医学部入試問題分析

杏林大学 【2025年度 数学】

杏林大学 【2025年度 数学】

基本情報試験時間:70分/問題数:大問3題
分析担当国政 力
出題内容・難易度
大問 出題内容 出題形式 難易度
数学Ⅱの微分法,複素数と方程式,恒等式 マーク式 やや易
極限,微分法,積分法 マーク式 標準
積分法,確率漸化式 マーク式 やや難
問題分析
Ⅰ. (a)(4次式)=kと文字定数が分離された4次方程式について、異なる4つの実数解をもつ条件を求める。与えられた4次関数の極値を求めればよい。また、この方程式が3つの実数解をもつとき、重解以外の解の和を解と係数の関係から求める。
(b)与えられた虚数を4次式に代入したときの値を求める。割り算を利用することが誘導されているので易しい。
(c)4次曲線の二重接線を求める問題である。これも恒等式を利用することが示されているので、丁寧に計算するだけであり落とすことはできない。
Ⅱ. (a) 場合分け関数が微分可能であることから係数を求める大問である。まずは、次の(b)で利用する極限を求める。与えられた不等式から、はさみうちの原理を利用するだけであり、穴埋めなのでロピタルの定理でも確認できる。
(b)微分可能であることから連続であることと、導関数の右方極限値、左方極限値が求められることから係数を定める。穴埋めで厳密な議論は必要なく、(a)で示した極限を用いる部分が誘導で示されているので確実に計算したい。
(c)(b)で定めた関数の接線と定積分の値を求める。(b)で正しく係数が定められていれば接線や交点を求めることは易しい。そのあとで、1/√(x2+9) の定積分をノーヒントで求めることが要求されている。これは繰り返し出題されている有名な定積分であるので、適切な置換の方法や積分結果を覚えておきたい。
Ⅲ. (1)直交する2つの円柱を題材に、展開図や断面積、体積を求める問題で、難易度が高い設問が含まれている。例年問われることの多い図形的な考察は含まれていないが、空間図形に対して定型的な数式処理ができるか問われている。
(2)前問でくり抜く図形が八面体だったことを題材にして、この八面体の辺を通って移動する動点が各頂点に存在する確率を考える問題である。確率漸化式を立式して、確率の値や最大値、極限を求める。最後の極限以外は立式した確率漸化式を解かなくても設定から値を求めたり予想したりすることが可能であり、(1)と関連がないので、(1)を後回しにしてこの部分で得点を伸ばしたいところである。
総評
昨年度出題されなかったものの例年出題されていた空間図形が復活し、微積分に偏った出題となった。丁寧な誘導のある標準問題が多くを占め、この部分を確実に得点に結び付けたい。幅広く標準問題をこなしていれば十分に可能である。出題の多い空間図形に対しては体積を求めることを中心に、やや難度の高い問題にも対応できる定型的な解法を十分にマスターしておきたい。図形的な考察をすることに加え、わかりやすく図示することも普段の学習から大切にしなければならない。解答するにあたっては、大問の途中に難しい設問があっても、その後の設問に答えられることがしばしばある問題形式であるので注意をしたい。全問マーク式の70分という短い解答時間であるので、冷静な問題の取捨選択も不可欠になる。

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