千葉大学
基本情報
試験時間:理科2科目あわせて100分/問題数:大問3題
分析担当
吉山 茂

出題内容・難易度

大問 出題内容 出題形式 難易度
1 ショウジョウバエの
母性効果因子
語句挿入・考察記述・
記号選択・計算
やや易
2 選択スプライシングとRNA干渉 考察記述・記号選択・計算 標準
3 iPS細胞と自己・
非自己
理由記述・記号選択・説明記述 やや易

問題分析

  1. 母性効果遺伝子についての問題であり、問題集にも載っているレベルの問題が並んだ。問4で遺伝計算が出題されたが、母性効果遺伝子であることに気づけば非常に基本的である。問3の保育細胞から偏在までの流れはやや発展的であるが、問題文を読むことで予想できるものであった。
  2. 医学部が選択する問題において久々のグラフ記述。考察を含んだものであるが標準的。問3のここでも遺伝の問題が出題。こちらはノックアウトマウスの作成で、性染色体上の遺伝であることから少し難しいものになった印象。例年の千葉大学らしい問題ではあるが、ややコンパクトになった印象がある。
  3. 自己・非自己の区別について、120字の説明記述が最後にあるが、基本的で問題集にも載っているような問題が続き、平易な構成となった。時間的にも余裕があり、しっかりと記述について推敲できたと思われる。

総評

制限時間が短くなったとはいえ、大問が4題から3題に減り、問題レベルも例年より平易であったため、余裕をもって解答できたと予想される。ただ、遺伝の問題が第1問と第2問の最後に出題されており、その成否が合否につながったと思われる。実験考察においては、問題集などではっきりと解答が明示されているものが多く、以前のような問題文のみで判断されるややあいまいなものが減少した。
第2問は短い構成ながら、選択的スプライシング、ノックアウトマウス、RNA干渉と盛り沢山であり、それらの知識や背景を一通り知っていて、はじめて考察が出来るというものであった。これらの遺伝子発現についての重要なキーワードについては、単純な用語暗記だけでなく成立過程や特徴まで含めてイメージできるようにしておくことが必要。発生を含めた遺伝子分野は最頻出分野であるので、重要な実験の内容や結果、そして一般的な考察などを含めて「完璧」を目指していくことが求められる。
問題数が少ないとはいえ、20字から最大120字の記述問題がメインになっているので、記述の演習が不可欠になる。特に、中心となる40字記述は考察がメインであり、解答方法については訓練が必要。「国公立標準問題集」(駿台文庫)などで実験考察のベースをつくることが基本になるが、やや発展的な内容を「知っている」ことを前提に解くためには、「思考力問題精講」(旺文社)などでの学習も必要になってくる。
基本的に問題がコンパクトであるので、リード文を理解する力よりも問題集などで解答となるものを前提条件としてインプットして、それを知識として使いながら解くことが必要になってくる。ただ、それでも時折、実験のみから判断されることを解答しなければならない問題もあるため、問題ごとに「フライング」の度合いを調節しなければならない。そういう意味では、やや私立的な問題であるとも言える。