループのような鉛直方向の円運動で、途中でレールから投げ出され放物運動をする。現実では恐ろしい話だが、問題集にはよく載っている。物理怖い。ただ、放物運動まで出題しているのはあまり見られないのでやや易とした。
  2. 地球を廻る静止衛星。途中で速さを変え軌道が変わる。よくある問題だが、答えの式が複雑。でもそれだけ。易とした。
  3. 非オーム抵抗が直列、並列、さらにはホイートストンブリッジ状に。やめてくれと嘆いた受験生が多くいただろう。標準とした。
  4. 音源が円運動するのも問題集によく載っている。経験のない受験生はいないであろう。よって易とした。
  5. 典型問題の薄膜干渉だが、薄膜の厚さが変わる。初見の問題設定だっただろうが、干渉を理解していれば簡単。やや易とした。
  6. 熱力学サイクルだが、定積定圧等温断熱どれでもない過程が含まれる。具体的にはP-V グラフで右下がりの直線となる過程。やや難しめの問題集には載っているものもある。経験したことのある受験生はそう多くはなかったであろう。よって標準とした。
  7. 光電効果も水素原子模型もよくある題材なので易とした。

総評

 まず触れておきたいことは、数値計算が多いという事だ。しかも算出した数値を書き込むのではなく、選択肢の中から選ぶ。よって選択肢にないことで自分の計算ミスに気づくことができる。が、数値記入形式なのでミスに気付かず答えて呑気に先に進めるのと、選択肢形式なのでミスに気付けても、それを直せず時間を浪費、とばしても心理的圧迫感と後悔が残るというのとどちらが良いかは難しい。計算ミスをしなければいいのだが、それが一番難しい。いや、医者を目指す者はミス撲滅に心血を注いでほしいという事か。また、一昨年まですべて数値計算、昨年は終わりの3問のみで今年は10 問という問題数の変化を考えると、来年も少なからず出題されそうだ。頑張れ、高2生。
 捨てる神あれば拾う神あり。今年は文章の正誤判定問題が3問ほど出された。そこで一息付けたはず。フラウンホーファー線というあまり聞かれない単語があったが、正しい(誤った)選択肢を選ぶ形式なので一つぐらい知らなくても答えられる。問題なかったであろう。
 本学は必ず原子物理が出題される。苦手とする受験生は多いが、題材はよくあるものであることが多い。さりとて、まだ習いたての現役生では慣れてない分野であろうから、しっかり練習しておいてほしい。頑張れ、高2生。苦手を避けて通るな、浪人生。
 分析に書いた様に問題集によく見られる題材が多く、まずはそこできちんと得点することが必須。気を付けることは、問題集では誘導形式になっていることが多いが、本学ではそれがなくいきなり結論を訊かれるので、結果やそこに至る過程をしっかり覚えていないと解答できない。「答えを出せる」ことで満足してはいけないのだ。例えば、問題集で途中の小問を見ずにいきなり最後の小問の答えを出せるように練習するなど、工夫が必要となる。頻出題材は学校で配られる「セミナー物理」「リードα」など教科書準拠の問題集で十分。差のつく問題でも「重要問題集」や「名門の森」でおつりがくる。ぜひ気前よくたっぷり払って、おつりなどもらわずにカッコよく合格してほしい。