医学部入試問題分析

昭和大学 【2025年度 国語】

昭和大学 【2025年度 国語】

基本情報試験時間:2科目140分/問題数:大問2題
分析担当首藤 卓哉
出題内容・難易度
大問 出題内容 出題形式 難易度
野家啓一編『ヒトと人のあいだ』所収、熊野純彦
「〈権利〉と〈平等〉をめぐる断章――欠如とともにある生の視点から」
漢字(書き)、選択式、記述式 やや易
江上不二夫
『生命を探る』
選択式、記述式 やや易
問題分析
一、設問は全部で12問あり、昨年よりも2問(一昨年からは4問)減り、減少傾向になる。出典ジャンルは「平等」を扱った哲学系の内容で、広義的には例年と同じ傾向であった。文章の内容も昨年に続き平易であり、分量自体も昨年より1000字程度減った。記述問題も昨年の3問から1問に減り、60字で記述する問題のみであった。さらに漢字の書き取りについても、昨年の書き5問から3問と、こちらも減少した。以上のように大幅な問題の減少傾向にあり、問題内容も易化したといえる。
二、設問は全部で6問あり、昨年よりも4問減った。記述問題の出題方式は例年と同様で、字数制限ではなく指定の行数(2~3行)以内で記述する方式である。昨年は漢字の書き取り問題が10問あったが本年はなかった。文章のジャンルは連続で医療系テーマが出題されていたが、本年は生命定義に関する文章からの出題であった。こちらも昨年から1000字程度分量が削減されており、易化したといえる。
総評
一昨年まで3年連続で大問数が減り、設問数自体も一昨年の28問、昨年の24問からさらに減り、本年は18問と毎年の減少傾向である。小問の内容も漢字の書き取り問題も減り、大問一の記述問題の1問60字のみで昨年の110字の約半分、一昨年の210字の1/3以下となった。大問二の記述問題に関しても昨年は最大で4行のものが、本年は最大3行であり、記述問題数も5問と昨年から減少した。過去問を用いて練習をしていた者にとってはペース配分等が非常に楽になったと推察される。以下、各大問の内容について触れる。
大問一は約3000字の論説文で「平等」と「差異」、「権利」に関するテーマであった。前半では、人はみな病気や加齢、事故等により他者と差異をもつ可能性があり、その可能性を「平等」と語ることによって、人は誰しもが持って生まれる身体的、身体的等の「差異」を見えにくくし、また、その「差異」を効率的に利用できる場合に、さらにその「差異」は「差異」自体を利用して価値を増殖させるという内容であった。後半は「権利」の所有に関する考え方が論じられており、生きるための自然権も恣意的なものであり、生存に必要な大気・水等は、本来、「共有財産」である旨が語られている。扱われるテーマ自体もさほど難しくなく、筆者の主張を適宜、一般化していけば比較的容易に読解できる内容であった。昨年も易化したが、特に記述問題が1問しかなかったことは特筆的であり、本年はより易化したといえる。
大問二は約4000字の論説文である。ここ数年の分量をみると約3000字→4000字→5200字と例年増加傾向であったが、本年は約25%の減少に転じた。文章のテーマは生命の定義に関する内容で、生命を定義することは従来の生命の定義を考えた場合、それは色のように境目がなく連続性を持っているため、どこかで区切り、定義をすることは難しいことが前半で述べられている。後半では生物がもつ個や種の「積極的維持」を「消極的維持」と対比しながら論じ、個や種の「維持」が行われるのにもかかわらず、現在の豊かな多様性をもつ生命へ、なぜ繋がったのかを論じている。問題分析でも触れたが、例年出題されていた医学系テーマではなく非常に読解しやすい内容となり、記述中心の設問であるが、比較的答えやすい設問内容になっており、こちらも易化したといえる。
国語入試を導入して以降、大問数や、分量、設問数が減少してきた本学であるが、ついに極まった感のある年となった。分量や問題数の関係で時間内に解くのが難しかったが本年のバランスであれば十分に解き切ることができ、国語での受験も視野に入れても良い。

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