日本医科大学
基本情報
試験時間:2科目120分/問題数:大問4題
分析担当
小林 雅久

出題内容・難易度

大問 出題内容 出題形式 難易度
1 単振動(力学) 答えのみ
2 磁場と電場の中を
運動する荷電粒子
(電磁気、力学)
答えのみ 易~やや難
3 熱気球
(熱力学)
答えのみ 標準~難
4 回折格子と単スリット
による光の干渉(波動)
答えのみ 標準~やや難

問題分析

  1. 初めの2問は公式を当てはめるだけで解ける易しい問題であった。3問目は物体が台から離れる位置を求める問題である。通常の問題集に出てくる標準的な内容であり、バネが自然長のときに離れるという知識を持っていれば即答できるが、垂直抗力が0になるときの条件を求めるというオーソドックスな手法でも求めることができる。3問目が解答できなければ次に進むことができず、解答できればその後も普通に答えを求めていける易しい力学の問題になっている。3問目が肝である。
  2. 磁場と電場の中を運動する荷電粒子に関する問題である。前半はよくある円運動に関する内容であるが、中盤以降は平均の速さについて v が非常に大きくなるときの極限を考えさせる標準レベルの応用問題と、軌道が閉じるための条件を求める問題である。前者は物体がどのような軌跡を描くのかが分かれば難しい問題ではない。後者の問題は他に類を見ない問題になっていることから、どのような条件が必要であるのかを考察し見極められたかどうかがカギになっている。
  3. 熱気球の問題としては典型的な出題と言えるだろう。今回は1問目が誘導になっていたが、気球の体積は一定であることから、気体の状態方程式はいつものPV=nRTではなく、密度を用いた式に書き換えて使用していくと使い勝手が良い。また、この問題におけるポイントはもう一つあり、地表における球体内と球体外の気体について、それから上昇した地点における球体内と球体外の気体について、それぞれ4つの状態における方程式が立てられることである。方程式が立てられれば解くことは難しくない。
  4. 回折格子と単スリットに関する問題である。光の干渉の基本であるヤングの実験についてきちんと学べているのであれば、それぞれ前半の問題は解けるはずである。単スリットの問題は暗線の条件がdsinθ=mλになることを知っていれば楽である。知らなくても誘導はあるのだが、間違いやすい落とし穴があるため解答することは容易ではないだろう。

総評

 全体としては難しめの問題が増えた。大問3の気球の問題は類題を解いていなければ難しいだろうが、そのような経験があったとしても、ただ解答を読み納得していただけでは解けなかったのではないだろうか。日頃から各々の問題に対して、何がポイントなのかを自分なりに考察し、解法として使えるレベルにまで落とし込むような学習を目指したい。
 頻出問題を取れるように学習することは言うまでもないが、出題頻度が下がる熱気球や単スリットの問題のようなものまで詰められていれば、他の受験生に差をつけられる年になったという印象である。