昭和大学
基本情報
試験時間:140分(英語と合わせて)/問題数:大問3題
分析担当
首藤 卓哉

出題内容・難易度

大問 出題内容 出題形式 難易度
市川浩
『精神としての身体』
漢字(書き)、
選択式、記述式
レイチェル・ハーツ著 綾部早穂監修・安納令奈訳
『あなたはなぜ「嫌悪感」を抱くのか
漢字(書き)、
選択式、記述式
やや難
康永秀生
『経済学を知らずに医療ができるか!?
医療従事者のための医療経済学入門』
漢字(書き)、
選択式、記述式
やや難

問題分析

  1. 設問は全部で16問と昨年と同数。出典もジャンルも昨年と同じ哲学であった。しかしながら文章の内容は昨年と比べて難化しており、哲学的テーマの読解に慣れていない受験生は苦戦を強いられたであろう。ただし、設問の難易度に関してはやや易化しており、昨年あった100字程度の記述問題は削除され、最大で50字以上60字以内の問題が1問、その他は40~50字、20~30字の問題の計3問である。ただし、漢字の書き取りが10問と昨年の倍の量の出題となった。
  2. 設問は全部で8問あり、昨年より2問増。出題方式は昨年と同様で、字数制限がない設問が複数あり(ただし「1行or2行以内で書けという指示」はある)、端的に記述する力が問われる。難易度は昨年とほぼ同じであった。
  3. 設問は全部で14問。昨年は5問であったので約3倍の出題となった。ただし、これは昨年あった大問4が削除された関係での増問であって、難易度そのものは総じて同程度である。昨年同様、示された語句の中から適切なものを選ぶ穴埋め形式の問題が中心であり、論理的思考が問われている。記述問題は全部で5問あり、昨年の1問(大問4と合わせても3問)よりも大幅に増えたと言える。特に100字以内で論述する問題が1問あるので、問題を解くペース配分が肝要である。出典の内容は医療に関するもので、そのテーマも「抗菌薬の処方の問題」や「EBM」「医療費」など、医学部の小論文に頻出のテーマであり、本学を志望している受験生ならば見慣れているはずなので読解は比較的容易である。

総評

 昨年度の大問4題から本年度は大問3題と大幅な変更があった。しかし、大問は減ったものの設問数は昨年の31問から38問と増えており、また出題された文章の難易度も勘案すると、昨年よりも難易度は若干上がったと考えてよいだろう。
 昨年度は大問1にあった100字の記述問題が、本年度は大問3で出題された。大問1は約6000字の論説文で問題文の内容も難しく、設問数も16問であり、そこで時間を取られてしまうと記述問題を解く時間を失ってしまう。よって大問を解く順番やペース配分が重要となる。2年連続で100文字の記述問題が出題されているので、来年以降も同程度の記述問題の出題が予想される。大問のうち1題は出題数が少なく、設問の内容も他の大問に比べて易しい大問があるので、まずはそれを後回しにして、配点が高いと考えられる記述問題で最低でも部分点は取るように心がけるとよい。なお、140分の試験時間で英語の試験問題と一緒に解かなければならないので、そちらのペース配分にも留意しなければならない。漢字の書き取りに関しても、合計で14問と一般的な文系の国語の問題よりも多く出題されており、難易度は漢字検定2級~4級程度なので、しっかりと点数を取っていきたい。
 本年度の問題文のテーマは、大問1が哲学、大問2は文化論、そして大問3は医系であった。大問1や大問3は本学の小論文でほぼ毎年取り上げられるテーマである。昨年度も大問4題のうち3題が医系テーマであったので、来年度以降も同様に医系テーマの問題文が最低1つは出題されるであろうことを考えると、同テーマの読解練習は必須である。