昭和大学
基本情報
試験時間:理科2科目合わせて140分/問題数:大問4題
分析担当
勝亦 征太郎

出題内容・難易度

大問 出題内容 出題形式 難易度
1 酵素
(基質特異性、反応速度、
ミカエリス・メンテンの式)
記述式、グラフ作成 標準
2 被子植物の生殖と発生
(配偶子形成、減数分裂、
重複受精、胚乳)
記述式
3 DNAの複製
(半保存的複製、
全保存的複製、テロメア)
記述式、作図 やや易
4 光合成
(ヒル反応、ルーベンの実験、二次展開)
記述式

問題分析

  1. 問1から問4までは基本的な内容。問2と問3は字数制限が厳しく、主語と述語だけで的確に答える力が求められた。問5はミカエリス・メンテンの式だと気付いた受験生は多かっただろうが、その過程を問われて無理だと思ってしまわなかっただろうか。しかしその実態は単なる式変形で対応できる問題であった。(1)のAの数式は④式の移項をすれば答えとなり、Bの数式は空欄のすぐ下の文章である「⑥式と⑧式から⑨式になる」とあるので、問題文に提示されている⑥式と⑨式から[Et]についての式を作れば⑧式となる。(2)も⑪式の[S]にkmを代入すればすぐに導き出せる。もちろん大意に沿った理解があるにこしたことはないのだが、解くだけならばこれで対応できた。見た目は難しそうだが、正答することだけを考えるならば標準的な問題であった。
  2. 被子植物の生殖と発生に関する問題。教科書かと思わせる程に読み易い文章で、問1(エ)胚柄と(オ)胚球は少し見慣れないかもしれないが、それ以外は平易で基本的な内容。完答したいところ。
  3. DNAの複製に関する問題。こちらもほとんどが基本的な内容。複製後のDNA量の比を求める問題もよく見かける形式で、正答にたどり着いた受験生は多かったと思われる。問7のテロメアについてはやや発展的な内容だが、教科書にも掲載されている内容であり、2016年度Ⅰ期の大問1で出題されていた。過去問演習を重ねていた受験生は気付いたことだろう。
  4. 光合成に関する問題。問1の(エ)と(オ)で人名を問われて困った受験生もいただろうが、その後「(エ)反応」という語句が後述されたことでヒルと気付いた受験生も多かっただろう。そして(オ)の人名は、ヒルと一緒に出てくるルーベンとつながってくれば正答できた。最後の問5に計算問題が出題されたが、典型的で平易な問題である。問3の二次元ペーパークロマトグラフィーについての説明では正確な知識と文章をまとめる力が必要だったが、全体としては完答したいレベルであった。

総評

 昨年度は大問5題であったが、一昨年度までの大問4題に戻った。しかし問題のほとんどは昨年度と同様、基本~標準レベルの知識を使った用語穴埋めや記述問題が大半であった。作図問題は例年通り出題され、本年度は計算問題も出題されているが、教科書傍用問題集や標準レベルの市販の問題集などで見られる類題通りの問題ばかりであった。必然的に合格ラインは非常に高くなり、8割以上の得点が必要であろう。
 記述問題は12字、20字という字数で簡潔に答えるものであり、例年通り問われていることの核となる部分を見抜き、解答しなければならない内容を精査して字数内に収める能力が求められている。全体を通して正しい知識とその知識を使った考察や記述がメインであり、そのレベルは基本的なものがほとんどである。教科書精読による知識定着と、教科書傍用問題集の反復演習による知識の使い方の習得、そして解いた範囲の内容を図説などで確認する地道な積み重ねを習慣化することを勧めたい。そして何年もさかのぼっての過去問演習はもちろん推奨するが、字数制限の厳しい記述問題を出題する国公立大学の過去問演習を積極的に行うのも良い経験となるだろう。