千葉大学
基本情報
試験時間:120分/問題数:大問5題
試験時間:120分/問題数:大問5題
分析担当
酒井 啓介
酒井 啓介
出題内容・難易度
大問 | 出題内容 | 出題形式 | 難易度 |
---|---|---|---|
6 | 確率漸化式 | 論述式 | 標準 |
7 | 共通接線 | 論述式 | 標準 |
8 | 複素数平面 | 論述式 | 標準 |
10 | 整数 | 論述式 | 標準 |
11 | 積分不等式 | 論述式 | やや難 |
問題分析
- 確率漸化式を作れば解ける問題であるが、単純に余事象が起こる確率を 1 − qn とすると間違える。(1)の解答を利用すれば、その答えが間違いであることにその場で気づくことができるようになっている。(3)は条件付き確率の公式を覚えているだけでは正解できないであろう。「条件付き確率とは何か」という意味まで理解していれば難しくはない。
- 共通接線の本数を考える問題。典型問題ではあるが、計算処理を楽に行うための発想力が必要になる。接点の座標を文字で置くところから始まるのだが、 𝑥座標と 𝑦座標のどちらを文字で置くかを考えることがポイントであった。
- 多くの問題集にも類題が掲載されている典型問題。問題文は複素数平面の問題であるが、数列の問題だと思って考えること。階差数列の問題であると思って処理すれば、数値計算が面倒だというだけで、発想力はあまり必要ない。確実に得点しておきたい問題。
- 条件を満たす有理数は整数しかあり得ないことを示す証明問題。論証の方針はよくある典型問題と同様に進めていけばよいが、他にもいろいろなやり方が考えられるであろう。導かれた関係式をどう解釈し、どう説明すればよいのかという表現力も重要になる。
- (1)と(2)の両方で数学的帰納法を用いる。式変形が長くなるので忍耐力も必要になる。(3)ではさみうちの原理を使うことは、問題の流れから予想はつくであろう。
総評
全体的に医学部の入試問題としては標準的な問題が揃っている。難しい問題もないが簡単な問題もなく、どの問題を解答すれば得点しやすいのかという判断がしづらい。試験時間内に全問解答するのは簡単ではない。
それぞれの大問に考えさせる要素が盛り込まれており、「パターン丸暗記」な学習だけでは高得点は得られないようになっている。思い込みで解くと間違える問題、発想力が必要な問題、計算力が必要な問題、表現力を問われる問題、数式の意味を読み取る問題と、さまざまなバリエーションの問題が出題され「こういう問題はこうやって解くものだ」と決めつけてかかると誤答するような仕掛けがされている。これは「視野を広く持ちなさい」という大学からのメッセージだと思っておくとよいだろう。
解答をしているうちに、正しい計算でありながら計算式が長くなるために「間違っているのではないか」「他にもっと楽な方法があるのではないか」「もうやりたくない」という気持ちになってしまう可能性がある。こうした精神的な揺さぶりに負けない心の強さも必要である。