慶應義塾大学
基本情報
試験時間:100分/問題数:大問4題
分析担当
藤原 大輔

出題内容・難易度

大問 出題内容 出題形式 難易度
〔Ⅰ〕 小問集合 (1) Ⅰ絶対値を含む方程式 短答式
(2) Ⅱ5次式の因数分解
(3) Ⅱ対数不等式 やや易
(4) BⅢ合成関数+連立漸化式 やや易
〔Ⅱ〕 AⅢ確率+極限(2袋で玉の交換) 短答式 やや易
〔Ⅲ〕 Ⅲ式と曲線(サイクロイドの応用) 短答式
〔Ⅳ〕 ⅡⅢ微分法・積分法の融合問題
(4次関数の極値+曲線の長さ)
短答式 やや難

問題分析

  1. 全体的に易しい小問集合。(1)2重の絶対値の方程式、(2)5次式の因数分解は基本問題。(3)根号を含む対数不等式で数値の大小比較が少し面倒だが、難しくない。(4)合成関数の係数に関する連立漸化式で漸化式を立てることも漸化式を解くことも難しくない。今年の小問集合は基本問題ばかりなので、取りこぼしは絶対に許されない。
  2. 本年は昨年の「データの分析」からまた「確率」に戻った。例年出題されていた確率漸化式ではなかったが、慶医にしてはかなり易しい問題であった。(1)は文字を3つ含む確率の極限の問題で階乗の式処理に慣れていないと手間取ったと思われる。(2)(3)は2袋の赤玉の個数の遷移図が描ければ、操作自体は単純なので立式は難しくない。(4)は(3)までとは関係ない問題で実は最も簡単だった。例年の慶医の確率漸化式の対策をしていた人からはかなり易しく感じられたと思われるので、ぜひ完答を狙いたい。
  3. 誘導つきサイクロイドの応用の問題で、類題の経験があれば(3)までは誘導に乗って解くことはできる。ただ計算ミスをしやすいので、正確な計算を心がけたい。(4)は(3)までとは固定する円、回転する円が逆になる設定の問題で誘導を利用しにくく、戸惑った人も多かったと思われる。ここは「2円の接点が固定円を何周したか?」まで答えて、残りの極方程式は捨てるのが正しい判断である。
  4. 4次関数の極値+曲線の長さの問題でこれも非常に計算量は多い。(あ)下に凸の条件、(い)(う)変曲点の座標、(え)ただ1つの極小値をもつ条件までは必ず解けてほしい。特に(え)のような計算量の多い、関数の極値や最大・最小に関する条件の問題は慶医ではよく出題されるタイプの問題でしっかり演習を積んで対応したい。この先は計算するだけだが、(お)関数が最小となる x の値、(か)曲線の長さ、いずれもかなりの計算量なので、状況を見て解きやすい方を判別して解くか捨てるかの判断が必要である。

総評

 全体としてみれば昨年よりはやや易化した。本年は大問〔Ⅰ〕と〔Ⅱ〕を確実に取り、大問〔Ⅲ〕は(3)まで大問〔Ⅳ〕は(え)までを取って、目標は60%程度。大問〔Ⅲ〕、〔Ⅳ〕は難しい問題ではあるが、テーマとしては慶医の頻出テーマなので類題の演習をしっかりと積んでおきたい。慶医を目指すのであれば①計算力(大問〔Ⅳ〕の(え)のような問題を効率よく計算する力)、②判断力(大問〔Ⅱ〕のような問題でどこを優先的に解き、どの解法で解くと効率的に得点が取れるかを適切に判断する力)、③経験・知識(大問〔Ⅲ〕のサイクロイドの応用のような問題の演習経験)、④対応力(予想外の問題や初見の問題に対応する力)、⑤精神力(プレッシャーに負けない強い心)、以上5点を意識しながら常に高みを目指す学習をすることが必要である。来年以降慶医を目指す人はまずは過去問を時間無制限でじっくり解いてみて、解ききれるかどうか挑戦してみてほしい。