順天堂大学
基本情報
試験時間:理科2科目合わせて120分/問題数:大問2題
分析担当
酒井 啓介

出題内容・難易度

大問 出題内容 出題形式 難易度
1 第1問 力のモーメント、
万有引力、理想気体、
波の干渉、
ドップラー効果、
電磁誘導
選択式
第2問 単振動、相対運動 選択式 標準
第3問 交流回路 選択式
2 気体分子運動論 記述式 やや難

問題分析

  1. 第1問/例年易しい問題が出題されるが、例年以上に易しい問題が並んでいる。いずれも教科書レベルの基本問題であり、計算量も多くはない。正確かつ短時間で全問正解を狙いたい。
    第2問/単振動の典型問題である。一見複雑に見えるが、丁寧な誘導がされているので、指示に沿って関係式を作っていくことで正解できる。単振動の運動方程式の読み取りに慣れているかどうかで解答時間に差が出るかもしれない。微少変化の近似式を扱う計算は順天堂大学では頻出である。
    第3問/交流回路の標準問題。問題集にも掲載されていることが多い。交流の瞬時値を表す式を作る作業で時間を食うぐらいで、特に難しい点はない。式が長くなって難しそうに見えるだけの問題である。
  2. 気体分子運動論の計算問題である。問題文中に考え方が示されており、考え方は難しくはない。しかし、計算処理に時間が掛かるので試験時間内に問6まで完答するのは簡単ではなく、物理学の理解力以外に計算処理能力が必要になる。

総評

 問題ごとの難易度の差が激しく、は極端に簡単であるのに対してが難しい。幸い「後ろの問題ほど難しい」という順番に出題されているので、前から順に解ける問題から解いていくという戦略でよいであろう。問6は難しいが、そもそも試験時間内にその問題までたどり着けない可能性も大きいので、の問題を、多少時間を掛けても正確に解くことが有効であると思われる。
 順天堂大学の入試問題では他大学の入試問題ではあまり見かけない近似処理(数値ではなく微分の近似)を求められることが多いので、入試直前にはそうした問題への対応力も付けておくようにしたい。また、本年度は数値計算の問題が最初にあっただけであるが、例年数値計算の問題が出題されて計算ミスをしたり計算で時間を食ったりすることが多いので、その点も留意して準備しておきたい。
 本年度の問題は千葉大学でよく出題されるような問題が多かった。例年、他大学で過去に出題された問題の類題が出題されることも多い。特に早稲田大学や慶應義塾大学、国公立大学の過去問を解くと順天堂大学の問題への対応力が付くであろう。