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今の時代に必要な親子関係のあり方とは?

今の時代に必要な親子関係のあり方とは?

親野智可等

思春期反抗期の子の言動にキレて、子どもと大げんかした人の話を聞いたことがあります。本人が言うには「生意気だ! 誰のおかげでここまで大きくなれたんだ」「子どもに負けてたまるか」「どっちが偉いかわからせなくては」という気持ちがあって激高してしまったそうです。

その結果、親子関係がますます冷え切って苦しい状態が続き、やっと改善の兆しが見えたのは子どもが社会人になってからだそうです。

たしかに思春期反抗期の子と接するのは簡単なことではなく、大人の受けるストレスも非常に大きいものがあります。

とはいえ、この時期に相手を子ども扱いして、その言動に切れて感情的に言い争ったり、細かいことでガミガミ叱ったりするのはやめたほうがいいです。こういうことをしていると反抗期が無駄に長引くからです。

それより、一人の人間としてリスペクトして大人扱いした方が順調に通過します。なぜなら、子どももそのリスペクトに応えようという意識が働き、精神的に成長するからです。

ですから、細かいことをつつくのはやめて、大きくどーんと構えて見守ることも大切です。
関連記事「親子関係が冷え切ってしまう理由とは?」を読む

「これは絶対に譲れない」というときは?

とはいえ、もちろん「これは絶対に譲れない」ということもあるでしょう。例えば人として許されないこと、他者の人権を侵害すること、周りに大きな迷惑をかけること、反社会的なこと、非常に危険なことなどです。

こういうことについては、ちゃんと正対して向き合う必要があります。

それをしないでいい加減な対応をしていると、かえって子どもは「自分のことなんかどうなってもいいんだ」と感じてしまいます。

ただ、その際に気をつけたいのは、一方的にこちらの言いたいことを言うのはよくないということです。まず子どもの言い分を共感的に聞くことから始めましょう。

その上でこちらの言いたいことも言い、話し合うべきことは話し合います。代替案や妥協案、あるいはアドバイスなども伝えながら話し合います。

とはいえ、それでもどうしても譲れないことやダメと言うべきこともあるでしょう。
その場合は、相手が納得できるように理由を丁寧に伝えることが大事です。

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独裁的な親子関係には弊害しかない

ゲームの約束やスマホの使い方とか、あるいは門限などについても同じで、子どもを一人の人間としてリスペクトして話し合うことが大事です。「ゲームは○時間」「スマホは……」「門限は○時」とルールを一方的に押しつけても、守られるはずがありません。

親子の話し合いにより、お互い納得できるルールを作れば守られる可能性は高まります。とはいえ、それでもルールがうまく機能しない場合もあります。そういう場合は、何度でも話し合いながら修正していきましょう。ここは忍耐が必要です。

これが民主主義です。最新の教育学では、親子関係を民主的にすることが非常に大事だと言われています(もちろん先生と子どもの関係も同様です)。

独裁的な親子関係だと、子どもは「どうせ自分が何を言ってもムダだ。自分は無力だ。願いや希望を持ってもムダだ」という自己無力感にとらわれます。これでは精神的な成長にブレーキがかかってしまいます。

また、こういう自己無力感は成人してからも尾を引く可能性があり、自分の人生を自分で展開していくことができにくくなります。

また、独裁的な親のもとで育つと、自分も親のパワハラ的なやり方を身につけてしまう可能性があります。すると、自分が結婚して家族を持った場合に、妻・夫・子どもに同様の対応をしてしまう可能性があります。職場の同僚や部下に対してもパワハラ的な対応をしがちです。

民主的な親子関係にはいいことがいっぱい

自分をリスペクトしてくれて、ちゃんと話し合いに応じてくれる民主的な親のもとで育つと、子どもは精神的に成長します。先に書いたようにそのリスペクトに応えたいという気持ちで、自分の言動に責任を持って臨むようになるからです。

また、成人してからも自分の妻・夫・子どもに、あるいは職場の同僚や部下に対してパワハラ的な対応をする可能性は低く、どこでも民主的で良好な関係を作れるようになる可能性が高いといえます。

また、自己効力感も自己肯定感も高まるので、自分の人生を自分で大きく展開していくこともできるようになります。

また、民主的で良好な親子関係は子どもの犯罪抑止にもつながります。以前、私が話を聞いたMさんという人は、中学生のとき友人に「一緒に万引きをしよう」と誘われました。でも、そのとき大好きな両親の顔が浮かんで「悲しませたくない」と思ってやめたそうです。
(詳細は下記をお読みください)

関連記事「親子関係をよくすることがどれほど大事か、わかっていない親が多い」を読む

親子関係が民主的で良好なら、子どもは困りごとを親に相談しやすい

また、大阪市立大学の森田洋司名誉教授の研究によると、クラスにいじめがあるとき、生徒の行動は次の3群に分かれるそうです。

1:傍観者群
2:いじめを止めようとする群
3:いじめを増大させる群

そして、2の生徒は親子関係が良くて、3の生徒は親子関係が悪いという、顕著な相関関係があることが明らかになっています。

また、民主的で良好な親子関係があると、子どもが何か困ったことがあったとき、親に相談しやすくなります。

例えばLINEの中でいじめが発生しているなどという場合、子どもだけで解決するのは難しいので、できるだけ早い段階で大人が介入する必要があります。民主的で良好な親子関係があれば、子どもは親に相談しやすくなります。

反対に独裁的な親子関係ですと、子どもは親に言いにくくなります。話を聞いてもらえず一方的に叱られる可能性が高いと感じるからです。

民主的な親は子どもにリスペクトされる

さらにもう一つ、民主的な親子関係は親にとってもありがたいことがあります。それは、子どもをリスペクトしている民主的な親は、子どもにリスペクトされるということです。

なぜなら、リスペクトには返報性があるからです。つまり、子どもは自分をリスペクトしてくれる相手に対して同じリスペクトを返すようになるのです。

これは職場の上司と部下の関係を見ればわかることです。上司と部下という立場の違いはあっても、部下を一人の人間としてリスペクトしつつ、共感的に話を聞いたり話し合ったりしてくれる上司は部下にもリスペクトされます。

独裁者がリスペクトされることは決してありません。職場でも家庭でも同じです。

なお、民主的な親子関係については下記もご参考にしてください。

関連記事「ゲーム、スマホ、習い事、塾、中学受験などで、子どもと考え方が違うとき、どうすればいい?」を読む

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著者プロフィール

親野智可等
親野智可等
おやのちから

教育評論家。1958年生まれ。本名 杉山 桂一。公立小学校で23年間教師を務めた。教師としての経験と知識を少しでも子育てに役立ててもらいたいと、メールマガジン「親力で決まる子供の将来」を発行。具体的ですぐできるアイデアが多いとたちまち評判を呼び、新聞、雑誌、テレビ、ラジオなど各メディアで絶賛される。また、子育て中の親たちの圧倒的な支持を得てメルマガ大賞の教育・研究部門で5年連続第1位に輝いた。読者数も4万5千人を越え、教育系メルマガとして最大規模を誇る。ブログ「親力講座」も毎日更新中。『「親力」で決まる!』(宝島社)、『「叱らない」しつけ』(PHP研究所)などベストセラー多数。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても知られる。長年の教師経験に基づく話が、全国の小学校や幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会で大人気となっている。

教育評論家・親野智可等 公式ホームページ『親力』


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