おかあさんの参考書
孫の進路に口出しをしてくる義父母を考える

孫の進路に口出しをしてくる義父母を考える

鳥居りんこ

今年度の中学受験も大きな混乱なく無事に終了しました。
今年もそれぞれのご家庭にドラマがあったことかとお察ししますが、どの子であっても頑張ったという事実は消えませんので、そこは十分に労ってあげながら、親子でこれから始まる新生活に期待を寄せて欲しいなと思います。

このスタートの心情というのは意外と重要で、ワクワクした気持ちで入学式を待つのか、それとも嫌々ながら待っているのかによっても、これからの生活が違ってくるものだなぁという感想を持っています。

子どもは意外と順応性が高いというのか、切り替え上手というのか、入学予定校が決まってしまえば、大抵の子たちが中学生になることを楽しみにしているように見受けられます。
しかし、一部ではありますが、実際には入学していない今の段階で既に「進学先に魅力を感じられなくなった」という気持ちになっている子もいるのです。

過去の取材では、そういう子たちの多くが入学予定校を誰かにディスられた経験を持っていました。
ネットの口コミのように真偽不明なもの、その学校を詳しく知っているとは言えない知人の何気ない評価、さらには親族からの「ガッカリ感」などです。

一昔前までは、志望校に不合格になった子への親からの無慈悲な言葉かけが問題視されることが散見されたのですが、昨今の親御さんは子どもにどのような声掛けをするべきなのかということもよく理解されているので、子どもに直接、受験校あるいは進学予定校の悪口を言うケースは激減しているように感じます。

では、今はどういうケースが子どもの心を深く傷つけているのかというと、意外に多いのが祖父母からの余計な一言。これが最近では目立ってきたような気がします。

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祖父母は生きた時代が違い、価値観も異なる

子どもからすると大好きなおじいちゃん、おばあちゃんだからこそ、期待を裏切ってしまった気持ちになるのと、そのままの自分を評価してもらえないことが、ない交ぜになって気落ちしてしまうのでしょう。

先日、ご相談を受けたケースです。
優秀な大学を卒業したおじいさんにお孫さんが合格を報告したそうです。その学校は大学付属ですが、面倒見がよく、明るい校風で人気です。
お母さんの話によると、本人がとても気に入って受けた学校で、親子で入学を楽しみにしていたといいます。

ところが、おじいさんは開口一番、「なんだ、それは? オマエは〇○大みたいな馬鹿が行くところにわざわざ金を払って行く気か?」と告げたというのです。

〇○大は一般的に申し上げて、決して低いレベルではありません。就職率もかなり良い大学として知られています。しかし、その子はとても傷ついた様子で意気消沈。

その子のお母さんの話では、尊敬するおじいさんを喜ばせるどころか、期待を裏切り悲しませているように感じたらしく、落ち込んでしまったとのことです。

誰でも自分がとても気に入っているものに対し、誰かに一言でも腐らすようなことを言われたら、その輝きが幾分かでも減ってしまうように感じるものです。
おそらく、その子もそういう心持ちになってしまったのでしょう。楽しみにしていたはずの入学前招集日にも「行きたくない」と言っているとかで、お母さんはとても悩んでおられました。

一言、付け加えますと、〇○大付属だからと言っても〇○大に進学するケースもあれば、他大学に行くケースもあり、今現在は半分半分といったところです。
大学付属校にも様々な付属校があり、併設大学に100%に近い進学率の学校もありますし、他大学に抜ける子のほうが多い付属校もあります。

それに今は、偏差値が高い大学ならばどの学部でも良いとする受験よりも、より自分自身にフィットすると申しますか、自身の将来像と学びたい学問を結び付けて志望校を選んでいく受験が圧倒的に多くなっています。
そのため、大学受験も昔とは、受験方法も含めて、いろいろな面で様変わりしているのが現実です。

ましてや、中学受験の常識は「3年ひと昔」といわれるほど、アップデートが進んでいます。親世代とは全く違った景色ですので、さらに上の祖父母世代では「浦島太郎」になることは間違いありません。

しかしながら、私も年を重ねておりますので、このおじいさんの発言も分からなくはありません。
当時の大学受験の常識ではそうだったのかもしれませんし、孫の行く末を本気で心配しているという心の表れでもあるのでしょう。

けれども、ただひたすらに自身が経験しただけの価値観が未来永劫正しいと思い込み、さらには中学受験と大学受験は全く別物だということが理解できないまま、しかも、思ったままを当人にぶつけてしまうというのは、大人としてはあるまじき振る舞いであるのは言うまでもありません。

お嫁さんの立場であるこのお母さんは、拙書『わが子を合格させる父親道』(学研プラス)という本の中に出てくる標語「父親は口を出さずに金を出せ」を「爺婆は~」に変えたいとおっしゃっていましたが、このお話をうかがって、自分自身も他山の石にしなければと思いました。

私も幼い子の祖母になりましたが、良かれと思い、ついつい子育ての要らぬアドバイスをわが子にしてしまうことが多々あるからです。
自分自身の狭くて小さい経験では語れないほど、世の中は進化し続けているのが分かっていながら、口を出す癖こそが老化なのかと思い反省することが多い日々です。

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受験を戦い抜いたことを労い褒める、人生の大先輩

一方でこんな話もあります。
ひとつも合格を取れないまま、受け続けること5日間。その子も地獄のような日々だったとは思いますが、支える側の母も大変だったのです。

実家のご両親(祖父母)は心配して電話をかけてきたそうです。
娘心に、高齢の親に心配をかけてはならぬとの思いで「大丈夫よ! 明日も頑張って受けるよ!」と告げたといいます。
おばあちゃんが「うんうん」と優しい相槌をくれたので、そのお母さんは思わず泣いてしまったそうです。

続いておばあちゃんはこう言ったといいます。
「大丈夫って言わなくていいのよ。つらいときは、つらいって言っていいの。そのほうが、あなたらしくていいわ」と。

すると、今度は事態を察したおじいちゃんが出てきて、こう告げたといいます。
「人生には試練はつきもの。その試練は必要な時に必要な人のところにやって来る。孫にとっては今が必要な試練。この経験は無駄どころか、きっと孫のためになる」

入試を受け続けた孫は、最後にひと花咲かせて受験終了。
受験前には考えてもいなかった学校に進学することになった孫に対して、祖父母は励ますでもなく、慰めるでもなく、受験を戦い抜いたことだけを褒めて、「試練を乗り越えた君の人生の続きはきっと楽しいものになる。君はどこに行っても楽しめる素質がある子だから」と言ってくれたそうです。

その子にとっては強烈なエールになったそうで、この話を聴いた私は「年寄りはかくあるべし!」と深くうなずいた次第です。

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「有難迷惑だ」と感じる場合の4つの対策

私も含め祖父母というものは孫や子を見守る存在であるべきなのに、ついつい良かれと思い口出ししがちな生き物だとは思います。

しかもそれは、その子にとって人生の岐路とも言える出来事の際に発言しがちです。
人生のアドバイスになれば良いのですが、生きてきた時代の価値観が違うことで、残念ながら余計な口出しになることが多くなるんですね。

もし、お母さんがそれを有難迷惑だと感じるならば、対策をしたほうがよいです。

①余計なお世話ならば、ハッキリ「ノーサンキュー」と言う。
②性格的なことなどが原因で言えない場合は、懇切丁寧に、その知識のアップデートをするためにレクチャーしつつ、孫の親としての教育方針を理解してもらうように努めてみる。
③祖父母の話に共感できる点があれば賛同し、共感できないと思う点については「華麗にスルー」。
④孫や自分の家庭に悪影響だと思えば、物理的な距離を取るのも一案。

受験も含めた子育てに、母のメンタルの安定は欠かせないものです。
先ほど申し上げたように、祖父母というものは口出ししがちな存在ですが、もし、これによってお子さんやお母さんが傷ついているならば勇気を出して「自分と子どもを守る」方向に舵を切って欲しいなと思っています。

ただ、一方的に距離を取られる祖父母も寂しいでしょうから、実子から(義父母ならば夫から、実父母ならば娘である自分から)「この発言はOK」「これはNG」ということを言える関係性を作り上げるのも大切。
言ってもらえて初めて気付くということも沢山ありますから、逆に指摘されてよかったと思う祖父母も多いです。

過干渉な祖父母に悩んでいるお母さんは、いろんな方法を試してみてくださいね。
お母さんの笑顔の毎日が増えますように。

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著者プロフィール

鳥居りんこ
鳥居りんこ
とりいりんこ

作家&教育・介護アドバイザー。2003年、長男との中学受験体験を赤裸々に綴った初の著書「偏差値30からの中学受験合格記」(学研)がベストセラーとなり注目を集める。保護者から“中学受験のバイブル”と評された当書は、その後シリーズ化され、計6タイトルが出版された。自らの体験を基に幅広い分野から積極的に発信し、悩める女性の絶大な支持を得る。近著に『【増補改訂版】親の介護をはじめたらお金の話で泣き見てばかり』(双葉社)、『【増補改訂版】親の介護は知らなきゃバカ見ることだらけ』(同)、『親の介護をはじめる人へ伝えておきたい10のこと』(学研プラス)、企画・取材・執筆を担当した『女はいつも、どっかが痛い がんばらなくてもラクになれる自律神経整えレッスン』(やまざきあつこ著・小学館)、『たった10秒で心をほどく 逃げヨガ』(Tadahiko著・双葉社)、『1日誰とも話さなくても大丈夫 精神科医がやっている 猫みたいに楽に生きる5つのステップ』(鹿目将至著・同)、『神社で出逢う 私だけの守り神』(浜田浩太郎著・祥伝社)、『消化器内科の名医が本音で診断 「お腹のトラブル」撲滅宣言!!』(石黒智也著・双葉社)など多数刊行。最新刊は、取材・執筆を担当した『黒い感情と不安沼 「消す」のではなく「いなす」方法』(やまざきあつこ著・小学館)。

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