東京医科歯科大学
基本情報
試験時間:理科2科目あわせて120分/問題数:大問2題
分析担当
安部 雄太

出題内容・難易度

大問 出題内容 出題形式 難易度
1 問1:摩擦のある斜面における物体の運動
問2:斜面への放物運動
問3:円周上に設置されたn個のばねと
小球の運動(単振動)
記述式
(グラフ作成
含む)
標準
2 非直線抵抗を含む
直流回路
(Ⅴ-Ⅰグラフの作成と利用)
記述式
(グラフ作成、
理由の説明問題を含む)
やや難

問題分析

  1. 力学範囲からの出題で、典型問題を含む比較的解きやすい問題である。完答はもちろん、全体の時間配分を考えてあまり時間をかけずに解きたい。問1は摩擦のある斜面上の物体の運動の問題であり、物体が滑り出す斜面の角度や、斜面の角度における摩擦力・垂直抗力のグラフ作成に関するものであった。問2は斜面への放物運動であり、横浜市立大学で2018年度に同様の内容が出題されている。斜面上の最高到達距離を求める際に三角関数を利用する点も全く同じであり、解いたことがあるかどうかで大きく印象は変わっただろう。問3については、円周上に設置されたn個のばねと小球の単振動がテーマの問題であった。条件に従えば特に難しい内容ではない。ばね定数の問題設定や小球が受ける力の角度等に注意して解き進めよう。
  2. 電磁気範囲からの出題で、非直線抵抗を含む直流回路の問題である。グラフを作成し、そのグラフを利用して解く問題が含まれていた。問題としては比較的解きやすい内容だが、解法を正しく考えられなければ時間にロスが出てしまう。問2がグラフの利用を示唆する問題であることに気づけば、問4と問7はグラフを利用し、2次関数と直線に注目することで時間をかけることなく解ける。特に問5については、正四面体型であるという条件から、対称性があることに気づけば、問4の答えをそのまま用いることが出来た問題である。これらの問題が、合否を分けるポイントであったと思われる。

総評

昨年度は大問3題の構成であったが、それ以前の大問2題の構成に戻り、問題も解きやすいものであった。全体的に見れば、昨年度に比べて易化しており、合格点も上がったと考えられる。
東京医科歯科大学の物理においては、実質60分という少ない時間で、たくさんの問題を処理する必要がある。しかし、問題の中には易~標準レベルの問題も多く含まれている。まずは基本~標準問題をしっかりと解くことができるかが重要である。このような問題で失点してしまえば、他の受験生に差をつけられてしまう。そのうえで、「速く正確に解く」ということを意識して日々学習を進めよう。基本~標準レベルの教材で学習した問題だけでなく、その他の大学の過去問を利用したり、各単元における入試レベルの頻出事項にも多く触れたりしながら「知っている問題」を増やしていくことも、「速く正確に解く」ことに繋がる。早い時期からの過去問演習を通じて問題量を確保することや、時間配分、問題の取捨選択等の練習を行っていくことが重要である。