日本医科大学
基本情報
試験時間:90分/問題数:3題
分析担当
渡邉 哲史

出題内容・難易度

大問 出題内容 出題形式 難易度
【語義・文法・発音・アクセント】
同義語選択5問、発音アクセント3問、文法正誤問題2問
選択 標準
【長文読解】
段落主旨把握・空所適語選択・下線部同義語選択
選択・記述 やや難
【英作文】意見文作成 記述 標準

問題分析

  1. 発音・アクセント・語義を問う従来の設問に加えて、新たに文法正誤問題が2問追加された。誤りを含む箇所を指摘する形式であったが、基本的な文法知識で対応できるレベルであった。合計10問の設定はこれまで通りであり、blurなど一部難しい単語の出題があるものの、全体的には標準的である。
  2. 【文章題材】Online Reading 約2200words
    昨年度と同様、長文読解問題を、2000語を超える1題にしぼる大問構成となった。2年連続での出題であり、非常に長い読解問題というのが日本医科大学の特徴として確立されたと言える。昨年度はPART A~Fまでの意味段落に分かれていたが、本年度はその設定はなく、全13段落構成。設問数は全15問で、「次の内容はどの段落で述べられているか」「下線部の表現を通して筆者は何を言おうとしているか」「5段落の主旨は何か」に代表される、段落論旨を問うものが中心であった。昨年度以上に、論旨分析力を重視した構成になっている。細部の精読はもちろん、単なる訳出ではなく文章としての主旨を分析していく視点や読み方が求められ、また、文が非常に長いため余白にメモをとるなどの工夫も必要である。
  3. 大問2の文章をふまえて、①筆者のonline readingに対する考え方を要約、②その考え方にどの程度同意するかの2点を書く意見文型の英作文問題。要約を書くのは昨年度には無かった傾向。その他、1段落または2段落構成で書く、具体例を用いての理由説明を含む論文スタイルで書く、という注意事項が与えられている。2020、2021年度は書くべき内容を決める発想段階が難しく、英作文そのものではない部分で苦戦した受験生も多かったが、本年度は大問2の文章が把握できていれば書きやすい設定であった。

総評

 「読解力」「論理的思考力」という近年の入試傾向や指導要領上のテーマを全面的に押し出している出題である。2000語を超える文章を読む機会すらほとんどない受験生にとっては苦労を要するものだが、長くても1題だけであり、時間を使える点ではむしろ取り組みやすいと言える。もともと日本医科大学は内容自体が非常に難しい文章を出題することが伝統であり、かつては日本語訳を読んでもよく分からない高難度の出題もあった。その頃と比べると文章レベルは易しくなっている。
 基本的な語彙、文法力を早い段階で体系化し定着させる。そして1文を正確に訳出する精読力を鍛えていく。そのうえで、段落単位で主旨を分析する練習へと移行していく。文章の読み方そのものを技術的に把握し習得することが重要となる。「読む」=「訳す」になってしまっていて、直訳を作ることは出来ていても、筆者が伝えようとしていることが分かっていないのでは不十分。実際に大問2の問4にて「下線部(4)の表現を通して筆者は何を言おうとしているのか日本語で説明せよ」と問われている。今後こういった問題がますます増えていくだろう。
 単語・文法を中心とする知識習得型学習から、論理的思考力・分析力重視の読解型へと、普段の学習を発展させていくことが必要である。