東京医科歯科大学
基本情報
試験時間:90分/問題数:大問3題
分析担当
霜村 昌美

出題内容・難易度

大問 出題内容 出題形式 難易度
1 確率 記述式 やや易
2 空間ベクトル・
微分法・積分法
記述式 標準
3 2次曲線 記述式 やや易

問題分析

  1. 1桁の数が書かれた10個の球から1つ取り出して戻す独立試行の反復を行い、それらから得られる数やそれを四捨五入して得られる数について条件に合う確率を求める問題。(1)のアプローチは具体的だったので組合せと考えても良いが、重複組合せとした方が解きやすかったのではないか。(2)は四捨五入する前が85以上94以下になるのでそこから考える。(3)は丁寧な処理が必要だったので時間がかかったかもしれないが、解きやすかった問題だと言える。
  2. 四角錐に内接する球や直方体の問題である。(1)yz平面による断面の二等辺三角形の周の長さについて式を立てることから始める。(2)yz平面による断面の二等辺三角形に内接する円になっているので球の半径を導くのは容易であったはずである。最大値を求める場合は計算量を減らす工夫が必要だったと言える。(3)直方体Qの体積が最大となるとき、Qの頂点がどこにあるのかを考えてどのように答案に明記するかが1つのカギになったはずである。
  3. y軸上に焦点を持つ双曲線のうちy>0の曲線の接線に関する問題である。(1)Cが双曲線であるとわかっていると敢えて微分法を用いた接線方程式にしないで2次曲線で学習した接線方程式で求めることができ、容易にできたのではないかと言える。(2)式で考えると符号を考える必要があり面倒になったはずなので、図形で考えた方が容易になったのではないか。(3)極と接線の性質を用いる。このタイプの問題は演習経験がある受験生も少なくなかったはずである。

総評

 今年の問題を見て、『こんな問題見たことが無い』と感じた受験生はいないだろう。非常に状況が分かりやすく、どのように解き進めるべきか、方針が立てやすい問題だと感じた受験生が多かったはずである。だからこそ、ここ数年の傾向から重要となるのは、答案を丁寧に書ききり、失点を防ぐことができるようにすることであるといえよう。
 そのために何を日々注意して学習し、対策をしていかねばならないかと考えると、以下のことに注意してもらいたい。
まず、中学数学の範囲から、定義から定理・公式を全て正確に理解し、どのように使うのかを確認すること。これは集中的に行うべきであり先行して行うべきである。
 次に、典型的な基本問題演習を日々行い、与えられた条件に応じてどのような手順で進めていくのかを正確に理解できるまでルーティンワークとして行いながら、入試レベルの問題であっても同じような解法手順で考えられるか、さらに答案作成をして、過不足なく書くことができているかのチェックを受けることが必要であると言える。
 このようにどのような問題であってもスピードに乗って解ききることができ、答案も書ききることができるように訓練を積んでおくことが合格するためには必要不可欠であると言える。
つまり、決して発想力が必要なのではなく、地道な訓練を怠らないことが重要なのだと思っておくべきである。