医学部入試問題分析

昭和大学 【2025年度 数学】

昭和大学 【2025年度 数学】

基本情報試験時間:2科目140分/問題数:大問4題
分析担当藤原 大輔
出題内容・難易度
大問 出題内容 出題形式 難易度
1 数C:複素数平面(複素数の絶対値の計算、三角形の面積など) 短答式 標準
2 小問集合:(1)A整数(ユークリッドの互除法と連分数展開)、(2)Ⅱ複素数と方程式(剰余の定理)、(3)Ⅱ対数関数+Ⅲ積分法(絶対値を含む対数不等式の表す領域の面積)、(4)Ⅲ積分法(定積分の不等式) 短答式 やや難
3 数Ⅲ:積分法(座標空間の四面体の表面積、各軸周りの回転体の体積) 短答式 やや難
4 数A:確率(反復試行の確率、確率Pnが最大となるn) 短答式 標準
問題分析
  1. 数学Cの複素数平面の問題。複素数の絶対値の計算がテーマだが、方針次第で計算量が大きく変わる問題。(1)正攻法的には|4α-β|を2乗するところだが、実戦的には条件より3点O,A (4α),B(β)を頂点とする∆”OAB” が直角二等辺三角形であることに気づけば、一気に簡単になる。(2)、(4)は(1)の結果を利用すれば計算できるが、(1)でΔ”OAB” が直角二等辺三角形であることが見えて2点A,Bを適当に座標設定すれば(例えば、α=√2,β=2√2(1+i))計算が楽になる。この大問では(3)が最も計算が面倒だが、(1)を利用する流れはすぐに見えるので、指数計算にだけ気をつければよい。今年のセットでは大問1は完答したい。
  2. なかなかヘビーな小問集合。(1)はユークリッドの互除法を連分数につなげる整数問題。(1-1)が誘導であることに気がついて(1-2)は解けてほしい。(2)は剰余の定理を利用することはわかるが、式がやや複雑で場合分けも必要なので解きにくい。これは無理せず捨ててよい。(3)は2019年昭和大Ⅰ期の問題とほぼ同じ問題。領域図示もあるので経験があっても時間を要すると思われるのでこれも厳しいと思ったら捨ててよい。(4)は2014年大阪大の問題とほぼ同じ問題。類題経験があればすぐに定積分の不等式で評価することはわかるが、経験がないと厳しい。どの問題に時間を使うかの判断が合否を左右する重要な小問集合であった。
  3. 数学Ⅲの座標空間の四面体の図形量に関する問題で2013年愛媛大で出題された問題。正三角形、軸対称な2点など計算を楽にする条件は入っているが、空間図形のイメージがつかめないと(1)から苦しい。(1)、(2)は3点A, B, Cの座標設定がカギとなる。(3)の回転体の体積は特に計算量が多く厳しい。初めに空間図形が見えなければ、無理して解きに行かず、捨てるのもアリ。
  4. 数学Aの点の移動に関する反復試行の確率の問題で2011年名古屋市立大で出題された問題。今回のセットで最も典型的で解きやすかったと思われる。ただ、確率Pnのnが点のy座標であること、最後の移動で回転してy軸に達すること、この2点が間違えやすいポイントで差がつくところである。先に(2)を求めておくと(1)の計算が楽にできる。(3)は確率の頻出典型問題なので解きやすい。昭和大の確率はミスしやすい問題が多いので、典型問題だからといって油断せず、ここは完答を目指してほしい。
総評
全体として計算量が増えて、難化した。70分ですべてを解くのは不可能なので、より楽に解ける問題を素早く見極めて、それをきちんと解き切ることが合否の決めるポイントであった。今年は大問1,4を完答し、大問2,3の拾えるところを拾って55~60%を目標にしたい。今年も昨年までと同様に国公立大の過去問からの出題が多かった。特に2023年から球の通過領域の体積、空間図形の回転体の体積などハイレベルな体積問題が連続して出題されている。来年以降に昭和医科大を受験する人はこのレベルの問題の解法を理解し、やや重い積分計算への耐性をつけておいてほしい。また、解答形式が短答式で部分点がつかないので、計算ミス=0点となることも忘れてはならない。以上を踏まえた上で昭和医科大攻略のポイントは以下の3点である。①国公立大・私立大の難関医学部の頻出テーマ(例えば青チャートのコンパス4、5の問題)まで演習する、②普段から効率的な計算を徹底する(特に図形問題)、③問題を冷静に見極める判断力を養う。これらの3点を高3の夏までを目標に身につけて、秋以降の実戦演習(過去問を含む)に活かして、本番に臨んでほしい。

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