昭和大学
基本情報
試験時間:70分(2科目で140分)/問題数:大問4題
分析担当
藤原 大輔

出題内容・難易度

大問 出題内容 出題形式 難易度
1 数Ⅲ:複素数平面
(方程式を満たす複素数のえがく図形)
短答式 標準
2 数B:平面ベクトル
(三角形の垂心、外心の位置ベクトル)
短答式 やや易
3 小問集合
(数Ⅲ:2動点を通る直線+
点の極限、数Ⅲ:積分漸化式)
短答式 標準
4 数A:場合の数
(同じものを含む順列)
短答式 やや易

問題分析

  1. 数学Ⅲの複素数平面の「図形(軌跡)」に関する問題で、昭和大2021年、2020年、2019年などでも出題されている頻出テーマ。(1)、(2)、(3)は方程式を満たす複素数のえがく図形を求める問題であるが、αの方程式が少し扱いにくく、ここで差がついたと思われる。典型タイプ含め、複素数平面の軌跡の問題を一通り経験してきていれば難しくない。(4)は、前問ができていれば、これは教科書レベルの問題である。(5)についても、前問ができていれば、代入して計算するだけである。(4)までの軌跡を図示して、幾何的に考えても解ける。
  2. 数学Bの平面ベクトルの「三角形の五心」に関する問題で、昭和大2021年Ⅱ期をはじめとして、多くの医学部でほぼ同じ問題が出題されている。平面ベクトルの典型問題であるが、解法により解く時間に差がつく問題でもあった。
    (1)教科書レベルの基本問題である。
    (2)三角形の垂心の位置ベクトルの問題で典型問題である。正射影ベクトルが利用できると少し速く楽に解くことができる。
    (3)共線条件と三平方の定理を使えば容易に解ける。
    (4)(3)の結果も踏まえて、正弦定理を使うだけである。
    (5)これも(2)と同様に、三角形の外心の位置ベクトルの典型問題であるが、時間を考えると少し苦しいか。オイラー線の知識があれば速く楽に解くことができる。
  3. 数学Ⅲに関する小問集合で、2問のうちどちらか一方は確実に取りたい。
    (1)「2動点を通る直線と定直線の交点の極限」を問う問題であった。
    (1-1)交点の座標を求めるところまでは基本問題であり、落とせない。
    (1-2)の極限は三角関数の極限の公式を使うのだが、式変形が少しわかりにくいため手間取った受験生も多かったと思われる。
    (2)「積分漸化式」の問題であるが、類題の演習量で差がつく問題であった。
    (2-1)は基本問題、(2-3)も(2-2)の結果を利用するだけである。
    (2-2)は式の形から部分積分をすることは予想がつくので、どうやって In+2 を In で表すかの式変形がカギとなった。
  4. 数学Aの場合の数の「同じものを含む順列」に関する問題で、(2-3)までは基本問題で解きやすかった。
    (1)と(2-1)、(2-2)、(2-3)は教科書の章末に載っているような問題で容易であった。
    (2-4)は余事象を利用する問題であるが、場合分けが多く少し面倒なので、時間を考えると捨てたほうが賢明である。

総評

 全体として典型問題が増え、計算量が減ったので、難易度としては易化した。①より簡単に単純に考えて解く、②面倒な計算・処理をプレッシャー(時間制限などの本番を想定した状況)下でミスなく行う、この2点ができたかどうかで差がつくセットの問題であった。普段から基礎・基本を疎かにせず、「なぜ?」を徹底して追及する勉強をすることが重要である。目標は75%程度と思われるが、さらに上のレベルを目指すのであれば、余裕をもって90%以上は欲しいところである。