日本医科大学
基本情報
試験時間:理科2科目あわせて120分/問題数:大問3題
分析担当
吉山 茂

出題内容・難易度

大問 出題内容 出題形式 難易度
1 細胞と拒絶反応 記号選択、並び替え やや易
2 ヒトの体液、血液と血液型について 記号選択、語句記述、
遺伝計算
やや易
3 爬虫類の性決定について 記号選択、記述 標準

問題分析

  1.  ES細胞を利用した拒絶反応の問題であるが、それは前半のみであり、残りは細胞全般についての知識問題。並び替えは出題されたが、系統についての小問はなくなった。
  2.  ここも頻出の動物生理。遺伝計算が昨年に引き続き出題されているが、血液型についてなのでより解きやすくなった印象。
  3.  爬虫類(カメ)の性決定についての実験考察。温度によって性が決定するという仕組みは知られているが、その遺伝子発現の仕組みについての考察を行っている。最後の一問以外は記号選択であり、グラフと実験の内容から作用を理解するものがメインであり、問題そのものも頻出のものであった。

総評

 もっとも「過去問演習」が効果を示す大学の一つであるが、今年も2012年以来の傾向は変わらず、むしろ語句の記述が記号選択となった分、易化した。コロナの影響についてはほとんど見られなかったが、系統についての小問は出題されず、一様の対応は行った印象。しかし、出題分野も細胞について、恒常性について、そして実験考察と例年の傾向を踏襲している。問題の形式も、実験の最後は記述で、前半の大問で順序の並び替えがあるなども昨年以前同様である。私大専願で日本医科大を第一志望にする生徒は実験考察が最大のポイントになり、国公立と両にらみになるタイプの生徒は前半の平易ながら細かな知識での取りこぼしがないかがポイントになる。平均点は高めに推移していて、自己の手ごたえ的に80%以上は欲しいところ。珍しく遺伝の出題があったものの、血液型についてであり、これも平易であった。
 細胞・代謝そして恒常性の知識の徹底と遺伝子発現を中心にした実験考察と日本医科大に向けての対策は決まっている。まずはこれらの頻出分野において教科書レベルから知識の徹底を図っていく。そして、知識が固まったところで実験考察演習となるが、これだけ出題範囲が偏っていると、他の受験校とは大きく対策が異なってくるので、うまくバランスをとることが必要になってくる。
 合否にはまず前半の確実な得点が必要になってくる。「理系標準問題集」(駿台文庫)や「体系生物」(教学社)などで全体的な学習を行うことが第一になってくる。それが終わった上での実験考察の対策になる。「国公立標準問題集」(駿台文庫)が導入となり、国公立大の過去問を抜粋して演習することが効果的である。知識よりも文章にマーキングを行い、図表にマーキングを行う。あるいは実験の経緯を自分で図示するなどの演習が必要かもしれない。ただ解いて解説される授業では、これらの作業の技術が新たにつくことはない。そして、過去問演習も効果的であるが「有限」であり、行うタイミングが大切である。考察のマーキングなどの作業の指導や過去問を行うタイミングのアドバイス、これらは一人一人に合った方法や時期が存在するため、これこそ個別指導などで身につけられるものであるかもしれない。