医学部入試問題分析

杏林大学 【2025年度 物理】

杏林大学 【2025年度 物理】

基本情報試験時間:2科目100分/問題数:大問3題
分析担当安部 雄太
出題内容・難易度
大問 出題内容 出題形式 難易度
原子:統一原子質量単位の導出.原子核反応,半減期 マーク式
力学:単振動,2体運動,仕事とエネルギー マーク式 標準
電磁気:半導体とダイオードの知識,ダイオードを含む直流回路 マーク式 易~標準
問題分析
Ⅰ. (a) 統一原子質量単位の導出、(b)重水素の結合エネルギー、(c)質量欠損を利用したエネルギーの計算、(d)半減期の導出を問う問題であった。問題自体は易しいが、数値が細かいため、計算にかなり時間がかかる。そのため、時間内にこの部分を完答することは厳しい。(c)を除いた部分を確実に取りたい。
Ⅱ. (a) 水平面で壁に接するように置かれた小球Bと、Bにばねで接続された小球Aの2物体の運動を問う問題。小球Bのみに摩擦力がはたらくため、小球Aのみ単振動を行う設定であり、小球Bが動き出さないための条件を問う問題であった。小球Aの単振動、小球Bが受ける弾性力それぞれのグラフを選択させる問題も含まれており、ていねいにAの運動を立式して処理したい。
(b) 小球Bが動き出した後の運動を問う問題であり、小球A、Bが互いに連動して運動を行う2体運動となる。それぞれの運動方程式から系の重心の運動、Bから見たAの相対運動を問う内容であった。2体運動の問題を解く際の処理を問う内容であり、この部分を本質的に学習していた受験生には易しい問題であった。
(c) (b)の運動に続いて、小球Bが止まった後の小球Aの単振動について問う問題。(b)が出来なくとも得点できる問題であった。
途中時間的に得点しにくい問題があっても、全体を見て得点できる部分は得点するように心掛けたい。
Ⅲ. (1) 半導体についての知識を問う問題。(2)以降で出題されるダイオードに関する知識を問う内容であった。
(2) 理想的なダイオードと複数の抵抗を含む直流回路の問題。ダイオードについての処理を正しく行えれば易しい問題であった。
(3) (2)に続いて、ダイオードに流れる電流と電圧が1次関数となる条件であった。典型問題ではあるが、計算に時間がかかる。
総評
杏林大学の物理は、昨年度(2024年度)まで大問Ⅰ・Ⅱに全範囲の小問集合、標準~発展レベルの大問Ⅲ(力学)、大問Ⅳ(電磁気)が問われる傾向であった。今年度(2025年度)は、大問Ⅰ(原子:基礎)、大問Ⅱ(力学:標準)、大問Ⅲ(電磁気:基礎~標準)の構成で、大問と全体を構成する問題数がともに減少し、問題レベルも易化した。しかし、理科の試験時間が2科目100分と短いため、全て解き終えることが難しい問題設定となることが多い。これも本大学の物理の特徴の1つである。問題数の減少、問題の易化はあったが、大問1の原子範囲の計算や大問Ⅲ(3)の計算などに時間がかかるため、今年度も試験時間内に全てを解き終えるのは難しく、解答する問題を取捨選択する必要があった。そのため、今年度の合格点としては60%以上となる。大問Ⅰ(c)を除いて、本大学の出題傾向から大問Ⅱ(力学)、大問Ⅲ(電磁気)部分をしっかりと得点し、残った時間で大問Ⅰを出来るだけ処理したい。特に、今年度は時間をかければすべて得点出来る問題で構成されていたため、解答できる問題も合格点をとるために後回しにする必要があり、その部分をうまく判断出来たかが合否を分けるポイントであった。
杏林大学の物理の出題傾向の特徴として、試験時間が短いため、基本・典型問題を優先的に選択し、正確に素早く処理することが試される。本大学の物理で合格点以上をとるには、日頃から問題をただ解けるようにするだけでなく、各単元の基本内容に穴がないよう学習を進めること、時間設定を設けて速く正確に解くことを意識して学習を進めること、使用教材の繰り返しの復習を徹底することが重要である。
また、時間内に合格点をとるには、今年度のように解けそうな問題も捨てる選択をしなければいけない。受験本番で解くべき問題の順番、問題の取捨選択ができるよう、問題の全体像や処理にかかる時間なども意識して学習してほしい。

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