慶應義塾大学
基本情報
試験時間:90分/問題数:大問4題
分析担当
小出 信夫

出題内容・難易度

大問 出題内容 出題形式 難易度
1 読解:「独身社会日本」(498語) 選択式と
記述式
標準
2 読解:「健康長寿」(520語) 選択式と
記述式
標準
3 読解:「マナーの悪さ」(823語) 選択式と
記述式
標準
4 課題英作文:「マナーの悪さの例」(約100語) 記述式 標準

問題分析

  1. 小問集合については、いずれの問題も例年に比べ、かなり解きやすくなった。この3問に関しては解答スピードも求めたい。(1)は2倍角に統一し合成を利用するだけの問題。(2)はド・モルガンを利用して和事象を求める問題。(3)はが平面ABCと垂直であることに気づくことが出来るかがポイントとなる問題。
  2. 下線部説明が3問、語(句)の空所補充が1問、下線部和訳が2問、内容一致が1問という、計7問で構成されている。英文の難度は高くなく、テーマも医学部受験でよく出題されるものである。なお、語(句)の空所補充は5つの小問で構成されていて、そのうち「逆接」や「因果」などの論理展開指標に関わる文脈型が2問、前置詞・接続詞・副詞の区別に関わる文法・構文型が3問となっている。
  3. 語(句)の空所補充が選択式で10問と記述式で5問、語の言い換えが2問、下線部和訳が2問、下線部説明が2問、文の補充が1問という、計9問で構成されている。英文の語数と設問数が若干多めなので、比較的時間がかかる。語(句)の空所補充は第Ⅱ問と違って全て品詞が共通だが、文脈で解けるものだけでなくイディオム問題も多く含まれている。
  4. 課題英作文問題として独立したものであるが、その課題は「マナーの悪さ」についてなので、大問Ⅲと密接に関連している。したがって、そこで使われている例や表現を利用できる。語数も100語なので無理はない。設問に従って、具体例を1つか2つ挙げ、それに対する自分の感じ方を書けばよい。

総評

全般的に、本年度は例年以上に、かなり解きやすかったであろう。恐らく正規の最低合格ラインは6割を優に超える。大問数は昨年度に比べ1題増えたが、上記のように第4問の英作文は第3問に関わるものなので、それが同一問題の中で問われていた昨年度と実質的に同じことである。
また、英作文問題が独立しているのは一昨年度も同様である。その意味では、全体の傾向に大きな変化はなく見える。しかし、形式的にではあれ英作文問題が再び独立しただけでなく、大問Ⅰに占める英作文の比重の大きさを考え合わせると、例年以上に英作文に重点が置かれていることがわかる。これは、読解問題において、指示語や省略語句に関わる問題など新種の問題が出題されたこと以上に注目すべきことである。
つまり、慶應大医学部は“Writing”への傾向を強めているということである。このような傾向に対処するために、添削指導を受けることが必須である。和訳だけでなく英作文についても、個別的な解答案に典型となる見本はなく、個々の具体例が検討されなければならない。