医学部入試問題分析

東京医科大学 【2025年度 生物】

東京医科大学 【2025年度 生物】

基本情報試験時間:2科目120分/問題数:大問3題
分析担当太田 信頼
出題内容・難易度
大問 出題内容 出題形式 難易度
1 小問(系統分類、遺伝子発現、動物の発生、自律神経系、光周性、個体群の調査) マーク式 標準
2 タンパク質の輸送とシグナル配列 マーク式 やや難
3 キイロショウジョウバエの生物時計(時計遺伝子による制御) マーク式 やや難
問題分析
  1. 小問各問は、知識を問う問題が中心であるが、一部に考察問題や計算問題が含まれる。知識問題の難易度は、本年度は標準であったが、複雑な考察・計算を要する年度もあるので、難易度を短時間で判断し、場合によっては後回しにして解く必要もある。
  2. タンパク質の末端にあるシグナル配列によって、合成されたタンパク質がどのように細胞の特定の場所に輸送されるかを、与えられたデータや実験結果から推察する考察問題である。中問Ⅰ・Ⅱの前半には、細胞小器官や細胞内共生説に関する知識問題も含まれていた。
  3. キイロショウジョウバエの時計遺伝子に注目し、遺伝子の発現がどのように生物時計の調節に関与しているかを推察する考察問題である。文章中にかなり多くの物質、反応経路が出てくるため、情報処理を適切に行わないと解答にたどり着けないと思われる。
総評
東京医科大学の生物の入試問題は、2020年までと昨年度は4大問構成であったが、2021年以降は大問数が3つに削減され、昨年度は再び4大問構成となった。各問題の難易度も近年に近づくにつれて易しくなってきている。本年度の入試問題は、昨年度に比べて大問数が1つ減少した。さらに、選択肢の文章量が全体的に少なくなってボリュームが減少したため、受験生にかかる負荷は大幅に低下したと考えられる。各設問の構成は、基本問題が増え、考察問題が減り、考察問題の難易度がやや低下した印象であった。しかしながら、依然として考察問題の内容は他の大学と比較すると難しく、また初見の内容が多いため、受験前までに考察問題に対する十分な鍛錬が必要であることは言うまでもない。
大問1は例年、様々な分野から基本的な問題を中心に出題される小問集合である。計算問題や考察問題が各1問程度含まれ、年によって難易度が大きく変わり、かなり時間を要する問題が出題されることもあるので注意したい。大問2以降は、教科書に記載の無い初見の考察問題が出題されることが多く、他分野が融合した問題として扱われる。細胞や遺伝子、発生、進化などが扱われることが多く、分子生物学の内容を好む傾向はあるが、そこまで出題分野に偏りがあるとは言えないので、全体的に各分野を満遍なく学習しておくことが望ましい。
合格するための学習方法としては、大問1や大問2以降の前半で出題される基本問題を取りこぼしなく完答できるように、基本知識の定着は十分に行っておきたい。このような問題で失点すると、ボーダーラインには遠く及ばないこととなる。また、大問1で出題されることが多い計算問題は単純に答えを出すのみではなく、複数の計算結果の正誤を選択肢の文章から正しく選ばないといけないので、基本的な計算問題については繰り返し鍛錬を行い、自身で迅速に計算できるようにしておく必要がある。最後に、合否を決める最も重要なものとして、考察問題がある。東京医科大学の考察問題は単純に解答できるものが少なく、典型的な考察問題はほとんど出題されない。そのため、かなり早い時期から、考察の道すじを立てて情報整理し、実験結果などの図表を正しく見極める練習を積む必要がある。最初は先生に指導された内容を自身のみで再現できるかという訓練から始め、少しずつ自身の力で読み解く力を養って欲しい。私大医学部の中では難易度が高い大学の一つであるので、早めに過去問を自身で見て、対策の道すじを立てることが望ましい。

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