おかあさんの参考書
子どもを幸せにするお母さんの言葉~大切な人に安らぎと幸せを贈ろう

子どもを幸せにするお母さんの言葉~大切な人に安らぎと幸せを贈ろう

親野智可等

「がんばってるね」

子どもに「がんばってるね」と言ってあげましょう。

というのも、子どもはみんなその子なりにがんばっているからです。

親や先生から見ると、がんばっているようには見えないかもしれません。

それどころか、サボっているように見えることもあるかもしれません。

でも、そんなことはないんですよ。

みんな、その子なりに一生懸命生きているのです。

「大変だね」

子どもに「大変だね」と言ってあげましょう。

というのも、どの子もそれなりの苦労があるからです。

家では親に叱られて大変です。

兄弟姉妹とのいざこざ、お菓子の取り合い、チャンネル争いなども大変です。

保育園・幼稚園・こども園や学校でも大変です。

塾や習い事でも大変です。

そういうところには、いろいろな子どもがいます。

育った環境も、価値観も、性格も、立ち居振る舞いも全く違った子どもたちが、一緒に生活しているのです。

子どもの毎日には、本当にいろいろなことが起こります。

もちろん楽しいこともいっぱいありますが、行き違い、いざこざ、トラブル、けんか、いじめなども起こります。

授業では、子どもたちは毎日新しいことを学びます。

大人の生活では、毎日新しいことを学ぶということは少ないと思います。

でも、子どもは毎日の授業で、初めて見たり聞いたりするようなことをたくさん学んでいるのです。

新しい漢字を一度に5個とか10個とか教えられます。

分母、分子、通分、約分とか、日常生活で聞いたこともないような言葉や概念がどんどん出てきます。

これってけっこう大変なことですよ。

ちょっとぼんやりしていれば先生に叱られます。

指名されて答えて、間違えたりしていると恥をかきます。

テストで低い点を取れば悲しくなります。

それを親に見せることを想像すると、苦しくなります。

放課後になって、学校から解放されても塾や習いごとがあったりします。

やっとの思いで、家に帰ってくれば宿題があります。

明日の支度もしなければなりません。

お手伝いもあったりします。

靴下を脱ぎっぱなしにしていると叱られます。

ランドセルをほったらかしていると叱られます。

親の機嫌が悪いと叱られます。

ということで、子どももけっこう大変なんです。

ですから、「がんばっているね。大変だね」と言ってあげてください。

そして、のんびりだらだらしていても許してあげてほしいと思います。

家でリラックスしてはじめて、外でがんばるエネルギーがわいてくるからです。

大人も家ではのんびりリラックスしたいですよね。

「ありがとう」

子どもに「ありがとう」と言ってあげましょう。

子どもがいることで、親であるあなたはいろいろな恩恵を受けているからです。

子どもの存在そのものに感謝しましょう。

そもそもあなたを親にしてくれたのは子どもです。

子どもは、あなたに“親として生きる”という人生の得がたい経験をさせてくれています。

親として生きる中で、あなたはずいぶん成長してきました。

子育てをする前のあなたは、今よりはるかに未熟だったはずです。

そして、今も、子どもは日々あなたにたくさんの幸せをもたらしてくれています。

「助かるよ」

子どもに「助かるよ」と言ってあげましょう。

子どもがちょっとしたお手伝いや家事をやってくれたとき、それを当たり前と思わず、「助かるよ。ありがとう」と言ってあげましょう。

すると、子どもは自分が役に立ったことを実感してとても喜びます。

「お手伝いできてえらいね」という言葉よりも、「ありがとう。助かるよ」のほうが、子どもはうれしいのです。

「大好き」

子どもに「大好き」と言ってあげましょう。

これは、子どもが親に言われて一番うれしい言葉です。

なぜなら、これは子どもの存在そのものを無条件に丸ごと肯定する言葉だからです。

このほかにも、無条件に丸ごと肯定する言葉としては、「あなたは私たちの宝物」「生まれてくれてありがとう」「あなたと毎日一緒にいられてうれしい」「パパとママの子どもになってくれてありがとう」「あなたがいるから毎日幸せだわ」などがあります。

こういう言葉は、子どもの自己肯定感を大いに高めてくれます。

でも、残念ながら日本人はこういう言葉を口に出すのが苦手です。

だから、日本の青少年の自己肯定感は非常に低いのです。

各種の国際比較調査で、いつも下位に甘んじています。

日本人は、夫婦間で「アイラブユー」がなかなか言えないのと同様に、親子間でもこういう言葉が言えないのです。

ヨーロッパやアメリカの人たちは、日本人よりはるかにたくさんこういう言葉を口に出して、自分の気持ちを相手に伝えています。

だから、子どもたちの自己肯定感も高いのです。

子どもを幸せにする5つの言葉

ということで、子どもに「がんばってるね」「大変だね」「ありがとう」「助かるよ」「大好き」の5つの言葉を贈ってあげてください。

これらが、子どもを幸せにする5つの言葉です。

肯定的なよい言葉によって、大切な人に安らぎと幸せを贈ることができるのです。

考えてみれば、これこそありがたいことですね。

せっかく言葉によってそういうことが可能なのに、逆のことをやってしまってはもったいないと思います。

著者プロフィール

親野智可等
親野智可等
おやのちから

教育評論家。1958年生まれ。本名 杉山 桂一。公立小学校で23年間教師を務めた。教師としての経験と知識を少しでも子育てに役立ててもらいたいと、メールマガジン「親力で決まる子供の将来」を発行。具体的ですぐできるアイデアが多いとたちまち評判を呼び、新聞、雑誌、テレビ、ラジオなど各メディアで絶賛される。また、子育て中の親たちの圧倒的な支持を得てメルマガ大賞の教育・研究部門で5年連続第1位に輝いた。読者数も4万5千人を越え、教育系メルマガとして最大規模を誇る。ブログ「親力講座」も毎日更新中。『「親力」で決まる!』(宝島社)、『「叱らない」しつけ』(PHP研究所)などベストセラー多数。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても知られる。長年の教師経験に基づく話が、全国の小学校や幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会で大人気となっている。

教育評論家・親野智可等 公式ホームページ『親力』


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