千葉大学
基本情報
試験時間:理科2科目あわせて100分/問題数:大問4題
分析担当
坂元 亮

出題内容・難易度

大問 出題内容 出題形式 難易度
2 炭酸水素塩の熱分解と熱化学方程式 記述式 標準
3 並列に接続された電解槽の電気分解 記述式 やや易
4 Ⅰ 有機化合物の分子式決定
Ⅱ C5H10の反応と構造
記述式 標準
6 核酸 記述式 標準

問題分析

  1. 炭酸水素ナトリウムと炭酸水素カリウムを題材にした熱分解を中心とした出題であった。問2では、反応を進行させるために加熱を行う理由が45字以内の論述で2つ問われた。また、問3の計算問題は計算が少々煩雑であったので、得点の差がついたと考えられる。問3は、炭酸水素塩それぞれの熱分解を化学反応式で表して、反応熱について1つ、二酸化炭素の生成量について1つずつ量的関係を表して連立させて求める問題だが、計算力を要するので答えまでたどり着けたかどうかがポイントとなる。
  2. 並列に接続されている電解槽の電気分解の問題であった。問3と問4の計算問題は例年の本学入試問題と比べるとやや易しいので確実に解答したい。問5は無機化学のハロゲン化銀の沈殿と感光性を問う問題であった。これも本学受験生レベルであれば確実に解答したい。
  3. ⅠとⅡの2題構成の問題であった。Ⅰは組成式を決定し、分子式を求める問題であった。化合物Aと酸素が反応した物質量の関係から、化合物Aは1molあたり酸素16molを消費することがわかるので、その量的関係から化合物Aの分子式を決定することができる。上手く対処して分子式を求められたかどうかがポイント。ⅡはC5H10の反応から丁寧に構造を決定していくが、多少時間がかかる。
  4. 核酸に関する様々な問題。問2ではヌクレオチドが2分子結合した化合物の構造式をかかせる問題が出題された。一度ヌクレオチド鎖をかいたことのある受験生はかくことが出来たかもしれないが、かいたことのない受験生は少し戸惑ったかもしれない。問4も同じように、シトシンとグアニンが3本の水素結合によって塩基対を形成することは基本的な内容だが、図示できたかどうかもポイントとなったであろう。問6では、リン酸が中性溶液中では電離してOHがO-となっていることに気づけたかどうかがポイント。リン酸の電離を中性条件の水溶液中で思考する必要があった。この3問で得点の差がついたのではないだろうか。

総評

難易度は昨年と同程度で、例年並みであった。本年度から試験時間が短縮され、100分で理科2科目を解答することになった。論述問題は昨年と比べて減っている。本年度の入試問題においては、本学で頻出の気体、化学平衡、合成高分子の出題が見られなかった。問題分析でも触れたが、第6問では核酸が出題され、思考力が要求された。
本学では論述問題が毎年必ず出題されている。本年度は80字以内の論述問題が出題され、昨年度も70字以内のものが出題された。他の国立大学医学部入試と比べると字数の多い論述問題が出題されている。論述問題の主な内容は現象についての理由を問うものである。日頃から現象や化学用語を書いて、説明できるようにする練習が必要である。また、実験器具の名称や使用目的についても、教科書や資料集を使って覚えておく必要がある。