
医学部入試問題分析

東京医科大学 【2025年度 物理】
基本情報試験時間:2科目120分/問題数:大問5題
分析担当谷 卓郎
分析担当谷 卓郎
出題内容・難易度
| 大問 | 出題内容 | 出題形式 | 難易度 |
| 1 | 小問集合 | マーク式 | 標準 |
| 2 | 斜面からの斜方投射 | マーク式 | 標準 |
| 3 | ドップラー効果 | マーク式 | 易 |
| 4 | 交流、RLC直列回路 | マーク式 | 標準 |
| 5 | 熱力学サイクル | マーク式 | やや易 |
問題分析
- 問1 壁に立てかけられたはしご。どの問題集にも乗っているので易。
問2 水中での重り付中空容器。下が開いていて水が入り込む。浮力の関連は多くの受験生が苦手としているのでやや難か。
問3 ダイオードを含む回路で、全く同じものが多くの問題集に載っている。
問4 ガラス板を屈折して抜ける光線。物理としては屈折の法則を適用するだけだが、図形がかかわるのでやや難。
問5 ニュートンリング。公式を2通りに適用するだけなので易。
問6 半減期。公式も書かれている。「Bqってなんだっけ?」とならない限りは答えられる。易。
ほとんど易であるが、すべて数値計算であるのでやや評価を上げて標準とした。 - 斜面からの斜方投射は標準レベルの典型題である。重力加速度を斜面に対する座標軸で分解できればOK。よって標準とした。
- 同逆で2方向のドップラー効果。振動数比を出すところが普段よりちょっと違う。よって易とした。
- RLC直列回路から共振回路へ。現役生を中心に交流が苦手な受験生は多く、「何から手を付ければいいかわからない」と感じただろう。だが、手慣れている受験生にとっては典型題。フェザー図に慣れていれば楽。平均をとって標準とした。
- 熱力学サイクルだが、定積変化と定圧変化のみからなるので難しくはない。オマケについた相加相乗も併せてやや易とした。
総評
全体として昨年よりも易化しているが、昨年がやや難しめになっていたので、本学の平均からするとやや易程度と思われる。上にも書いたように今年は典型問題のオンパレードになった。ほぼすべての問題がよく見た、またはどこかで見た問題であっただろう。現に、ほぼすべての問題設定が、手元にある問題集(「セミナー物理」「良問の風」「物理重要問題集」)の少なくとも一つには載っている。物理において設定を把握できていることは何よりも心強いであろう。それに輪をかけて今年は過去問と似たような出題が多かった。第2問は2021年に同じ問題設定が出ている。第1問の問3も2021年に全く同じ問題が、第5問は2020年に全く同じ熱力学サイクルが出題されている。同じ問題設定ではないが内容的に実質同じとみなしていいものが、第1問の問2浮力の問題は2020年と2021年に、第4問の交流の問題は2020年と2022年に出題、となっている
ここまで過去問と重なるのはめったになく、「東京医大対策には過去問の解き直しが最重要」とは思わないでほしい。いや、必要ではあるが何度も解き直しておくことはさして重要ではない。では何が重要かというと一般の問題集をきちんと理解することである。「きちんと」というのは曖昧な言葉であるが、なぜそのように解くのか?を理解し、その考え方を自分のものとすることである。上にあげた問題集のうち一つを「きちんと」理解すれば、他の問題集のほとんどをなにも参考にしなくても解けるはずである。それができるようになるまで理解に努めるべきだし、それが曖昧なまま次の問題集に手を出すべきではない。と私は思う。物理ができる人が当たり前のように使っている感覚、それを自分のものとすることが大事であり、問題集の答えを理解し憶えることはその補助に過ぎないと思ってほしい。
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