医学部入試問題分析

昭和大学 【2025年度 生物】

昭和大学 【2025年度 生物】

基本情報試験時間:2科目140分/問題数:大問4題
分析担当勝亦 征太郎
出題内容・難易度
大問 出題内容 出題形式 難易度
1 遺伝
(二遺伝子雑種における独立と連鎖、組換え価、染色体地図)
記述式 標準
2 骨格筋
(構造、収縮のしくみ、サルコメアの長さと張力、神経筋標本)
記述式、選択式 標準
3 遺伝子の本体の解明
(形質転換、遺伝物質の正体をめぐる3つの実験)
記述式 標準
4 脊椎動物の眼
(構造、遠近調節、明暗調節、錐体細胞の特徴と進化)
記述式、選択式 標準
問題分析
  1. 遺伝に関する問題。Ⅰ・Ⅱは二遺伝子雑種の自家受精を題材とし、個体の表現型を求める問題。Ⅲは三遺伝子雑種における染色体地図の作成問題である。どちらも計算問題のみで構成され、出題形式も問題文の表現も典型的な出題といえる。完答を目指したい。解き慣れた受験生であれば解法がすぐに浮かぶだろうが、Ⅰの問2やⅢの問7に示された条件を見落としていないだろうか。遺伝の計算問題では、最後まで気を抜かず、問題文の条件を正確に読み取ることが重要である。
  2. 骨格筋に関する問題。問1~問3は、骨格筋の構造名称、筋収縮のしくみ、サルコメアの構造と収縮時の変化に関する知識問題。確実に完答したい。問4は、サルコメアの長さと張力の関係を問う問題で、通常はグラフが提示されることが多いが、今回は問題文のみ。しかし、「あのグラフ問題と同じ内容だ」と気付けば、冷静に2種類のフィラメントの長さを求め、それらの重なり部分の長さを計算する手順を踏むことで対応できる。問5・問6は、神経筋標本における伝導速度と筋収縮に要する時間の計算問題。典型的な出題形式で、問題文にもひねりがないため、確実に完答したい。問7は、クレアチンリン酸からADPへの基質レベルのリン酸化について述べれば十分である。全体として、やや易寄りの標準レベルの問題であり、完答を目指したい。
  3. 遺伝子の本体の解明に関する問題。グリフィス、エイブリー、ハーシー・チェイスが行った一連の実験を題材に、「遺伝情報を担う物質は何か?」という当時の生物学の大きな疑問に対し、DNAがその本体であることを明らかにする過程を追う問題形式。すべて記述式で、問4では「なぜそのような実験が行われたのか」、問6では「実験結果から何がわかるのか」「どのようにその結論に至ったのか」など、単なる知識の再現ではなく、背景や過程まで踏み込んだ出題となっている。また、問2や問7では「もしこのような実験を行った場合、あるいはこのような結果になった場合、どのようなことが考えられるか」という問題が出され、知識の暗記ではなく、論理的に推論し新たな状況に適用する力が試された。実験に対する理解度が得点差を生む要因となった大問であり、単なる暗記ではなく、実験の意図を正しく捉え、論理的思考を用いて考察する力が求められた。
  4. 脊椎動物の眼に関する問題。問6には教科書に記載されていない内容も含まれるが、ほとんどは教科書に記載されている知識を基にした出題である。問1は確実に完答したい。問2は、ロドプシン量・閾値・感度の関係を正しく把握しているかがポイントとなる。問3~問5の論述問題は、演習を積んでいれば必ず出会う典型的な問題であり、正しい論述形式で精度の高い文章を作成することが求められる。問6はやや細かい知識を必要とし、ここで差がついたと考えられる。特に(2)と(3)は、問題文だけで自信を持って正解に到達できた受験生は少なかっただろう。全体として、問1~問5を確実に得点し、問6でどれだけ得点を積み上げられたかが合否を分ける要因となった。
総評
大問の数は昨年度と同様の4題。問題の大半は基礎~標準レベルで、試験時間にも余裕があり、遺伝問題や論述問題に十分な時間をかけられたと考えられる。その分、精度の高い文章作成が求められ、採点者に的確に伝える力も重要な要素となった。また、一部の出題テーマは受験生が深く掘り下げる機会の少ない内容であり、その点で差がついたと思われる。教科書と基礎~標準レベルの問題集を徹底し、過去問演習で知識の範囲を広げ、考え方や解法の幅を磨くといった王道の学習が、安定した得点力を確保する上で今後も重要となるだろう。

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